コラム

 公開日: 2013-10-25  最終更新日: 2014-06-04

金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕陽の岡に ─与謝野晶子とソクラテス─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







〈籠もって寺務を行っていたところ『山海里』さんから一尺ニンジンとジネンジョの差し入れがあり、感謝です〉

「金色(コンジキ)のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕陽の岡に」(与謝野晶子)

 イチョウの葉は、時が来れば群れて散る、少しの風にでも、あるいは風がなくても。
 与謝野晶子は、夕陽を浴びて黄色の葉にやや赤みが加わり、光を帯びながら不規則な動きで飛び交う金色の鳥に見立てた。
 イチョウの黄色と夕陽の橙色、そして、ヒラヒラと自在に舞い降りるのは葉か鳥か。
 この絵画のような一首は、明治38年に刊行された歌集『恋衣』にある。
 同歌集には有名な『君死にたまふことなかれ』も掲載されている。
 与謝野晶子の歌でもっとも有名なのは「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」だろう。
 燃えている身と心に触れてみるそぶりもなく淡々と道を説いているばかりの貴男──。
 三つの作品いずれにも、いのちの滾(タギ)りがある。

 哲学者ソクラテスは、理性の限りを尽くして、知恵や知識には底がないことを説いた。
 いかなる権力者も哲人も、この「無知の知」すなわち、「知らざるを知る」という地点の前では頭を垂れるしかなく、彼は凄まじい怨みや嫉妬や怒りをかった。
 自分も社会も偉いと思っていたのに、〈まだ知らないでいることごとがあることを知っていないではないか〉と偉さの根拠が崩されたのだから、当然といえば当然である。
 それでも彼は、デーモン(神霊)の忠告に耳をかたむけながら、正論と信じることを主張し続けた。
 アテナイの人々は彼を許さず、青年たちをたぶらかした罪と、アテナイの神々以外の神霊を信じた罪をもって死刑に決した。
 彼は従容としてこれを受け容れ、毒盃をあおぐ場所して、国賓クラスの人々用の栄誉に満ちた会場であるプリュタネイオンを望んだ。
 脱獄の機会を無視し、「単に生きるのではなく、善く生きる」者であり続け、「魂ができるだけ優れたものになる」ための道として裁判の評決を重んじ、死を選んだ。
 凄まじい、いのちの滾(タギ)りではないか。

 感性の人も理性の人も、つき動かされて表現し、主張する。
 今年は、托鉢時代の本堂があった聖地の入り口に残るイチョウのそばで、乱舞する金色の小鳥たちに出会う機会があるのだろうか。

 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ