コラム

 公開日: 2013-08-04  最終更新日: 2014-06-04

第七回法楽塾 ─『ダライ・ラマ法王の仏教哲学講義』を読む(9)苦しみと安楽の真実─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈『京都環境学』よりお借りして加工しました〉

【ダライ・ラマ法王の仏教哲学講義】       

第一章 仏教における論理的思考の重要性

 第五節  四つの聖なる真実

 4つの聖なる真実とは、お釈迦様が悟りを開き、最初に説法した時に説かれた教えであり、仏教の根幹です。
 
1 苦諦(クタイ)……真の苦しみ
           輪廻(リンネ)の世界におけるわれわれの実情を、真の苦しみとして捉えたもの。
2 集諦(ジッタイ)…苦しみの真の起源
           苦しみの生存の真の起源・原因が執着や欲望であると理解すること。
3 滅諦(メッタイ)…苦しみの真の消滅
           苦しみが真に消滅した状態についての教え。
4 道諦(ドウタイ)…苦しみの消滅への真の道
           真の消滅を実現するための修行法法の教え。

 ダライ・ラマ法王は説かれました。

「お釈迦様が説かれた4つの聖なる真実について、二つの説明の仕方があります。
 一つは汚れたものについての因果関係であり、もう一つは清浄なるものについての因果関係です。」

 ここでの「汚れたもの」とは、苦しみに関する面であり、欲望や執着が問題になります。
 ここでの「清浄なるもの」とは、安楽に関する面であり、悟りが問題になります。

「それらはわたしたちが安楽を求め、苦しみを望まない、ということを前提として述べられています。」

 仏教倫理の基礎は〈生きとし生けるものは安楽を求め、苦しみを望まない〉という事実にあります。
 自分が望み他も望む安楽を共に求め、自分が望まず他も望まない苦しみを共に脱することから逸脱した倫理はあり得ません。

 四つの聖なる真実についての因果関係は、時系列的に、あるいは客観的側面から説かれる場合と、実現の順序、あるいは主観的側面から説かれる場合があります。
 ダライ・ラマ法王は、前者について、マイトレーャの言葉をとりあげます。

「原因と道、そしてくるしみとその寂滅という順に従って、云々」

 また、後者について、同じくマイトレーャの言葉をとりあげます。

「病は認識されるべきである。
 病の原因は除去されるべきである。
 健康な状態は達成されるべきである。
 薬は取るべきである。
 同様に、苦しみは認識されるべきであり、原因は除去されるべきであり、苦しみの消滅は達成されるべきであり、そして道は採用されるべきである。」
 
 もしも病気になって苦しむ時、私たちは誰も、その状態を喜ばず、そこから脱したいと願います。
 原因を知り、原因を取り除くことによって苦しみから逃れたいと望みます。
 原因が塩分の取りすぎであるとわかったなら、誰しもが塩分を控えめにするし、原因が酒の飲み過ぎであるとわかったなら、だれしもが酒をストップするか控えめにすることでしょう。
 苦しみから逃れるためには、小さな苦しみは我慢できます。
 こうして我慢でき、努力できることは人間が理性ある存在である証拠です。
 このプロセスは、四つの聖なる真実の教えと一致します。

 第一に、ぶつかり合い、傷つけ合う私たちの苦しみをしっかり認識しましょう。(病状の認識)
 第二に、その苦しみが続くことを望まない以上、原因を考えましょう。(病気の原因の探求)
 第三に、原因が取り除かれれば苦しみはなくなると確信しましょう。(快癒した状態への希望)
 第四に、原因を取り除く方法を実践するため、努力しましょう。(快癒への努力)

 こうした、問題のありかを的確に掴み、その原因を調べ、原因を取り除く方法を考案し、方法を実行する努力によって問題を解決するというパターンは、社会的にも通用します。
 琵琶湖疎水はその例です。
 以下、『京都環境学』からの抜粋です。
「明治時代を迎えた京都は、東京遷都にともなって、1100年余りにおよぶ都の座を奪われ、あらゆる面で衰微の一途をたどりました。」
 その時、第三代京都府知事北垣国道は説きます。
「京都の再生・繁栄のカギは工業の振興である。
 内陸都市京都にとって、琵琶湖の水を京都市中に引き込めば、あたかも石炭の山が京都の真ん中にできるようなものである。」
 そして、23才の技師田邊朔郎を責任者に抜擢し、田邊は、琵琶湖疎水を完成させただけでなく、日本初の事業用水力発電所を造り、日本最初の路面電車を走らせるという快挙を成し遂げました。
 彼のノートが残っています。

「It is not how much we do,but how well. The will to do,the soul to dare.」
(如何に多くするかではなく、如何に良くするかが大事だ。
 やろうとする意志、チャレンジしようとする魂が大事だ。)

 自他を不幸にする原因を根本から取り除き、自他に真の幸福をもたらそうとするならば、愚かしくまちがいやすい自分を謙虚にふり返るところから始め、このように道理をもって考え、実践したいものです。
 お釈迦様は、〈多く〉する難行苦行から離れ、〈良く〉する瞑想によって悟りを開き、道理をもって説法されました。
 2500年以上にもわたる人間の叡智が蓄積された伝統仏教には、幸福への道筋がはっきりと示されています。
 四つの聖なる真実に立脚し、田邊朔郎のようなチャレンジ精神で生きたいものです。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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