コラム

 公開日: 2013-10-09  最終更新日: 2014-06-04

これでいいのか?仮設住宅とカジノ構想

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





信徒Aさんから届いたお便りの一部である。

「先日も、原発事故補償を受けている人たちに対する厳しい言葉を聞きました。
 お金に浮かれ高級車に乗ってパチンコに行く人達と、お金より故郷を返せと思う人達が、外から眺める人達から一括りにされている現実に、差別区別の欠片をみました。
 もっと突き詰めると、高級車に乗ってパチンコにいく人達も、事故で故郷を奪われなければ、そんな生き方をしないで済んだのかもしれませんし、同じ経験をしないで彼らを語る資格があるのだろうか。。とも思いました。
 私がとりくんでいる問題も、裏にあるのはお金お金お金・・・・であることが、はっきり見えております。
 うんざりです。
 道具に過ぎないお金に、踊らされ続ける我々は、実に哀しい生き物ですね。」

 10月8日付の産経新聞は報じた。

「2020年の東京五輪開催決定から1カ月がたち、観光客を呼び込み大きな経済効果があるとされるカジノ構想が熱を帯びてきている。
 各国から多くの観光客が集まる五輪を好機ととらえ、構想を推進する国会議員連盟は今秋の臨時国会で法案の提出を目指す。」

 法案は、「カジノだけではなく会議場や展示場、宿泊施設なども備えた総合的なリゾート(IR)施設とする」方向で検討され、「法案は施行後1年以内に実施法を定めることが含まれており、可決すれば構想は一気に現実味を帯びる」らしい。
 実感の伴わない「IR」という横文字で表記し、国際会議を呼び込もう、地方自治体に入る莫大な税収でもっとインフラを真価させようとバラ色の未来を描けば、反対されにくいかも知れない。

 しかし、千年に一度の大災害に見舞われ、エネルギー分野での国策だった原発が重大な事故を引き起こし、被災者や故郷を追われた人々が先も見えない暮らしをようやくつないでいる日本にあって、復興や再興の充分な施策が目を瞠る効果を発揮しているどころか、災害にからんだ予算が全国で震災とまったく関係のない事業に流用され、その責任はうやむやになり、「仮設住宅で死にたくない」と呻きつつ弱者が死につつある現在、「お祭をやろう」というのはまだしも、「賭場を開いてテラ銭を稼ごう」とは何たる国家運営法であろうか。

 10月8日、経済協力開発機構は、先進国24カ国・地域において初めて実施した国際成人力調査の結果を発症した。
 日本は、出題された3分野のうち「読解力」と「数的思考力」の分野で1位、「ITによる解決能力」は10位だった。
 まさに、子供たちへ〈読み書きそろばん〉を習得させるという国柄がなさせたわざだろう。
 しかも、単なる学力や知識ではなく社会適応能力が測られた調査の結果であり、私たちは、コミュニケーション能力などに危惧は抱きつつも、一定の自信を持ってもよいのではないだろうか。

 問題は、こうした〈人間力〉を何に用いるかである。
 いかに切れる優秀な包丁であっても、調理以外の目的で手にされれば、災厄をもたらす場合もある。
 Aさんが言われるように「道具に過ぎないお金に、踊らされ続ける我々は、実に哀しい生き物ですね」という自省があればだいじょうぶだろうが、現実はどうだろうか。

 薬師寺の管主だった故高田好胤師は、いくたびも海を越え、慰霊の行脚をされた。
 その言葉である。

「私のような者が、お国のためにいのちを落とされた方々をお慰めするなどという大それたことはできません。
 ただ、ご英霊の恩を忘れ、煩悩のままに好き勝手なことをしている生き残りの日々をお詫びし、今後はしっかりやって行きますとお伝えするのみです。
 悔過(ケカ…仏法僧へ対して過ちを悔い改めること)しか、できはしません。」

 私もいつか、悔過の旅に出て、ご英骨の一片へ手を触れたい。

 私たちは、あまりにキラキラしいイメージをもったものに引きずられてはいないだろうか?
 1917年23才で戦死したフライブルク大学法科学生ウルリヒ・ザルノーは、戦死の直前に牧師へ手紙を送り、戦友の作った詩を母へ手渡してくれと書き残した。

「私は最後まで母のことを思っていた。
 すると、母の老いた手の祝福が
 私の頭の上で慰めの役をしてくれ、
 何ごとも楽になるのであった」

 そして、最後にこうつけ加えている。

「恐らく母はいくらか楽に堪えることができるでしょう。」

 母はこうした存在である。
 そして、あの人も、この人も、無限の生まれ変わり死に変わりの中で、母となり子となってきた同胞である。
 たった今、仮設住宅で「仮設住宅では死にたくない」と呻き、菩提寺の住職がマンションの一室で遺骨と共に暮らしている現状に悲嘆の涙を流しておられる被災者の方々は、長いいのちの流れの中にあって、まぎれもなく、私たちの母であり、子である。
 その呻きや嘆きを忘れ、支援の不備は脇へ置いて「もっと、もっと」と目先の楽を貪ろうとする私たちは、まっとうな文明の創り手であると自負できようか?

 私たちは一人残らず死んであの世へ行き、過去に生きた人々と何らかの接触を行うであろう。
 私たちは一人残らず何者かとして生まれ変わり、未来の人々と何らかの縁を結ぶであろう。
 その時に恥ずかしくないよう、後悔せぬよう、胸を張れるよう、今を生きたい。

 最後に、Aさんのために、お釈迦様の前世物語を書いておきます。

 昔、ヒマラヤの山腹に、生きものたちが仲良く暮らす竹林がありました。
 ある日、火事が起こり、皆、我先にと竹林から逃げ出し始めました。
 その時、麓の池を目指して懸命に飛ぶ1羽のオウムがいました。
 池に入って体中に水をまとい、火事場でそれをふるい落とします。
 何度も何度も繰り返しますが、日は一向に弱まらず、オウムは倒れそうになりました。
 これを目にしたみ仏(お釈迦差の前にも悟りを開き仏陀となられた方々は何人もおられ、お釈迦様が最初の仏陀ではありません)が、オウムに訊ねます。
「お前はそんなことをやって火が消し止められるとおもっているのか?」
 オウムは答えます。
「消せるかどうかは、やってみなければわかりません。
 しかし、私は一緒に暮らしていた仲間を助けたいのです。
 お世話になってきた竹林に恩返しをしたいのです。
 無駄かも知れませんが、私にできることはこれしかないのです」
 そして、オウムは又、残りの力を振りしぼり、池を目ざします。
 その様子にみ仏は微笑を浮かべ、神通力を発揮されました。
 見る見るうちに真っ黒な雲が湧き起こり、烈しい豪雨が一気に火を消し止め、生きものたちも竹林も救われたのでした。
 オウムも。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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