コラム

 公開日: 2013-10-04  最終更新日: 2014-06-04

寺子屋の教え『実語教・童子教』を考える(その61)─智慧を磨き、しっかり生きよう─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 江戸時代まで寺子屋などで用いられていた『実語教・童子教』を読んでいます。

「智者の作る罪は
 大いなれども地獄に堕(オ)ちず  
 愚者の作る罪は
 小さけれども必ず地獄に堕(オ)つ」

(智慧ある者がつくる罪は大きくても、地獄に堕ちない
 愚か者がつくる罪は小さくても、必ず地獄行きとなる)

 日本国憲法ができた時、時の総理大臣吉田茂は議会で説明しました。
「自衛のための戦争を正義の戦争だと考えることは、侵略者を想定するもので、有害無益である。
 従って自衛のための戦力を持つことは許されるべきでない」(加藤周一「記憶喪失の幸福」より)
 確かに日本国憲法の前文と第九条を字面のとおりに読めば、こうなります。

 前文です。
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」
 日本以外の国々は皆、平和を愛し公正と信義を守るので、それを信じてさえいれば安全に生存できると確信したというのです。
 そして第九条があります。
「1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

 吉田茂は、立場をまっとうするため、条文どおりに論理的な矛盾のない話をしました。
 しかし、一人間たる彼の心中はどうだったか?
 死人に口なしでもあり、軽々に論ずることはできませんが、日本国民が原爆によって史上例を見ない虐殺を受け、ソ連が火事場泥棒のように北方から侵略してきた時期に、どうして「平和を愛する諸国民の公正と信義」などが信じられましょうか。
 彼は政治的に、嘘という大いなる罪を犯したのではないでしょうか。
 しかし、〈その時〉を想像してみれば、やむを得ない発言だったと理解できます。
 彼はきっと、地獄に堕ちてはいないことでしょう。

 一方、愚者の貪りや怒りや手前勝手さが罪を犯させ、常に世間が波立っている様子を観れば、地獄行きは因果応報と言うしかありません。  

「愚者は常に憂(ウレイ)を懐(イダ)く
 譬えば獄中の囚(トラワレビト)の如(ゴト)し  
 智者は常に歓楽す
 猶(ナオ)光音天(コウオンテン)の如(ゴト)し」

(愚か者は、獄中にいる囚人のように、いつも憂いが絶えない。
 智慧ある者は、光で会話する光音天にいる天人のように、いつも歓楽が絶えない)

 光音天には音がなく、光によって意思疎通する天人の住み家であり、地獄界から天人界の下の方まで劫火によって破戒される時には、避難所となります。
 やかて金色の雲が起こって雨を降らし、下界が整ってくれば、餓鬼界や人間界など、それぞれの居場所へ帰って行くとされています。

 陽明学に『六然訓』があります。

「自処超然(自ら処することチョウゼン)…自分を客観的に眺める
 処人藹然(人に処することアイゼン)……他人へは和やかに接する
 有事斬然(有事ザンゼン)…………………ことに当たってはテキパキと行う
 無事澄然(無事チョウゼン)………………何もない時は澄んだ水の心境で過ごす
 得意澹然(得意タンゼン)…………………ものごとがうまくいっている時は淡々と過ごす
 失意泰然(失意タンゼン)…………………うまくゆかない時はゆったりと落ちついていること」

 こうなれば、順風の時も逆風の時も、舞い上がらず、落ち込まず、人間修行が続けられます。
 そこに長続きする人生の喜びがあるのではないでしょうか。

 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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