コラム

 公開日: 2013-08-01  最終更新日: 2014-06-04

仏心・型・自分 ─お大師様と書家柿沼康二氏─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 お大師様は説かれました。

「道理に迷って苦しむのも、自分の中にある仏に目覚めて正しく励むのも、みな自分の決心次第である」(空海BOTより)

 私たちは、「道理」という直感的モノサシを持っていますが、時々、怠惰な心によって、どこかへ置き忘れたり、怒りや恨みによって、望まないのに壊してしまったりします。
 一旦そうなったら大変です。
 羅針盤を持たない船のように、あるいは、ブレーキの効かない車のようになってしまうことでしょう。
 だから、善きことを祈る必要があります。
 そうすると仏心が目覚めます。

 お大師様は、こうも説かれました。

「仏心は自分から離れた遠いところにあるのではなく、一人一人の心中、すなわち、すぐ近くにある」

 私たちが「チーン、チーン」と鐘を二回、打つと、音は耳から心へ入り、心中におわすみ仏は、深い瞑想状態から目を開かれます。
 続く合掌により、左手の自分は、右手のみ仏と一体になります。
 こうして私たちは、自分中心の我(ガ)に支配された心から離れて、み仏の心になります。

 み仏の心は、万人の心がそこから生ずる〈心の泉〉のようなものです。
 泉からは万人を生かす清浄な水が流れ出ていますが、一人一人の心となってはたらくうちに、自分が一番という妄念によって濁りを生じます。
 鐘を打ち、合掌するのは、超高性能な濾過器を作動させるようなものであり、一瞬にして濁りは消えます。
 そこではたらく智慧は万人を生かすみ仏の智慧であり、万人に通じる道理の感覚が生き生きとはたらきます。

 さて、書家柿沼康二氏は『書の冒険』で書く心の順番を示しました。

1 型を吸う
2 型からはみだす
3 俺の心を吐き出す

 型とは古典であり、古典とは、歴史という過酷なふるいにかけられても落ちきれなかったものです。
 氏は、王義之(オウギシ)、顔真卿(ガンシンケイ)、弘法大師の書を古典とし、それを書の基準として取り込むため、毎日5時間、真似て書く臨書(リンショ)を続けています。
 この型という基礎ができないかぎり、書は上達しません。
 それは、体操競技の跳馬を行うならば、まず、跳び箱がきちんと跳べる必要があるのと同じであり、型の訓練は万人にとって書の基礎づくりとなります。
 これが、氏のいう型を〈吸う〉段階でしょう。
 やがて、表現という〈吐く〉段階に工夫がほどこされれば、自然に型からはみだす部分が生じ、やがては、よい水や土壌がおいしい米をつくるように、型はそのものは姿を消し〈俺=自分〉という独自の心が独自の形をとり、実りの作品が生まれます。
 
 私たちが迷う時は、〈自分〉流では突破できない状況にあります。
 基礎が崩れかけているのかも知れません。
 鐘を打ち、合掌し、真言を唱えるなどして心という水の流れを浄化し、仏心に還れば、道理という万人に通じる智慧がはたらき、突破のきっかけをつかめることでしょう。
 私たちは、仏心を共有していればこそ、道理によって通じ合え、その共通した土台の上にこそ〈自分〉という花々が咲いていることを、よく考えたいものです。
 
 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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