コラム

 公開日: 2013-11-08  最終更新日: 2014-06-04

戒名料やご葬儀料の決め方(2)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 ゆかりびとの会会員Aさんから、「戒名料やご葬儀料の決め方─〈相場〉へ逃げず、人生の大事については自分で考え判断しましょう─」を読んだご感想をいただきました。
「確かに住職が書いたとおりだと思いますが、本当にまごころに応じてご本尊様へお布施をすると莫大なものになってしまうので、皆さん、困るのではないでしょうか。
 お金に余裕がなければ、どうしようもないのではないでしょうか。
 大きなお布施を求めている、あるいは、貧しい方々を切り捨てるといった誤解もありはしないでしょうか」

 お応えしました。

 私は「申しわけない」と思いつつ、お布施をしています。
 それは、み仏を対象とするご喜捨だけの話ではありません。
 わけへだてなく生きとし生けるものを潤す水の心で布施行を行う時は、決して「こんなに納めた」とか、「これだけしてやった」という考えにはなりません。
「これしかできないけれど、せめてこれだけでもさせていただく」
 こうでしかあり得ません。
 なぜなら、いかなる場合も、布施をする相手の〈おかげ〉は大きく、自分は非力で、〈おかげ〉の大きさや重さに比べれば、自分のできることなど、たかが知れています。
 謝りたくなるのは当然です。

 娑婆にいた頃の私は、こうは考えられませんでした。
 だから、人生を左右するような大問題に関して、み仏へ願をかけた時も、そして成就した時も、さしたることはしませんでした。
 お金をけちったというよりは、それでも結果として〈間に合った〉からです。
 ここで言う〈間に合った〉とは、時の流れの中で支障なく、ことがはこんだという意味です。
 み仏へお布施を差し出すことは、商売上の取引とあまり変わらない、み仏との〝やりとり〟の一部でした。
 み仏はご加護をくださり、私はお布施でお返しをしたのです。

 しかし、本格的に仏道を歩み始め、驚きを伴って気づきました。
 仏神のご加護はあまりにも大きいのです。
 国や社会の恩、親やご先祖様の恩、生きとし生けるものの恩、師の恩、そして仏法僧の恩はあまりにも大きいのです。
 それに対して、自分は何をさせていただけるか?
 日夜、安全と生存を保証する国家社会へいかなる恩返しができるか?
 生み育くんでくれた親、輪廻転生(リンネテンショウ)しつつ私の心身へとその影響力を及ぼしている無限のご先祖様方へいかなる恩返しができるか?
 たとえ何をしようとも、すべては「これしか」の範囲を超えられません。
 そして、〈する〉のではなく、すべては〈させていただく〉のです。
 なぜならば、布施や恩返しといった善行は、仏神や社会や親といった相手があればこそ実践できるのであり、善行の実践はすべて善業(ゼンゴウ)となり、自分の未来をよきものとする力として見えぬ世界へ蓄積されるからです。
 実践を可能にしてくださる相手は常に、自分よりも気高く、尊く、文字どおり有り難い存在です。
 真の布施も恩返しも、遜(ヘリクダ)る心からしか実践できません。
 ここが欠けていれば、前述のような〝やりとり〟に堕してしまいます。

 ある日、岩沼市で〈読み聞かせ〉を行っているグループのリーダーBさんから小冊子『おとしぶみ』をいただきました。
 東日本大震災で被災した方々から聴き取った話を手作りでまとめられたのです。
 その時、80才を超えたBさんの口から、「私にはこれしかできません」という言葉が添えられました。
 胸も言葉も詰まってしまった記憶は今も鮮明です。
 
 ある日、関東在住のCさんから突然、お布施が振り込まれました。
 Cさんは困難を抱えながらも、世のため人のためになれる自分をめざし、学びつつ生きようとしておられます。
 一通の短いメールが届きました。
「み仏に対する信仰が強まり、ご縁の皆様にご加護がありますように。」
 ご自身の生活費を切り詰めてお送りくださったお布施は千金の値があり、私などにはあまりの重さです。

 ある日、ご自身の〝その時〟に備え、年金から積み立てておられるDさんからご葬儀のご依頼がありました。
 独り暮らしの妹さんを亡くされたのです。
 ほとんどが年配者数名の家族葬でしたが、しきたりをふまえた手ぬかりのない見事なものでした。
 ご自身の人生をかけた最後の仕事の一つとして妹さんをきちんと送るため、常日頃からどれだけの思いで準備をされていたのか。
 覚悟と節約の日々を想像しようとしても、私などには到底、できません。

 ある日、大病を抱えたEさんのご主人から、当山の『みやぎ四国八十八か所巡り道場』へご寄進がありました。
 Eさんは若き日、四国八十八か所をお詣りしていた時、子供の頃に拝んでいたある菩薩様とめぐり会い、ご自身の守本尊であると深い確信を持たれました。
 いつ、どうなるかわからない状態に陥り、人生最後の仕事として、その菩薩様がご本尊様となっているお堂を造りたいと決心されたのです。
 ご高齢でもあり、ほとんど当山へ足を運ばれないEさんの篤い願いに、さらなる精進へと奮い立たせられました。

 前回の文章で「まごころに応じて」と書いたのは、〈おかげさま〉の真実に立ち、損得や計算による〈やりとり〉でなく、〈させていただく〉姿勢こそが真の布施であり、それは大きな善業(ゼンゴウ)となって実践する方の未来を尊く気高い方向へと導くからです。
 そして、その方の実践は、ご本人の未来を明るくするだけでなく、お線香の香りが周辺へ広がって周囲の人々の心を潤すのと同じく、周囲の人々からもよき心を引き出し、この世を浄土にするための大きな力ともなるからです。
 Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの実践に感じとっていただけるとおり、決して、金額そのものの問題ではなく、まごころ、すなわち心の清らかさの問題であることをご理解いただきたいと思います。

 Aさんから「わかりました。皆さんにご理解いただければいいですね」とご返事いただき、ホッとしました。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

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TEL:022-346-2106

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