コラム

 公開日: 2013-07-16  最終更新日: 2014-06-04

勝田亮弁護士による「立ち直りたい少年たちのために」 

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







  第四十一回寺子屋『法楽館』が終わりました。

 講師をお願いした弁護士勝田亮(カツタマコト)先生は、脱サラし、7回目で司法試験に合格されました。
 今とはちがって、法科大学を出ていなければならないとか、何回でチャレンジが打ちきられるなどということはない時代です。
 何と6回目は1点足りなくて不合格、しかも、問題の見間違いが原因で、以後、先生は書面をきちんと見るのはもちろん、相手の話もきちんと聞くように心がけているそうです。
 あきらめずに志を貫けたのは、友人や親や妻のおかげあったればこそと言われます。

 さて、先生が少年問題にとり組み始めたのは、弁護士になりたての頃、非行少年の弁護に関わり、いくつかの問題を知ったからです。

 事件は、少年が侵入窃盗をくり返し、100万円以上ものお金をキャバクラで使い果たしたというものでした。
 先生は、自分の生活空間である家に他人が入ってくればどれだけ嫌であるかわかっているのに、なぜ、たびたび他人の家へ入れたのか、その生活感のなさが何によってもたらされたのか疑問でした。
 また、見つかったらどうなるか想像のつく年令なのに、そうした事態を考えなかったのはどういうことなのかも疑問でした。
 さらに、10代半ばの少年がキャバクラという夜の世界へ入って行くことの不自然さも理解できませんでした。
 こうした問題意識を持って少年と接しているうちに、一生懸命アルバイトして家計を支えていた少年の心がどうして崩壊していったかが見えてきました。
 複雑な家族構成、母親による万引きの強要、義父からの暴力などによって彼は居場所を失い、不良交友が始まったのでした。
 一家の収入は少年のアルバイトのみ、さらに、少年の目の前で万引きをやってみせる母親を見て、「見つかるのではないか」と、少年はとても怖がったという先生の説明には、息を呑む思いでした。

 事件を起こした大人には国選弁護人がつきますが、少年の場合には、国選付添人がつく範囲が限定的です。
 また、大人は刑期が済めば社会復帰できますが、少年の場合は、受け入れ先がない限り、少年院などにいるしかありません。
 先生は、会うたびに少年の表情が変化していることに気づき、少年をこうした状況に追いやった家庭ではなく、どこか落ちつける受け入れ先があれば、少年はきっと立ち直るだろうと思うようになりました。
 ところが、厳罰化によって非行の再発を防ごうとするよりも、温かく受け入れてやる家があることの方が明らかに有効であるとわかっているのに、受け入れ先がありません。
 母親は少年審判の際も出席しないなど協力する姿勢がなく、ついに少年院送りが決まり、それまで冷静だった少年が初めて涙を流したのを見て、先生は、「帰る場所のない少年の家をつくろう」と決心しました。

 ここで、先生の言葉によれば〈奇跡的な〉できごとが起こります。
 他所にいた少年の実父が、少年へ会いに行き「立ち直ってくれれば家にきてもいいよ」と言ってくれたのです。
 少年が顔つきがたちまち変わり、父親と同居しながら、今ではたくさんの資格をとって懸命に生きているそうです。

 帰る場所がないから少年院へ入れる、帰る場所外ないから少年院から出られない、先生は、こうした現状を「おかしい」と思い、何としても、彼のような少年を引き受ける施設をつくりたいという思いが強まりました。
 やがて、別の少年事件の被害者となった大沼えり子氏との〈運命的な出会い〉があり、NPO法人ロージーベルの設立へと向かいます。

 先生は訴えます。

「少年による非行は子供たちのSOSです。
 こうした子供たちを社会から排除するのではなく、受容と支援によって立ち直らせましょう」
「手を差し伸べれば、少年たちは変われる可能性を持っています」
「彼らを怖がらず、温かく接してください」
「私たちは、関わった少年たちと必ず連絡がとれるようになっており、決して見放しません」
「少年の家では、共同生活している少年たちを必ず、行ってらっしゃい、と送り出し、必ず、お帰りなさい、と迎えます」
「すべての少年に弁護士がつき、大人と同じく人権が守られるよう、国選付添人対象事件を拡大しましょう」

 参加された方々の中で、こうした活動が行われていることを事前に知っていた方は一人もおられませんでした。
 辛く苦しい環境などによって曲がりかけた少年たちも、次の時代の担い手です。
 子供たちと日本の未来のために大人がどう関わっていくか、周囲の人々に何ができるか、皆さんはきっと、胸に手を当てながらお帰りになられたことでしょう。

 今日の守本尊大日如来薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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