コラム

 公開日: 2013-10-13  最終更新日: 2014-06-04

ふゆみずたんぼと酋長シアトルからのメッセージ

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 10月12日、恒例の寺子屋において、シンポジウム「ガンの渡りとふゆみずたんぼ ─多様性を守り共生する道─」を行いました。
 パネリストは「日本ガンを保護する会 ラムサール・ネットワーク日本」の会長である呉地正行先生です。
 当日の講義の内容については、あらためて詳しくまとめますが、最後の「生きものの賑わいは、なぜ必要か」というところで引用された『酋長シアトルからのメッセージ』が強烈な印象でした。
 シアトルは、今から200年以上も昔、アメリカ大陸へ侵入してきた人々によって土地もいのちも奪われたアメリカインデイアンの酋長です。



 先生は、[安定した生態系]を大切さを説かれました。

「父はわたしらにこうって聞かせた
 わたしらは大地の一部だし、大地はわたしらの一部なのだ。
 いいにおいのするあの花たちは、私らの姉妹だ。
 クマ、シカ、大わワシ、私らの兄弟だよ。
 岩山の峰、草原、ポニー……
 みんな、同じ家族なのだ。」(「酋長シアトルからのメッセージ」より)

 示された図にあるのは、文字どおりの円満世界です。
 ここにあるのは、まぎれもなく自然との共生があり、それは神道のアニミズムであり、仏教の「おかげさま、おたがいさま」でもあります。

 同じく、[安定した生態系]において次の文章を示されました。

「わたしたちは知っている
 血が人をつなぐように、すべての存在は網のように結ばれあっていることを。
 人は、このいのちの網を織りなすことはできない。
 人はわずかな網のなかの一本の糸、だから、命の網に対するどんな行為も、自分自身に対する行為となることを。」(「酋長シアトルからのメッセージ」より)

 ここにあるのは、インド神話における帝釈天が織りなすインドラ網の感覚であり、心理学者ユングが晩年にたどりついた仏教のマンダラ思想です。
 私たちができることは、せいぜいが網の利用であり、無限のつながりがある網そのものを創り出すことはできません。
 そして、誰もが決して単独の存在者ではあり得ず、ひと言のつぶやきですら必ず何かの原因となるのです。
 マンダラの網は同時に、原因と結果を結ぶ糸でもあります。
 思いやりから発する「あの人の病気が早くなおりますように」は、やがて強い思いとなり、言葉となり、行動となり、自他を深い慈悲の世界へ誘うかも知れません。
 憎しみから発する「あいつめ!」は、やがて強い思いとなり、言葉となり、行動となり、自他を傷つけ合う修羅の世界へ誘うかも知れません。



 先生は続いて、[不安定な生態系]の恐ろしさを説かれました。
 示された図にあるのは、たくさんのいのちたちへ与えられていた本来の場所が空白となり、いびつになった世界です。

「亡き祖母の声は、こう語った
 おまえが教わってきたことを、おまえの子らに教えなさい。
 大地はわたしたちの母であることを。
 大地にふりかかることはみな、大地の息子とむすめにも、ふりかかるのだということを。」(「酋長シアトルからのメッセージ」より)

 ここでは、因果関係の網が人間対人間の世界だけではなく天地万物をも網羅して漏らさないことを示し、網は、空間と同時に、時間の世界でも無限に連なっていることを示しています。
 お釈迦様が前世と現世と来世を説かれたのも、同じ理によります。
 もしも、私たちが空へ汚染物質を吐き出し、地を、水を毒薬で穢すなら、その報いは自分へふりかかるだけでなく、子々孫々へも恐ろしい影響を与えかねません。
 そして肝心なのは、こうした教えが先祖から子孫へと伝えられるべき叡智であることです。 

 同じく、[不安定な生態系]において次の文章を示されました。

「建てることや所有することへのきりのない欲求のために、
 私たちは、かえって、持っているもののすべてを失いかねない。」(「酋長シアトルからのメッセージ」あとがきより)

 かつて、私たちは、湿地を埋め立てて田んぼにし、やがて、国策によって一部を放棄し、その過程で明らかに[不安定な生態系]をつくり続けてきました。
 また、果てしなく山野を町にと造り替え、その過程で明らかに[不安定な生態系]をつくり続けてきました。
 しかし、今、その実態が明らかになりつつあります。
 明らかになった問題点を放置すれば、つまり、貪婪な消費社会の飽くなき欲求のままに生きれば、「すべてを失いかねない」のです。
 7月10日、産経新聞は米マサチューセッツ工科大学から発せられた警鐘を報じました。
「中国の華北で1980年まで実施されていた暖房用石炭の無料配布政策に伴う大気汚染で、華北の住民の寿命が華南に比べ5年以上も短くなった」というのです。
 影響を受けた住民は5億人に上り、奪われた寿命は25億年分とされています。
 そして、今現在、中国の各地では、健康な人ですら防毒マスクを手放せなくなっています。
 それでもなお、山村を潰してマンション群をつくり、農民から田畑を奪って都市の住人に仕立て上げ、世界中から食糧を買い集めるだけでなく、アフリカ各国を自国の田畑にしようとしています。
 こうした隣国の状況を見聞きするにつけても、私たちは、いち早く[安定した生態系]の構築へと文明の舵をきらねばならないと思われてなりません。
 あちこちで政治的、軍事的緊張が高まる中、国民の食糧を国内でまかなえることがいかに大切かということもまた、見直されねばならないのではないでしょうか。

 消えそうになったシジュウカラガンも、消されそうになった酋長シアトルからのメッセージも、私たちへ重大な真実を告げています。

 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

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