コラム

 公開日: 2013-07-18  最終更新日: 2014-06-04

【現代の偉人伝】第176話 ─刃物男を取り押さえた高校球児佐藤和哉君(17才)─

おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 各種報道機関が発表したところによれば、7月16日、青森市合浦の合浦公園駐車場で、近所に住む女性(66才)が、待ち伏せしていた親戚の無職渡辺勇容疑者(73才)に刃物で切りつけられた際、近くで目撃した青森山田高3年で野球部員佐藤和哉君(17才)が救ったという。
 他の部員たちと誘導作業をしていた同君は、女性の叫び声を聞いて現場へ駆けつけたところ、車の陰で首に刃物を突きつけている容疑者を見かけ、「女性が危ない」ととっさに体当たりし、同校教諭と共に取り押さえた。

「人の役に立てて良かった。
 自分の命の危険もあったと後になって気付いたが、無我夢中で必死だった」

 女性は首と手に全治2週間ほどの傷を負っただけで済んだ。

 こうした出来事はほぼ一瞬であり、同君以外の人々にはすぐに忘れ去られるかも知れないが、印象は人知れず残り、目に見えないところで人生に関わったりする場合がある。
 東大付属病院の矢作直樹医師は著書『人は死なない』で、亡父について書いている。
 小学校入学前の医師は、父親と一緒に電車のホームにいた。

「駅のすぐ手前のトンネルの出口に電車の前照灯が見えてきたとき、突然突風が吹いて目の前にいた女の子の帽子が飛ばされ、線路の上に落ちてしまいました。
 泣きそうになっている女の子がかわいそうでしたが、どうすることもできない。
『ああ、帽子が轢かれてしまう』と思ったその瞬間、私の横から誰かが線路に飛び降りたのです。
 電車はもうそこまで来ていて、警笛を必死で鳴らしている運転手の引きつった顔が見えました。
 ハッとして見たら、なんとそれは父だった。
 危ないと思ったその瞬間、帽子を拾い上げた父は義経の八艘飛びよろしくヒラリとホームに飛び上がりました。
 轟音を響かせて滑り込んで来た電車を尻目に、父は軽く帽子の埃をはたいて何事もなかったかのように女の子に渡すと、呆気にとられて見ている大勢の乗客には目もくれず、悠然と私の手を引いてその電車に乗り込みました。」

 そんな父親は「若い頃には給料の大部分を飲み代に使って母を困らせていた」が、病院嫌いで「蘇生を希望せず」献体された。

 登山で生と死の境を二度体験し、救急医療に携わってきた医師は、同著の最後で述べる。

「人の一生は一瞬の夢にも似た儚く短いものです。
 だからこそ、人は現世に執着するのかも知れません。
 愛する人の死を悼み、自分の死を怖れる。
 その気持はよくわかります。
 しかし摂理、霊魂の永遠に思いを重ねつつ、今に没頭すれば、肉体の死を恐れることなく勇気を持って生きることができるのではないかと私は思います。」
「人はみな理性と直感のバランスをとり、自分が生かされていることを謙虚に自覚し、良心の声に耳を傾け、足を知り、心身を労り、利他行をし、今を一所懸命に生きられたらと私は思っています。
 そして『死』を冷静に見つめ穏やかな気持ちでそれを迎え、『生』をまっとうしたいものです。」

 ここへたどりついた医師の生きざまに、見知らぬ女の子のために線路へ飛び降りた父親の気配を感じてならない。

 佐藤和哉君はきっと、肝心な場面では、逃げずに正面からことへ立ち向かうのだろう。
 同君の人生には決然とした姿勢が伴うことだろう。
 その姿勢は今、すでに私の背筋を伸ばしてくれている。
 その姿勢は今後、周囲にいる人々の背筋に関わるだけでなく、矢作直樹医師が父親の気配をまとっておられるように、後代へまでもよい影響力を保つことだろう。

 今日の守本尊不動明王様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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