コラム

 公開日: 2013-11-18  最終更新日: 2014-06-04

君こひし寝てもさめてもくろ髪を梳きても筆の柄をながめても

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 与謝野晶子の歌である。

「君こひし寝てもさめてもくろ髪を梳(ス)きても筆の柄(エ)をながめても」

 与謝野晶子は、不調に陥った夫鉄幹をかねて夢見ていたパリへと送り出した。
 そのころの鉄幹はなにしろ、ダリアの根のあたりから次々と現れ、列を作ろうとするアリに目をとめ、一匹づつ潰していたというから、いわゆるうつ状態に近かったのかも知れない。
 幸いにして、再起を期すべく夫は旅立ったが、別れ別れに暮らすようになってから、今度は晶子が夫の不在に耐えきれなくなり、こうした歌を詠んだ。
 時は明治44年、鉄幹38歳、晶子33歳である。
 ついに翌年、明治最後の年に晶子は夫を追って洋行する。
 ウィキベディアによれば、森鴎外が資金を援助し、平塚らいてうなど500余名が見送ったというから、当時の晶子の活躍ぶりは充分に想像できる。
 それにしても、何と初(ウブ)な心だろうか。

 11月8日、75歳で亡くなった島倉千代子の『からたちの花』 (作詞:西沢爽 作曲:遠藤実)を思い出す。

「こころで好きと 叫んでも
 口では言えず ただあの人と
 小さな傘を かたむけた
 あゝ あの日は雨
 雨の小径に 白い仄かな
 からたち からたち からたちの花」

 この歌が発表された昭和33年、12歳だった私は勝手に、島倉千代子を〈姉〉と感じた。
 鳥が初めて目にした生きものを〈親〉として慕うのと同じである。
 特段、レコードを買ったりしたわけではなく、たまたま、テレビで目にしたりすると、ああ、ご活躍だな、と思う程度の思慕だったが、訃報に接し、去りゆく自分の人生と、遠ざかりゆく昭和という時代を深く実感させられた。

 与謝野晶子が太陽なら、島倉千代子は月であろう。
 そう言えば、誰かが、美空ひばりを太陽に、島倉千代子を月に喩えていた。

 平安時代の『古今和歌集』にも、晶子のような表現があった。

「こひしねと するわざならし むばたまの よるはすがらに ゆめにみえつつ」

(あなたは焦がれ死にしなさいとおっしゃるのですか、これほど絶え間なく、一晩中、夢の中へおでましになられるとは)
 赫奕(カクヤク)たる太陽の趣であれ、玲瓏(レイロウ)たる月の趣であれ、人を恋うような新鮮な感覚があれば、世界のそこかしこに輝くものを見いだす。
 花も笑い、雨も泣く。
 歌や唄の佳さを感じる心は失いたくないものである。

 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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