コラム

 公開日: 2013-07-15  最終更新日: 2014-06-04

朝のヒグラシ、昼の仙台市いずみ墓苑

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 薄明の中、絶え間なく降りしきる雨をついてヒグラシが鳴き始めました。
 そうか、とうとう……、といった感があります。
 結城昌治は詠みました。
「涙溢るるごとくひぐらし鳴きいだす」
 私たちはなぜ、彼らの声に寂寥感を覚えるのでしょうか。
 西日本では連日、35度を超えるといった猛暑が続き、体感的に夏は真っ盛り、特に、これから夏休みが始まる子供たちにとっては、待ち遠しい「夏本番」ですが、日本人本来の季節感からすれば、7月はもう、晩夏に当たります。
 星の巡りはすでに6月27日、隠遁(イントン…日々の星の巡りが九→八→七とマイナスに変化すること))が始まっており、8月7日の立秋がくれば、秋の到来です。

 昨日、いつものように仙台市いずみ墓苑でお墓の開眼供養と納骨の修法を行いました。
 灰色の梅雨空ですが雨は落ちてこず、ほとんど風もないシーンとした中で目を閉じ、ご本尊様に降りていただく法を結んでいると、ホトトギスのけたたましい声やウグイスののんびりした声に混じって、虫たちのささやきも聞こえてきます。
 杉田久女は「谺(コダマ)して山ほととぎすほしいまゝ」と詠み、松尾芭蕉は奥州平泉において「夏草や兵(ツワモノ)どもが夢の跡(アト)」と詠み、「時のうつるまで泪を落し侍(ハベ)りぬ。」と書きました。
 見晴るかす広大な自然全体へ響き渡るようなホトトギスの声。
 その一方で、夏の直射日光を避け緑濃い草ぐさに隠れて密かに鳴き始める虫たち。
 芭蕉の句は、時が止まったような静寂にあって人間の営みの儚さが際立つという解説を何度か見かけましたが、私には、どうしても夏草の勢いと、その陰でジージー、チチチと小さく鳴く虫たちの声がイメージされます。
 確かでしぶといいのちの息吹の中でこそ、草葉の露となり果てる人間の一生、あるいは去るいのちと共に消えて行く人間の志などが、強く胸に迫ってきたのではないでしょうか。

 送る皆さんと一つになり、身体は天地へ、心はみ仏の御許(ミモト)へ還る御霊をお送りすると、自分の心身も別世界へ溶け込んで行きそうになります。
 墓所を聖地とするため、八方天地のみ仏方にお守りいただく法を結ぶと、そこは宇宙の中心となり、石も土も質量を増し、まるで大地が盛り上がったかのようです。
 皆さんと導師の間にある距離は、修法前と修法後では、まったく異なります。
 それは、一つの結界にあって共に異次元体験をしたからです。
 ぐっと近づいてこられ、目を見ながら「これからもよろしくお願いします」と言い頭を下げられるご遺族、そして、「こちらこそよろしくお願いします」と頭を下げて応える私。
 距離は一気に、霞と消えました。 

 午前5時30分を待っていたかのように、ヒグラシは鳴きやみました。
 雨があがり、すっかり達者になったウグイスが余裕たっぷりに歌い、カラスも活動を開始しました。
 これから毎朝、毎日、彼らの最後の一匹がいのちをまっとうするまでヒグラシと共に過ごします。
 今日も、いずみ墓苑へでかけます。
 朝のヒグラシと、昼の泉墓苑と……。

 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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