コラム

 公開日: 2013-10-02  最終更新日: 2014-06-04

日本雁を保護する会会長呉地正行先生に聴く(その1) ─ガンの渡りから「ふゆみずたんぼ」へ─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 9月30日夕刻、「日本雁を保護する会」会長呉地正行先生と10月12日のシンポジウムについて、打ち合わせを行いました。
 そのおりのメモです。
 
○万葉集に登場する鳥のうち、最も多いのはホトトギス、次はガンである

「秋風に山吹の瀬の鳴るなへに天(アマ)雲(クモ)翔(カケ)る雁(カリ)に逢へるかも」
 絵としては宮本武蔵の「蘆雁図」や歌川広重の「月に雁」などが広く知られており、雁(カリ)が渡るシーンは文学作品にも多々、出てきます。

○ガンはまず、声がして、空を見上げるとV字編隊が見え、短調に聞こえる声のもの哀しさが味わい深い

 辻田克巳氏の句に「鳴く雁(カリ)を仰ぐ六才ともなれば」があります。
 ガンは、日本人の情緒にまっすぐ届いてくる声と姿を具えています。

○ガンが飛び立つ光景を見たいならばTPOをわきまえねばならない
 寒さに耐えて日の出を待ち、光景を身体で感じること

 呉地正行先生は凍える早朝に「ほんとうに参った」と言われる圧倒的な体験をされたからこそ、ガンの渡りが持つ意味や意義や価値をつかまれ、こうした活動に献身してこられたのでしょう。
 人生に大きな影響を与えるほどの価値ある体験は、手軽に、便利に、手に入りはしません。
 今回、ささやかな稲刈りをしてみて、人間の都合に合わせてなどくれはしない自然の圧倒的な力や、稲と雑草の関係や、機械と人間のやりとりや、人が何を価値と考えるかなど、さまざまな示唆を得られました。
 あくまでもガンを主とし、人間がその存在の神々しさに敬意を表したふるまいをする人にのみ、ガンは存在の重みを開示してくれるのでしょう。

○ガンは人に近寄らず、環境の変化による影響を受けやすい生きものである

 カエルは水温の緩やかな変化が感じとれず、入っている水を徐々に加熱すると、容器から飛び出せないまま死んでしまうそうです。
 文明もまた、私たちの身体や環境への影響があまり感じられないうちに、危険な方向へと大きく変化しているかも知れません。
 人間から独立し、環境の変化をありのままに写すガンの生態は、時として私たちへ警告を発してくれる重要なモニターです。

○ガンの警戒心は、安全な水上と危険な地上では異なり、群れの大きさによっても異なる
 バイパスと農道により福田町からガンが消えたことは決定的できごと
 広く浅く安全な湿地と田んぼがなくなれば、海をすらねぐらともするが、やがて来なくなる

○ここ100年の間に全国で61パーセントの湿地が消え、全国で三番目に湿地面積の大きかった宮城県は92パーセントが失われた
 伊豆沼周辺しかなくなり、そこでは狩猟鳥だった
 日本へ飛来する数は数千羽まで減り、昭和46年に法的保護が行われてようやく数は回復してきた

○飛来地が増えなければ、病気などによる全滅の危険性があり、危険を分散せねばならない

 今の段階で最も問題なのは、飛来する鳥の数よりも、飛来できる場所の数にあります。
 夜のねぐらとエサを得られる場所の二つが、広くあちこちに確保されてこそ、日本はガンに選ばれる安全な国になります。

○冬にガンのねぐらになる「ふゆみずたんぼ」には、5668種類もの生きものたちがいる
 水を張っておくと生きものの量が増え、田植えされた夏にはサギなどが来るようになる

○夏に来る鳥たちは、水が張ってあった〈冬の光景〉を知らないはずなのに、水を張っておいた田んぼには乾田の4倍以上も集まる
 ふゆみずたんぼでは、鳥の主食となるドジョウが乾田の五倍もおり、ドジョウの主食となるイトミミズもまた5倍である
 カエルやザリガニも同様であり、鳥たちにはすぐどちらが豊饒か、判断できるのだろう

○農業者がガンと長い付き合いをして行けるような取り組みが必要

 かつては共存していたはずの渡り鳥を追い払うだけでなく、渡り鳥が飛来する自然の安全や豊かさを再認識し、新たな共存をめざす知恵と実践が求められています。
 自然農法による志波姫町の『おすそわけ』はその象徴です。
 渡り鳥の糞や多様な生きものたちによって成長した稲は、彼らから「最高に安全である」とお墨付きをもらったようなものです。
 人間が、自然の力によって生み出されたものを〈おすそわけ〉いただくという姿勢は、共存の極地ではないでしょうか。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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