コラム

 公開日: 2013-07-08  最終更新日: 2014-06-04

第七回法楽塾 ─『ダライ・ラマ法王の仏教哲学講義』を読む(8)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







【ダライ・ラマ法王の仏教哲学講義】       

第一章 仏教における論理的思考の重要性

 第四節  論理的思考の必要性

 お釈迦様は説かれました。

「焼いて、切って、こすって、それが金であるかどうかを吟味するように、僧と智者はわたしを尊敬するが故にわたしの言葉を採用するのではなく、それを十分に吟味することによってわたしの言葉を採用しなければならない。」

 教えに接したならば、仏陀の教えであるからと鵜呑みにせず、自分でよく考え、道理であると納得できたなら採用しなさい、ということです。
 なぜこのことが大切かといえば、教えには二通りあるからです。
 一つは、解釈の余地がない教義である「了義(リョウギ)」です。
 たとえば、般若心経にある「色(シキ)は即これ空(クウ)、空(クウ)は即ちこれ色(シキ)」ならば、論理的によく考え、修行すれば、言葉通りに納得できる時がくることでしょう。
 もう一つは、別の解釈を必要とする「未了義(ミリョウギ)」です。
 たとえば、「親を殺さねばならない」と説かれている場合は、いかに思考を深めようと、言葉通りに考えている限り、とうてい、納得できません。
 親という言葉が、私たちを支配する〈汚れた行い〉と〈執着心〉の二つを指していることを学び、殺すという言葉が〈断ち切る〉という意味で使われていると知らなければ、どうにもなりません。
 そこへ至るためには、「親を殺さねばならない」の教えを前にして立ち止まり、その先をよく調べてみる必要があります。
 仏陀の言葉だからと盲信して親を殺すのがまちがいならば、道理に合わない邪宗であるとしてそのまま捨てるのも又、浅はかであるというしかありません。
 当山は、かつて、オウム真理教事件で有名になったポアをとりあげました。
「オウム真理教では、『教団に従わない者は地獄などに行くべき運命にあるから、強制的に魂を次の世へ送ってしまおう』という身勝手な考えで『ポアしよう(殺そう)』と指示が出されました。
 しかし、当然ながら、本来、ポアにそうした意味や使われ方はありません。
 ポアは悟りを求める瞑想法の一つであり、死に際しては地獄などへ行かないように導く法です。」

 ダライ・ラマ法王は、お釈迦様が説かれた4つのより所を示されました。

1 人に拠るのではなく教義に拠りなさい。
2 教義についても、言葉に拠るのではなく、意味に拠りなさい。
3 意味についても、解釈の余地のある意味ではなく、解釈の余地のない意味に拠りなさい。
4 解釈の余地のない意味についても、普通の知識ではなく、完成された智慧に拠りなさい。

〈1〉は、上記の「親を殺さねばならない」に明らかなとおり、仏陀が説いた言葉だからと思考停止して信じてはないという意味です。
〈2〉も、上記の「親を殺さねばならない」に明らかなとおり、言葉が何を指しているかを考えねばなりません。
〈3〉は、こうも考えられるけれど、ああも考えられる、どうもよくわからない、といったあいまいなままにしておいてはならないということです。
 つまり、上記の「未了義(ミリョウギ)」である状態のまま、信じてはならないし、捨ててもならないのです。
〈4〉のとおり、「般若心経は結局、こだわるな、と説いています」あるいは「仏教って、お釈迦様の説かれたことだから結局は皆、同じなんです」というような世間的意識から言われている解釈にとどまっては残念です。
 経典やお大師様の説かれた言葉が示す智慧をより所にして考えたいものです。

 ダライ・ラマ法王は説かれました。

「仏教を学ぶときには、さまざまな思想体系があることを視野に入れておかなければなりません。
 もしあなたがどこかの一ページだけを取り上げ、それを暗唱し、そこに述べられていることだけを繰り返し学んだとしたら、あなたは他のページを見たとき混乱に陥ってしまうことでしょう。」

 これはとてつもなく高いハードルを越えなさいと言っておられるようですが、そうではなく、学び方の姿勢をまちがわぬようにとのご指摘です。
 たとえば、「この経典だけでいい」「この言葉だけを唱えなさい」「これだけを続けなさい」といったやり方は大変、危険です。
 カルトは必ずこの方法をとるので、そこに入り込んだ人は周囲と目に見えない軋轢(アツレキ)を生じるだけでなく、抜け出る時にとんでもない〈混乱〉をくぐり抜けねばなりません。
 26年間、エホバの証人にからめとられ、ようやく脱出した佐藤典雅氏の『ドアの向こうのカルト』はこう書いています。

「なんであれ、周りに自分の信条を強要しないこと、他の信条を排他しないことが大切だ。」
「スピリチュアルの基本は各自の自立であって、どこかの霊能者を祭ることではない。」
「霊能者は当たるか、当たらないかではない。役に立つか立たないかだ。」
「原則的に脅しをかける、威圧的な態度、依存させるような霊能者には注意。」

 私たちは限りある人生において、いかなる道であってもすべてを学び尽くせはしません。
 仏教についても同じであり、当山では「ご縁となった教えを大切にしましょう」とお話し申しあげ、当山でより所としているもののみを押しつけたりはしません。
 大切なのは、自分が気に入ったページを見つけたならば、どこかで誰かが同じように、気に入ったページを見つけているに違いないといった想像力と柔軟性を確保しながら、ページを繰り返し読むことです。
 そうすれば、「他のページを見たとき混乱に陥ってしまう」危険性から逃れられ、逆に、他のページを肥やしとして信条が広がりと奥行きを増すことでしょう。
 道理を尺度とし、何としても自分の頭で考え、納得できる地点をめざしたいものです。
 
 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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