コラム

 公開日: 2013-09-04  最終更新日: 2014-06-04

【現代の偉人伝】第178話 ─「祭りと町おこし」を提案した駐仙台韓国総領事李凡淵氏─

おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 9月3日付の河北新報は駐仙台韓国総領事李凡淵氏の「地域と世界結ぶ契機に」を掲載した。
 東京や大阪などで行われている眼を背けさせられるようなヘイトスピーチ(憎悪表現)に同じ日本人として恥を感じていたので、国家の尊厳を背負って外国へ来ておられる方の見識と志の高さに強くうたれた。
 以下、要点を転載しておきたい。

「日本は祭りの国だ。
 大小合わせ2500種類を超えるらしい。
 企業祭りも多い。
 東京三社祭、大阪天神祭、京都祇園祭など、歴史と伝統ある大規模な祭りをはじめ、47都道府県で祭りが年中行われている。
 祭りは地域や集団への帰属意識と結束力を高めると同時に、地域の魅力発信、経済活性化や文化振興など『町おこし』にもつながる。
 今はさまざまな国籍の人々との国際交流の場にもなっている。」

 お祭は、東日本大震災の被災地が立ち上がってきた過程においても小さからぬ力となった。
 当初は、悲しく忌むべき状況なのにお祭の賑やかしはいかがなものかという意見もあったが、徐々に〈日本本来のお祭〉は何であるのかが考えられ、思い起こされるようになり、初めは線香花火のように、やがては文字どおり大輪の花火となってお祭は復活した。
 日本のお祭は、移りゆく季節の中で、神々と人々が、死者と生者が共に存在の確かさを確認し合い、同時に儚さをも共有し合う、歓喜と感謝と哀しみの夢時間である。

 たとえば、お正月のお祝いはなぜ各家庭における最大の祭事として行われるのか、この一件をとってみても、日本のお祭の特徴は明らかである。
 詳しくは、かつて、ブログ『想いの記』へ書いた。
 平成20年1月4日の「お正月に不幸が起こった時」(http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-968.html)及び、平成22年12月29日、「喪中のお正月・仏壇を開ける」(http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-2525.html)である。
 柳田国男によれば、お正月にお祀りする年神様は「一年を守護する神、農作を守護する田の神、家を守護する祖霊(ウィキペディアより)」である。
 吉田兼好は「亡き人の来る夜とて魂(タマ)まつるわざは、このごろ都にはなきを、東(アズマ)の方には、なほする事にてありしこそ、あはれなりしか」と書いた。
(この頃、都の人々はお正月を祝う気持ばかり強くなって年内から浮かれ、大晦日にも祖霊を祀らなくなったが、東国の人々の魂(タマ)まつりをしっかり行う様子はゆかしい) 

「東北だけでも仙台の七夕、青森のねぶた、秋田の竿燈など必見の祭りが多い。
 最近、韓国の人気ドラマに弘前のねぷたまつりが登場して、韓国人にも弘樹知れ渡った。
 仙台の七夕は私が昨年、七夕飾り審査委員を務めたこともあり印象的だった。
 前夜祭の花火に始まり3日間、美しい飾りとにぎやかな出店などが全国の観光客を魅了してやまない。
 残念なのは、この魅力的な七夕が3日間で終わってしまうことだ。
 外国人の立場からすると一週間ほどは七夕飾りと出店などを味わいたいものだ。
 私も審査の時に見たきりで、家族と共にゆっくり満喫できなかった。」

 そして、韓国では1990年代から地域祭が大幅に増え、今は全国で800件ものお祭が行われ、「山形や秋田の山里を思わせる江原道華川では最も寒い1月に、やまめ祭が開催され100万人以上が集まる」。
 また、ソウル清渓川のソウル燈祝祭では、「3万5000の灯籠が2週間にわたり清渓川を彩る」という。

「昨年、仙台で初めて見た光のページェントもシンボルのケヤキ並木を利用した、環境に優しく美しい光景であった。
 終了は大みそかだが、1月末まで延長すればもっと大勢の人々が楽しめるのではないかと思う。
 ソウルのルミナリエは、12月中旬から1月末までの約五十日間、訪れる人々の心を温めロマンを与える。」

 50日間、同じお祭が行われるとは驚きである。
 このあたりはきっと、お国柄の違いなのだろう。

「こうしてみると、仙台と宮城の祭り資源は豊富である。
 その一つが400年前に伊達政宗公が造った貞山運河だ。
 この歴史遺産を活用した貞山運河フェスティバルが名取市閖上で2010年まで行われていたという。
 東日本大震災の復興プロジェクトの一環として、名取川と阿武隈川の河口間を整備し、霞ヶ浦や横浜、そして中国、香港のようなドラゴンボート大会を誘致するのはどうだろう?
 地域住民や環境客が共に参加できる祭りとなれば、海岸公園の復興にも、『町おこし』にもつながるはずだ。
 政宗公が物流水路として開削し、仙台の文化経済の支えとなった貞山運河が、国際的な祭りを通じてあらためて宮城と世界を結ぶ道となった姿を想像してみる。」

 外国から来られた方が、しかも、政治的面では何かとギクシャクしがちな国家間でありながら、異国である日本と被災地をここまで思ってくださるまごころには心から感謝したい。
 相手がよりよくなるようにと願う一人一人の心こそが国家間の信頼の基であり、世界へ平和をもたらす力となるのだろう。
 前述のとおり、日本のお祭には死者も参加しており、華やかさの裏面には「儚さや」「哀しみ」が影のように寄り添っている。
 こうした特性からすると、満開を迎えた桜があまりにも早く散ってしまうのと同じく、いかに大輪の花火も一瞬後には闇の中へ消えてしまうように、去ってしまった夢のような時を惜しむ思いまでを興趣と感ずる日本人が、李凡淵氏がイメージするようなお祭を創り出すことができるかどうかは疑問とせざるを得ない。
 ともあれ、ここまで考え、ご提案いただいた李凡淵氏へ重ねて感謝し、ヘイトスピーチの無礼を、一日本人として心からお詫びしたい。

 今日の守本尊不動明王様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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