コラム

 公開日: 2013-09-22  最終更新日: 2014-06-04

東日本大震災 ─東北関東大震災・被災の記(第140回)─多様性を認め共生する再出発─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





  東日本大震災の後、私たちは、これまでの生き方をふり返り、しっかりやっていかなければ犠牲になられた御霊へ申しわけないと思いつつ、ここまできました。

 ガランとなった浜辺と瓦礫になった家や車を目にした時、托鉢でお世話になったあの方もこの方も、あの家もこの家もなくなってしまったことに、なかなか現実感がわかず、ただ、足元が崩れ去ったようで立ってはいられない感覚に襲われました。
 何度か浜辺で祈るうちに、なくなったのは人間や人間の生活だけでなく、イヌやネコや虫や鳥や草花や木々たちでもあることが深く胸に迫り、喪失感は増しました。
 人間を含め多様な生きものが複雑な縁の糸で結ばれ、輝きつつ、成り立っている世界がそっくりなくなったのです。

 2年後の今、人間が縁を取りもどし、自然や生きものたちとの縁も取りもどすための努力は真剣に続けられています。

 今回の寺子屋における「日本雁を保護する会」会長呉地正行先生のお話は、単に震災前への再興というだけでなく、新たな方向性を考える上で大きな示唆をいただけるものと考えています。

 かつては日本全国で見られた普通の渡り鳥だったガンを絶滅寸前にまで追いやったのは、鳥が住めない環境にしながら進んできた私たちの文明です。
 先生は、ガンの群れを取りもどす活動を通じて、冬の田んぼに水を張る「ふゆみずたんぼ」が「ガンなどの水辺の生きものの生息地の復元と、生きものの力を活かした新しい農法」に役立つことをつきとめられました。
 ガンを呼び戻すことは、人間も他の生きものたちと同じ生きものとして、自然の恵みを共に受けつつ生存してゆく本来の姿に気づく道でもあります。
 日本に飛来するガンの約9割は、宮城県北部の伊豆沼・内沼・蕪栗沼周辺で越冬します。
 栗原市の若柳小学校では『生きもの田んぼ』として「ふゆみずたんぼ」を守る活動が行われ、「ふゆみずたんぼの歌」も唄われています。
 東北人は、被災した東北の地にあるこうした道を積極的に歩みたいものです。

 現代文明は、生活を豊かにする一方で、人間という生きものが自然から離れ、環境を破壊し、発達した武器で戦うという一面をも、もたらしました。
 人間に都合よく他の生きものたちをどこまでも排斥してやまない私たちの心は他人をも排斥し、感情や理屈や宗教で角突き合わせる社会をも、もたらしかねません。
 今、私たちに必要なのは、〈多様なものをすなおに認める柔軟性と寛容さ〉そして、〈多様なものと共に生きる感性と思いやり〉ではないでしょうか?
 多様性を認め、共生を目ざす姿勢は、文明の歪みを矯正し、無慈悲さに蝕まれつつある日本人の心へ潤いをもたらすことでしょう。
 空のガン、川のホタル、田んぼのドジョウやイナゴなどと共に生き、穏やかで瑞々しい文明を創ろうではありませんか。

 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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