コラム

 公開日: 2013-12-04  最終更新日: 2014-06-04

傷ついた日本人へ(その24) ─悟った人は見えなくなる─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈お釈迦様の修行像〉

 誰でもが悟りを開く可能性を持っていることは、経典に明らかです。
 ダライ・ラマ法王は説かれます。

「経典『如来蔵(ニョライゾウ)経』にも、『どんな人間の心も、その本質は汚れもよどみもない清らかなものだ』と書かれています。
 誰もが少なからず『よい人間でありたい』と願うのも、この清らかな心による『自性清浄心(ジショウショウジョウシン)』があるからなのです。」

 さて、悟りを開き、〈本性だけ〉の存在に成り切った人の姿はどうなるのでしょうか。

「そのありようは、普通の人間の感覚器官を通じて見ることができないレベルなのです。
 ですから、ブッダになった釈尊もその瞬間に『本質的には見えなくなった』とされています。
 しかし、そのとき釈尊はまだ生きていましたし、その間は肉体もありましたから、当然周囲の人々にその姿は確認されていました。」

 以前も書きましたが、昭和36年に日本初の70ミリフィルム映画として公開された大映作『仏陀』に主演した仏陀役の本郷巧次郎は、悟りを開いた後はすべて〈影〉でしか登場しませんでした。
 まさに影現(ヨウゲン…それとは見えぬ影のようなものとして現れること)する尊い存在となったお釈迦様を見事に表現していました。

 法王は、仏陀のお身体すなわち仏身(ブッシン)には三種類あると説かれました。
・法身(ホッシン)…究極の本性であり「見る方も仏陀になり、同じように究極の段階に至らなくては認知することができないもの」です。
・化身(ケシン)…人間の姿をしており、「普通の人間が『人』として認知でき、目で見たり触ったりできる、世俗のための姿」です。
・報身(ホウジン)…法身と化身の「中間の相であり、これは修行を積み、さまざまな真理がわかった人だけが、その概念を捉えることができる」存在です。
 
 法身にせよ、化身にせよ、報身にせよ、私たち凡夫が、悟りを開いた仏陀と会うことは極めて困難です。
 だから、寺院では、こう唱えています。

「人身(ジンシン)受け難し、今己(スデ)に受く。
 仏法(ブッポウ)聞き難し、今己(スデ)に受く。
 この身、今生(コンジョウ)に度(ド)せずんば、更に何(イズ)れの生(ショウ)に於(オ)いてか、この身を度(ド)せん。
 大衆(ダイシュウ)諸共(モロトモ)に、至心(シシン)に三宝(サンボウ)に帰依(キエ)したてまつる」

(人間としてこの世に生まれることはとても困難だが、今すでに人間として生きている。
 仏法を聞くこともとても困難だが、今すでに聞いた。
 希な生を受けたこの身を、今、この世で悟りの世界へ渡らせられなければ、いったい、いつ、迷いと苦しみから離脱できようか。
 だから、悟りの世界へ向かうため、人々皆と共に心から、み仏と仏法と僧侶の三宝を真のより所として尊崇申しあげる)

 チベット密教に有暇具足(ウカグソク)という言葉があります。
 それは、人間界にある者は、仏法を学ぶ余裕がある存在として生まれ、学べる条件のある環境で生きているということです。
 たとえば、人間界でなく、地獄界や餓鬼界などに生まれたならばとても学ぶ余裕などなく、また、仏法に接する機会のない時代や場所に生まれても、仏法は学べません。
 そして、私たちのいのちは、砂時計の砂が流れ落ちるように、絶え間なく減り続けています。
 余裕のある時間、学べる環境にいられる時間は、たちまち過ぎて行きます。
 今年の流行語「今でしょ!」ではありませんが、今、学ばねば、時を失してしまいます。
 貴重な生、貴重な時間があるうちに、真のより所に気づき、学び、実践したいものです。
 そうすることにより、たとえ、み仏そのものとお会いできなくても、み仏の世界を感得するのは充分に可能です。
 心からご本尊様へおすがりし、僧侶に訊きながら経典のとおりに観想や読誦を行えば、必ず自己中心や損得や執着心から離れた蓮華のような心が開くのです。

 法王は、ご自身について述べられました。

「仏陀はこの世界の全てを悟ったものですが、私はとてもそんな高い悟りの境地に達していません。
 私はただの一人の人間で、皆さんと何も違いがないのです。
 強いて言えば、私の方がみなさんより長く密教や仏教の勉強をしているため、少々知識が多いということぐらいでしょうか。
 もしくは、仏教を熱心に勉強していた前世の力が、今の私にはたらいているのかもしれません。」

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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