コラム

 公開日: 2013-07-21  最終更新日: 2014-06-04

芯をつかむ ─心が豊になり周囲から一目おかれる人になる方法─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 よく「話し上手より聞き上手」と言われます。
 なぜでしょうか?

 ちょっと考えると、うまくお話できる人の方が断然、得かなという気がします。
 臆せず前へ出て自分の意見を述べ、知識が豊富である、あるいは思慮深い人であると認められれば、尊敬され、出世もできそうです。
 それに比べて、皆といる時に、半歩退ってじっと聴いてばかりいるような人は、目立たず、主役にもなれず、あまり評価されないように思えます。
 実際はどうでしょうか?

 結論を先に言えば、その人の〈人間としての力〉は、何を言うかではなく、何をしているかにかかっており、人をよく観る人は、聞く言葉よりも、見える行動でこそ相手の人となりを判断するので、人間としての評価は、言葉が巧みであるかどうかとあまり関係がありません。
 うまくしゃべるだけなら、第一に詐欺師、第二におかしなセミナーの講師や教団の教祖、第三におかしな弁護士や政治家などが挙げられそうです。
 彼らはいつでも、どこでも、主役になって人々を丸め込もうと躍起になりますが、人を観る眼がある人からは、すぐに見破られます。
 一方、自分の〈分際〉をわきまえて黙々と役割をこなす人は、周囲から一目おかれるだけでなく、精進の力でいつしか周囲の人々を感化してもいるものです。
 また、複数の人がいる〈場〉の雰囲気や人間関係を察知してから話す人は、どこでも決して嫌がられません。

 では、なぜ、私たちは、聞き上手になろうとするよりも話し上手になろうとするのでしょうか?
 それは、私たちには自己顕示欲があり、どうしても下心(シタゴコロ)がはたらくからです。
 論語は、「巧言(コウゲン)令色(レイショク)鮮(スクナ)し仁(ジン)」と説きました。
 (口先巧みに相手の顔色をうかがいながら自分の顔つきも変えて話すような人は、真の向上心も思いやりも少ないものである)
 高校へ行けば誰でも習う短い文章ですが、人の心理と卑しさを巧みに指摘して余すところがありません。
 そして、話すだけなら誰にでもでき、強く話せば自分が主役になれるので、常々、鬱憤(ウップン)を抱えているような人が、思わぬ場で、期待されていなかった活躍をする場合があります。 
 地域の問題などを話し合う時、ほとんどの人が賛成なのに突然、あまり意味のなさそうな反対意見を強硬に述べたり、議論のゆくえからずれた個人的見解を持ち出したりして時間を引き延ばしてしまうのです。

 こうした心理で生きていると、周囲に起こるできごとや、人々の言動からすなおに学ぶことが難しくなります。
 それでは、人間として向上するきっかけをつかみ損ない、周囲の人々から信頼も得られません。

 もしも、「あっ、私はこのタイプだ」と思い当たり、どうにかしようとするならば、克服する方法があります。
 それは、できるだけ好き嫌いを少なくする努力をすることです。
 特に〈嫌い〉を減らしてみましょう。
 落ちついてふり返ってみると、人であれ、食べものであれ、「私は~さんが嫌い」「自分は~がダメ」と判を押し、~さんは傲慢だから、あるいは、~は臭味が強いから、などと、もっともらしい理由をつけても、ほとんどの場合、まず「嫌い」があり、理由は後からついてくるものです。
 それは、誰かを好きになった時に理由は後からついてくるのと同じです。
 だから、理由は脇へ置き(アレルギーなどの物理的現象は別)、自分の心にある嫌う気持をよく眺めてみると、自分勝手にそう思っているだけであることに気づかれることでしょう。
 それが、誰かを遠ざけ、何かを遠ざけ、自分を縛り、嫌う心と一緒に我(ガ)を強め、百害あって一利ない状態をつくり出しているのです。
 具体的に想像してみましょう。
 たとえば、何人かで餃子パーティーをしようと盛り上がった時、一人が「私は餃子ダメなの!」と反対してしまえば場の雰囲気が壊れ、その一人は〈やや問題ある人物〉と見なされます。
 そして、こうした場合に、自分の好き嫌いを通して〈自分は自分〉と自分を守ったような気がしても、実は、我を強めるだけで、幻の自分を守れない状況になった時には一気に崩れる危険性を高め、人間関係を狭めているのです。
 東日本大震災のおり、避難所で、思わぬ人が「赤ん坊の泣き声がうるさい」と言いだし、周囲のひんしゅくをかっただけでなく、若い父親と母親を別々の避難所で暮らさせる結果になってしまったと聞きました。

 嫌い、気に入らない、などに引きずられなければどうなるか。
 不満が薄くなり、心が軽やかになり、明るくなり、怒りっぽくなくなり、結果的に、我(ガ)もだんだん引っ込みます。
 結果的に、周囲に起こるできごとへ反応する心がすなおに、無色で、フラットになります。
 結果的に、人やできごとの〈芯をつかめる〉ようになります。
「あっ、この運転手さんは思いやりのある人だ。凄いなあ」
「あっ、この介護士さんは仏様のような人だ。凄いなあ」
 結果的に、軽々に運転手さんを軽蔑したり、介護士さんを批判したりできなくなります。
 心の眼がよく観えるようになり、心の耳がよく聴こえるようになり、軽々に前へ出られなくなります。
 ただ、見過ごすのではなく、よく観ること。
 ただ、聞き流すのではなく、よく聴くこと。
 そうすれば、いつしか、聞き上手になっているはずです。

 野球やゴルフの選手は、よく言います。
「芯を食ったスイングだった」
「芯を外したからなあ」
 芯を食うとは、球の中心をバットやクラブがきちんとつかむという意味です。
 できごとや人を前にして、最も大切なのは、その芯をつかむことではないでしょうか?
 そのためには焦らないようにしましょう。
 熱心過ぎるばかりに、前へ出ないではいられないタイプの人も、ちょっと深呼吸して、誰が何をしてどうなっているのか、場をよく眺めましょう。
 観ましょう。
 聴きましょう。
 そうすれば、できごとの本質が顕わになり、人となりが明らかになり、〈的を射た〉対応ができ、信頼も得られることでしょう。
 なお、「的を射た」という場合の「的」は、正鵠(セイコク…的のど真ん中)を意味しているので「的を得た」と言っても誤りではありません。
 的のど真ん中は芯です。
 芯をつかむようにしたいものです。
 
 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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