コラム

 公開日: 2013-12-01  最終更新日: 2014-06-04

他人様の苦を生きる ─寺院の活性化?─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈『エコクリーンラボ』(仙台市)さんのおかげで、お焚きあげの聖地はすっかりきれいになりました〉

 このところ、寺院活性化とおぼしき記事を散見します。
 山里にある当山あたりへも、各方面から〈ありがたいお誘い〉がポツンポツンと舞い込みます。
 ご遺体をお骨にして終わりという直葬や、公営墓地の需要が増し、「~はいらない」と言われ、寺院は〈別になくたって間に合うじゃん〉という世界へ追いやられつつあるかのような報道も少なくありません。
 そこで、寺院や宗派がさまざまなコンサルタントやカウンセラーや評論家のおでましを願い、活性化をはかるケースもあるようです。

 当山は、そうした方法にあまり関心がありません。
 なぜなら、僧侶は出家者であり、寺院は営利活動を放棄している修行の場であり、在家の方々の成功法が寺院へ真の成功をもたらすとは考えられないからです。
 そもそも、出家者がいかにあるべきかは、出家者としてお導きくださる先達の方々にこそ学ぶべきであり、どの世界でもそうなっているではありませんか。
 横綱白鵬は双葉山を目標にし、大鵬や朝青龍に学びつつ成長しました。
 プロ野球の松井秀喜選手は、長嶋茂雄監督の薫陶を得て成長しました。
 ならば、出家者が成長しきちんと役割を果たすためには、お釈迦様やお大師様やダライ・ラマ法王に学び、優れた行者の方々に学ぶしかありません。
 出家した頃、龍地と名づけてくださった師から「苦しい時は経典へ逃げ込め」と教えられました。
 決して娑婆へ逃げるなと説かれた意味が、自分を省み、周囲を眺めてみて、よくわかります。

 幾多の星々を仰ぎ見つつここまで生かしていただき、あらためて出家者はいかにあるべきかを考えてみると、もはや、選択肢はなくなっています。

 たとえば、ご葬儀で身を斬られるたびに、身近な人を送るという人生最大の苦を重ね重ね体験せざるを得ない自分の因縁を想い、罪深さに身震いします。
 生前であれ、死後であれ、お戒名を受ける方はすべて導師にとっての弟弟子です。
 生前にお戒名を受けられた方は、相手が弟として生きてこられたのに、兄弟子として送らねばなりません。
 死後にお戒名を受けられた方は、ご本尊様から降りたお戒名を伝え、兄弟弟子の関係ができて間もなく、送らねばなりません。
 ご家族の身を斬られるような苦に比べれば万分の一かも知れませんが、導師もまた、引導によって弟弟子を送りつつ身を斬られているのです。
 導師は、逝かれる方の苦も送る方の苦も、いくばくかでしかありませんが引き受けます。
 だから、導師は二重に身を斬られます。

 たとえば、対人関係や病気などで悩む方々のご祈祷やご加持を行うたびに、訪れる方の苦を自分の心の鏡へ映さねばならない因縁を想い、罪深さに身震いします。
 僧侶が出家者であり、行者であるがゆえに、皆さんは最後の頼みの綱として思いを吐露し、ご本尊様の救いを求められます。
 悪心を持ち道理の通らぬ相手と縁を切れない方の煩悶(ハンモン)、大病を抱えたけれど、まだ、何としても死ぬわけにはゆかない方の苦闘。
 そうした方々の激流へ飛び込むことはできませんが、少なくとも水しぶきを浴びるところまで行かねば、ご祈祷もご加持もできません。

 つまり、出家者は、自分の愚かさや罪深さへの戦いを始めた結果、やがて他人様の苦をもいくばくかは生きられるようになれば、結果として生かしていただけるのです。
 出家者が生かしていただけるとはすなわち、ご本尊様に守られ、出家者と在家者双方へ開かれた道場としての寺院が存続できることを意味します。
 道理の通らぬ不条理を真正面にし、無常の鬼に金棒で殴りつけられる時、娑婆の方法では心身を守られなくなる場合があります。
 その時に、そうした方々が〈最後に〉足をはこばれる場として存続する以外、寺院の本質的な存在意義はなく、そこでいかなる苦を己の心の鏡に映そうが泰然として修法を行い、仏法を説く以外、僧侶の本質的存在意義はありません。
 僧侶がここをふまえて日々を生きる以外、少なくとも小さな当山の〈活性化法〉はないと考えています。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

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宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

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