コラム

 公開日: 2013-09-19  最終更新日: 2014-06-04

第四十五回寺子屋『法楽館』─雁と田んぼが教える共生の世界─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 10月12日の寺子屋は、「日本雁を保護する会」会長の呉地正行先生から、雁の保護と「ふゆみずたんぼ」についてご講演をいただきます。
 30年の歳月をかけて「シジュウカラガン」の回復事業に取り組み、世界で初めて水田に注目したラムサール条約湿地「蕪栗沼・周辺水田」の実 現に 尽力された呉地正行先生は、「雁という文字は、人(イ)と鳥(隹)がひとつの屋根(厂 )の下に共生している」と指摘し、雁と水田農業との共生を目指す「ふゆみず たんぼ(冬に水を張る 田んぼ)」の普及をめ ざしておられます。
 当山の自然農法『法楽農園』においても「ふゆみずたんぼ」を実践する計画です。
 ご講話をお聴きし、いきとしいけるもの は〈多様性〉と〈共生〉によって存在しており、人間もまた、互いを尊び合うことでのみ平和で豊かな地球に生きられることを確認したいものです。
 
 呉地正行先生の『雁よ渡れ』を読みました。
 
「僕がほんとうに参ったと思ったのは、夜明けとともにねぐらから飛び立つ時の、人を圧倒する光景である。
 東の稜線を染める一筋の光が伊豆沼の水面に差し込んだ。
 黒々とした雁の大きな塊にひび割れが生じた。
 明るさが増すにつれてそれが小さな個体に別れ、ゆっくしと滑るように動き出した。
 お互いを確かめ合うような鳴き声で騒々しさが増す。
 湯がたぎり始めるように動きと鳴き声が活発になったと思った次の瞬間、何かの合図を受けたかのように群れは水面を離れた。
 一瞬の静寂の後に、キャハハーンという鳴き声とギシギシギシという羽音が天を埋めた。」
「入り江を、また伊豆沼をとよもす(鳴り響かせる)雁の飛翔には魔の力がある。
 初対面以来、忘れがたく思っていた雁に対する僕の心はここでついに金縛りにあった。
 人生に一度、人は人生の方向を狂わす何ものかのとりこになることがある。
 僕はそれにつかまった。」

 学園闘争で東大が入学試験をとりやめた年、物理学に興味を持って東北大学へ入ったものの、生き方そのものが最大の問題となりました。

「僕は成り行きまかせで社会に組み込まれていくのではなく、内的欲求のほとばしりによって一瞬一瞬を充実させる生き方を選ばねばならないと考えた。」

 そして伊豆沼の雁と出会われました。

「雁は僕の人生を狂わせた。
 それにうらみを持っているわけではない。
 むしろ礼をいいたいくらいである。
 素晴らしい人生の送り方を教えてもらった。
 それに彼らの生活を調べると、人間が学ぶべきことが多い。」

○雁は一夫一婦制で家族一緒に行動する
 父親が鳴き声とくちばしで示す方向へ、家族揃って移動する。
 一緒に食事をしていて、場所を変えたい場合は誰かが頭を左右に振って合図をする。
 同意すると同じように頭を振り、全員が同意すると飛び立つが、一羽でも頭を振らなければ移動は中止となる。
 家族から一羽でも落伍者を出さないためである。

○雁は多勢が力となる
 二家族が同じ場所で食事をしようとした場合、本格的なケンカにはならず、家族数の少ない方が遠慮する。
 数の多い家族に属する幼鳥が、数の少ない家族に属する幼鳥や成鳥をいじめる場面があるとは、人間社会を思わせる。

○雁は団結して守る
 昔、ハンターに打たれて(現在は禁止)一羽が倒れた時、6、7羽が取り込み翼で扇ぎ立てた。
 そして、上空からハンターに波状攻撃をしかけたという。
 タカにつかまった仲間を地面に押さえつけられたヒシクイ6、7羽が、タカを取り囲んで翼でめった打ちにし、失神させてしまったこともある。

『雁よ渡れ』を読むと、雁のかげがえのなさも、雁を守るための環境保全の重要性も、強く胸に迫ってきます。
 本書をご覧の上、ご講話を聴いていただければ、ご講話が、よりわかりやすくなることでしょう。

 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

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