コラム

 公開日: 2013-09-02  最終更新日: 2014-06-04

寺子屋の教え『実語教・童子教』を考える(その55)─股を刺しながら勉学に勤しんだ人─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







 江戸時代まで、寺子屋などにおいて庶民の教科書だった『童子教』を読んでいます。

「蘇秦(ソシン)は学文の為(タメ)に
 錐(キリ)を股(モモ)に刺して眠らず」
  
 昔の中国における故事です。

 雒陽軒里(ラクヨウケンリ)の蘇秦(ソシン)は、学問のために10年間、家を離れ、ようやく帰ったところ、兄嫁は寝床にいたままもてなしもせず、機織りに勤しんでいた妻も、言葉をかけてくれません。
 蘇秦(ソシン)は我が身を深く嘆き、大夫(タイフ…領主あるいは県の長官)になって自分の力を示さねば、このまま兄嫁にも妻にも侮られたままであると考え、再び家を離れ、鬼谷(キコク)先生のもとで勉学に励みました。
 読書をしていて眠くなれば錐で腿を刺し、血が足まで流れるほどでした。
 わずかの時間も惜しんで勉学に励んだ結果、齋王(セイオウ)に仕える身となり、ついに丞相(ジョウショウ…君主を補佐する最高位の官吏)に上りつめました。
 そして、各国のトップが署名押印した重要な書類を携えて家へ向かいました。
 兄嫁も妻も、はるばる六十里先まででかけ、出迎えました。
 蘇秦は言います。
「昔は、私を見てもまったくもてなさなかったのに、こうして出迎えるとはどういうことなのですか?」
 兄嫁は答えます。
「貴男様は今、丞相となられ、国を動かす重要な書面を帯びて帰国されました。
 天下に名をあげ、一族の誇りとなったので、お迎えにきたのです」
 蘇秦は言いました。
「私がここまで立身出世できたのは、あの時、貴女が起きてくれなかったおかげです」
 

 私は昭和21年の生まれですが、同世代でこの故事を聞いたことのない人はいないと思われます。
 あらすじを詳しく覚えているかどうかは別として、志がある昔の人は、眠くなったら足を刺してまで勉強したものであるということは知っていたはずです。
 大学受験の歳には、幾度も思い出したものです。
(その割には怠けていましたが……)
 実践できても、できなくても、志と精進について〈あるイメージ〉を持つことは、大いに役立ちました。
 まず、自分自身をふり返り、恥じるようになりました。
 また、結果を出している人へ、すなおに尊敬の念を抱くようにもなりました。
 やるべきことをやりもしないで自己主張する愚かさ、つまらぬ嫉妬をする愚かさ、そして、いかなる道であれ精進している人の清々しさや高貴さも知りました。

 蘇秦の話は、これから先も、子供たちや若い方々に言い伝えられるべき故事であると考えています。

 今日の守本尊大日如来薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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