コラム

 公開日: 2013-12-09  最終更新日: 2014-06-04

学び、自分の心と向き合う ─自分が変わるしか、根本的な救いはない─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





ダライ・ラマ法王は、僧侶にも在家の方々へも警鐘を鳴らされました。

○僧侶への警鐘

「きちんとした勉強と瞑想があわさって初めて価値があるのです。
 この時初めて仏教を実践し、高め、守ることができるでしょう。」
「師の教えが何を意味しているのか理解したり、自分で検証したり、ときにはそれに疑問を持ったりするには、当然一般的な仏教の基礎をきちんと知らなくてはいけないのです。」

 修行を始めた頃、師の言葉のほとんどが新鮮でした。
 学生時代から仏教書は結構読んでいましたが、実際に仏教を生きておられる方の口から出る言葉は、力も奥行きも広がりも、まったく違うのです。
 だから、教えていただいたことごとへの質問が途切れはしませんでした。
 そして、ただの一つも、回答をいただけない質問はありませんでした。
 教えはまさしく、器から器へ移すように伝えられるのです。
 仏法を生きておられる師の身体から、言葉から、心から滲み出る仏法が弟子の身体と言葉と心へ浸透し、法力もまた、徐々に受け継がれます。

「残念ながら、経典をお寺の戸棚に飾ったままだったり、経典自体を崇めたりしているような方々がいます。
 そうでなく教科書のように普段から手に取り、毎日それを読むこと。
 そこから少しづつでも何かを学び取ること。
 それが大事なことなのです。」

 師は、「困った時は経典へ逃げ込め、娑婆へ逃げ込んではならない」と説かれました。
 娑婆でさんざんやらかしてから出家した私のような者は、娑婆でのやりくり法が習い性になっています。
 そこから抜け出ない限り、まっとうな行者になれはしません。
 うまくやろうとする知恵を離れ、問題を根本から解決するためには、み仏のお智慧におすがりするしかありません。
 しかし、経典は温かく包んでくれる愛に満ちてなどいません。
 説かれているのは超ハイレベルな行者の仏性が全開し、そこでつかんだ真理・真実が奇跡的に表現された異次元の世界なので当然です。
 言葉も日常生活の世界を映すものではないのでなじみが薄く、凡夫が敬遠しがちなのもまた当然です。
 それでも、み仏にお仕えしながら生きると決めたプロとしては、手強いからといって敬遠すれば、救いはなくなります。
 経典を読み、血肉にするのは、清浄な泉の水を飲むのと同じです。
 飲まずに飲んだようなことを言って生きようとすれば行者としては欺瞞であり、怠慢であり、やがてはごまかすための我慢(ガマン…自我にこだわる意識がもたらす慢心)も頭をもたげ、失格です。
 いかに恐ろしく澄んでいても、いかに舌を切りそうな冷たさであっても、飲まねばなりません。
 必死に飲み、味わった甘露のもたらす感激は心身の滋養となり、行者を生かし育てるエネルギーとなります。
 そうして育てていただけばこそ、行者は心力と智力と法力が身に付き、本ものの僧侶になれます。
 心力とは、思いやりから発する力です。
 智力とは、ものごとを本質から見極め、対処する力です。
 法力とは、み仏の世界へ入り、現象世界へ影響を与及ぼす力です。

○在家の方々への警鐘

「お寺でお祈りしたりお願いごとをしたりするだけの方がいますが、それだけであなたの願いは成し遂げられません。
 たしかに仏教徒は『三宝へ帰依する者』と言われるように、仏や僧に帰依する者という考え方もあります。
 もちろんその存在によって、心が穏やかになったり、慈悲を高めたりするきっかけになれば、それはそれでいいことです。
 しかし、仏像も僧侶もあなたを救ってくれるわけではありません。
 あなた自身が自分の心と向きあわなくてはならない。」

 仏像を眺めて心が静まり、僧侶の話を聞いてホッとされればそれはそれで価値ある時間でしょうが、身を捩(ヨジ)るような問題、頭をかきむしりたくなるような問題、いっそ死にたくなるような問題を解決するためには、三力(サンリキ)が必要です。
 一つは、仏心へ祈る謙虚な心による異次元世界との感応、一つは、周囲の縁の力、もう一つは、自分自身の努力です。
 三番目の〈努力〉の中に「自分の心と向き合う」ことが含まれます。
 これがないと、同じ苦境に何度も立たねばなりません。
 それは、せっかく目先の困難を乗り切っても、自分が根本から変わっていないからです。
 思考パターンや行動パターンとして表れる過去の因縁から脱していないからです。

 自分を変えたい時、寺院を訪ねるのが無駄とは限りません。
 仏像や僧侶そのものに救ってもらえなくても、合掌してぬかづく仏像に感じとるみ仏のお慈悲やお力も、自分自身の心といつも向き合っている僧侶の口から発せられる言葉も、訪ねる方が自分自身の心と知らぬ間に向き合うきっかけになっているかも知れないからです。
 だから、漫然と名所を観光をするだけではなく、有名人の説を楽しむだけではなく、問題意識を持っておでかけになられてはいかがでしょうか。

 ある時、少女とお母さんが人生相談にご来山されました。
 いじめがあったらしく、少女の足が学校へ向きにくくなってしまったのです。
 少女は東日本大震災の被災地を見ていました。
 同じ光景を話題にして対話しました。
 すべては変わる、必ず変わる、変わらないものはない。
 托鉢時代の私を支えてくれた町や村や人々や家がなくなり、未だに信じがたい気持はあるが、2年以上かかって少しづつ、心がおさまり、一方で感謝が深まっている。
 誰かの邪慳な心も、自分の悲しみや憎しみや恐れも、季節が巡るように、永遠には続かない。
 ただし、お母さんの愛情や親友の友情など、変わりにくく、信頼できるものもある。
 少女の心には、変わりやすく感じられる何があり、変わりにくく感じられる何があるか。
 そんな話をしました。
 少女の目はこちらへ向かいつつ、心は徐々に、自分の内奧へと向かっているように思えました。

 今日の守本尊不動明王様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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