コラム

 公開日: 2013-07-02  最終更新日: 2014-06-04

公開Q&A(その7)僧侶はお葬式で何を考えているの?(その4 火葬場にて)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 勉強会での質疑応答です。
 プライバシーを守りながら、補足し、要点を書きとめておきます。

質問7 お葬式ではどんなことを考えているのですか?

回答7 せっかくのご質問なので、お葬式当日だけでなく、お送りするための順番にそってお話しましょう。

 前回(その3)の続きです。
 前回はお出棺でした。
 今回は、火葬場に移ります。

 火葬場では、文字どおり最後の別れになります。
 この世にあった身体がなくなり、〈居る〉ことが目で確認できなくなるからです。
 ご遺族の中には、ここに至るまでに相応の覚悟ができておられる方も、できておられない方もあります。
 黙ったまま動けなくなっている鬼神も退けようかという屈強の男性。
 置いて行かないで!と叫ぶ中年の女性。
 杖をつき、お柩へ手を差し伸べようかという風情で引き裂かれる年配のご婦人。
 ご遺族の後に立ち、炉の蓋が閉まるまで真言を唱える時は、私の心も引き裂かれ、火葬場から帰る車中では必ず、この悲痛をくり返すに至った自分の因縁を想い、懺悔しないではいられません。

 導師の修法は、「無明(ムミョウ)の離散、執着心からの解放」に尽きます。
「無明の闇苦を地獄という
 無明の離散するを極楽という」
 故人へこれを告げ、解き放ちの法を結びます。
 モノとしての身体は、お塔婆(トウバ)の表に梵字(ボンジ)で書かれている「地・水・火・風・空」の徳を支える根源の世界へ還り、目に見えない心は、お塔婆の裏に梵字で書かれているみ仏の「識」の世界へと入って行きます。
 きちんとこの法を受けてから身体がお骨になれば、決して迷うことはありません。
 ここで行われる修法の核心は転法輪(テンポウリン)法です。
 車輪を転がすがごとくに人々の心へ教えを広めることが「法輪を転ずる」、すなわち転法輪といわれます。
 そのように迷いの元を転じて順々に解いて行き、どうしても残る障害物は不動明王のお力で消滅させます。

 最近は、何もしなくても大丈夫と考えて、ただちにお骨にし、一息ついてから不安になり、やはり頼もうかとご相談に来られる方が増えました。
 それは当然です。
 なぜなら、解き放ちの法は、亡くなられた方の無明を解くだけではなく、法が行われる場におられる方々の心にある無明もまた、解き放つからです。
 そして、導師となる僧侶がくり返しくり返し、引き裂かれ体験をしながら復活できるのもまた、ご本尊様と一体になる法を結び、解き放たれているからに他なりません。

 引き裂かれる辛さは、万物が空(クウ)である真理をなかなかよりどころにできない私たちの執着心の強さによるものです。
 とは言え、人の間にあり、互いに支え合ってしか生きられない〈人間〉が支えを一つ外される事実はあまりにも重く、支える力の柱となっている情愛は、道理を考える頭のはたらきとは一味違っています。
 人の死は〈間柄(アイダガラ)の消滅〉でもあり、生じた空白は簡単に埋められるものではありません。
 ご本尊様のご加護を受ける修法が重ねられれば、そうした現実的な傷を癒すためにも小さくない力となります。
 いずれの修法も決して形だけの儀式ではありません。
 旅立つ御霊の魂と、送る方々の魂と、修法する導師の魂が共に仏神のお力によって苦を離れて行くための貴重な機会です。
 一人の人間が自分の死をもって人生の最後に私たちへ設けてくださった機会を大切にしようではありませんか。
 
 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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