コラム

 公開日: 2013-10-23  最終更新日: 2014-06-04

NHKテレビ「うつ病 ~防衛本能がもたらす宿命~」を観て(その3)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 NKHの番組に学び、うつ病発症のメカニズムを考えてきた。
 明らかになったのは、生き延びるための防衛本能としてスタートした扁桃体の仕組みが、集団生活をするほ乳類になり、言語を用いる人間になり、農耕によって安定的に生を営む文明社会を構築するに至って、過剰なストレスホルモンを生み、生命力を摩滅させる諸刃の剣となってしまったという事実である。
 もう一度、〈過剰〉となる状況を復習してみよう。

 第一の原因である天敵についてはどうか?

 天敵はいつ、どこから襲ってくるかわからないが、自然の節理の範囲内ならば、適度に襲われ、適度に逃げられ、結果的に一つの個における生命体のバランスが保たれ、集団としての種も保たれ、地球上の巨大な生命体としての〈いのちの世界〉におけるバランスも崩れない。
 しかし、ゼブラフィッシュの実験で観るとおり、自然の節理にないような天敵との同居を強いられれば、個としての生命体は生存するためのバランスを崩し、その状態から逃げられなくなり、自ら死への歩みを早めてしまう。
 もしも、こうした状況が恒常的に起こるならば、種は絶え、地球上のいのちの世界のバランスにも乱れや歪みが生じることだろう。
 私たちの生活をふり返ってみよう。
 事件や事故に巻き込まれないよう、ほどほどに気をつけることによって日常生活が保たれる社会ならば、私たちは社会人としてのふるまいを保ちながら、安定的に生を営める。
 しかし、殺し、奪い、犯すといった犯罪が頻発するならば、あるいはテロが発生すれば、人の心も社会も動揺し、心身を病む人々は激増することだろう。
 テロや内戦の続く国々における人々、あるいは難民となった人々におけるうつ病の発生率などはわからないが、凄まじい状況ではなかろうか。
 防衛本能が過剰にはたらかずに済むよう治安が維持され、安定的に生きられる社会でありたい。

 第二の原因である孤独についてはどうか?

 集団の力でしか生きられないタイプの生きものにとって、孤立は即、死を意味する。
 人間社会も同様であり、電気も水道も電話も車も使わず、一切誰とも接することなく、社会と無関係に生き続けることはできない。
 たとえば自分が所有する山へ入り、文明の利器から離れた孤独な生活をするのは自由だが、法治国家の国民である以上、税金をはらうなどの義務からは逃れられない。
 人が皆、こうした社会内存在である以上、少子高齢化によって社会から切り離されつつある老人(特に、貧しい人々)の孤立と孤独はとても難しい社会問題となっている。

 もう一つ、割合、気づかれていないのが、脳の特徴による孤立への傾斜である。
 アスペルガー症候群、高機能自閉症、摂食障害、性同一障害などは執着心が強すぎるタイプの脳によって起こるという説がある。
 もちろん、そうした脳の傾向は芸術や学問などの分野で目覚ましい成果をもたらす場合もあるが、社会生活においては困難を伴う場合が多い。
 そこに孤立的傾向が生まれ、孤独に陥る危険性がある。
 こうした悩みを持っておられる方々の心に特定のものや状態への執着心から離れられないという辛さや悲しみや苦しみがあるという学説には、体験上も深く納得しつつ、やるせなさが心を重くする。

 また、離職が一気に人間関係を断ち切る場合もあり、孤立無業者(SNEP)の状態が続けば、人間関係がますます構築できなくなりかねない。
 ネットで見つけた自称孤立無業者Aさんの言葉は胸に突き刺さった。
「貧乏人は低知能犯罪確率高くなる理由がよくわかるよ
 アプローチするほど避けられてアプローチしなければますます孤独」
 ここを突破するには、考え方を変える必要があるのではないか?

 私たちは〈自分らしく〉生きたいと願い、〈自分らしさ〉を探そう、あるいは発揮しようと懸命になっているが、こうした心の出発点に問題がありはしないか?
 集団の力でしか生きられない生きものである人間は、古来から口にしてきた「おかげさま」「おたがいさま」の心をこそ出発点とせねばならないのではないか?
 むやみと〈自分探し〉へ走るのは、我執(ガシュウ)にとり憑かれ、本来の出発点から遠ざかる道だったのではないか?
 幻の〈自分〉を求めるこだわりは、前述の〈執着心が強すぎるタイプの脳〉へ近づく無用のエネルギーをもたらしてきたのではないか?
 戦争とは無縁で、豊かな環境を壊さず、豊かで多様な食生活を営み、平等に生きるハッザ族の人々がHNKの取材で語った言葉を再掲する。
 こうした言葉は、何度でも思い出したい。

「朝起きたなら、それだけで幸せです」
「不眠の体験はありません」

 老婆も言った。

「私は家族にとって価値のある人間です」

  誰も〈自分〉など探しはしない。
 キラキラしい文明の恩恵はない一方で、格差も、孤独も、うつ病もない。

 カリフォルニア大学のジャレド・ダイアモンド教授は「(不平等をもたらした)農耕の採用は人類史上最悪の過ち」であると指摘するが、そうとばかり言えないのではないか。
 確かにこれまでの歴史はそう物語っていようが、農耕の恩恵を享受し、文明の恩恵に浴しながら格差や孤独やうつ病を克服する道を探しつつこれからの歴史をつくりたい。
 なぜなら、人間の歴史に価値の創造が伴ってきたことは確かだからである。
 日本人古来の合い言葉「おかげさま」「おたがいさま」に大きなヒントがあるように思えてならない。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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