コラム

 公開日: 2013-12-10  最終更新日: 2014-06-04

第四十七回寺子屋『法楽館』─福島県富岡町における原発事故の被害と現状について─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈故山下清画伯の陶器です〉

 東日本大震災から1000日が過ぎました。
 直接的被害者としての死者は1万5883人、いまだ行方不明となったままの方々は2651人おられます。
 そして、仮設住宅や借り上げ住宅での避難生活をしておられる方々は、27万7609人と発表されました。
 そのうち22万7119人は東北地方にとどまっておられます。
 また、避難に伴う体調の悪化などで亡くなられた東北の震災関連死は岩手・宮城・山形・福島4県で2888人です。
 しかし、仮設住宅で暮らしておられる方々のお話をお聴きすると、壁一枚で隔てられているお隣さんの生活音などによって心身に変調をきたす方々や、急ごしらえのコミュニティで生じる対人関係のトラブルに悩む方々は膨大におられ、そうしたことごとが間接的原因となって亡くなられた方々の数は数え切れないだろうということです。

 いとうせいこう著『想像ラジオ』は書きました。

「死者と共にこの国を作り直して行くしかないのに、まるで何もなかったように事態にフタをしていく僕らはなんなんだ。
 この国はどうなっちゃったんだ」

「~東京大空襲の時も、~広島への原爆投下の時も、長崎の時も、他の多くの災害の時も、僕らは死者と手を携えて前に進んできたんじゃないか。
 しかし、いつからかこの国は死者を抱きしめていることが出来なくなった。
 それはなぜか?」

「声を聴かなくなったんだと思う」

「亡くなった人はこの世にいない。
 すぐに忘れられて自分の人生を生きるべきだ。
 まったくそうだ。
 いつまでもとらわれていたら生き残った人の時間も奪われてしまう。
 でも、本当にそれだけが正しい道だろうか。
 亡くなった人の声に時間をかけて耳を傾けて悲しんで悼んで、同時に少しづつ前に歩くんじゃないのか。
 死者と共に」

 当山も、12月1日の河北新報へ「鎮魂への道」を書きました。

「千は仏教的に無限を意味するが、被災した方々の現実を見ると、無限の日々がたったどころか、未曾有の天災と人災の発生はついこの間の出来事であるかのようである。
 国家的復興の道筋はいまだ明らかにならず、災厄の爪痕は打ち棄てられた公園にも、雑草に囲まれつつある寺院の土台や崩れたままの墓地にも、生々しく残ったままである。
 古里から切り離されて全国へ散った膨大な数の人々は不条理に心身を傷めながら、未来の見えない不安な日々を過ごし、多くの被災地では具体的な未来像が描けていない。
 津波や地震でよりどころを破壊された無数の御霊方はさまよったままである。
 そして、事故を起こした原発は、途方もない人力や経費が費やされているにもかかわらず汚染水を発生させ続け、実態の不可知を突きつけてくる。
 一方、復興のための予算が全国の至る所で不適切としか思えない使われ方をしていた。
 誰がいかなる責任をとったかすら明確にされないまま、今度は超党派の国会議員がきらきらしいカジノ構想を打ち出す状況は、身震いしつつ文明の転換点に立つ思いの一宗教者として耐え難い。
 犠牲者となった方々への鎮魂の思いはもう消えたのか?
 不意の災いによって苦しみのふちへ落とされた方々は、進む文明の光の陰でひっそりと耐えてゆくしかないのか?」

「確かに私たちは癒されなければなかなか立ち直れず、立ち上がらなければ御霊を心配させてしまうだろうと考える。
 癒やしは共感に激励が加わって成り立つ。
 哀しみ・寂しさ・つらさに共感してくれる誰か、そして力強い言葉で、あるいは無言で励ましてくれる誰かによって私たちは力をよみがえらせ再び歩み始める。
 その歩みは、たとえ苦しい感情は消えても死者と共にいるという〈何ごとか〉によって揺るぎないものとなる。」

「死者とつながる心が失われれば倫理の根は枯れ、文化の華にはすぐにあせる軽薄な色と、刺激的でもすぐに飽きる香りしか伴なわない。
 喪に服す慎みを心に保ち、真の意味で麗しく、徳の香りが漂う死者へ恥ずかしくない日本を皆の手で一歩一歩とつくってゆく以外、鎮魂と慰霊と謝恩の道はないように思う。」

 こうした思いを込め、今月の寺子屋『法楽館』では、原発事故によって全町避難となり、今、現在、避難生活をしておられる方々と、そのケアに日々を過ごす方の生の声をお聴かせいただきます。
 一人でも多くの方々に現実を知っていただきたいと願ってやみません。 
 
・講  師 福島県富岡町社会福祉協議会『おだがいさまセンター』アドバイザー青木淑子(ヨシコ)先生と「語り部」の方々総勢5名様
・日  時 12月14日(日)午後1時30分~3時30分 ※毎月第一日曜日に開催します。
・場  所 法楽寺講堂(イステーブルの席あり)
・参加費 1000円(中学生以下は500円)
・送  迎 午後1時に、『イズミティ21』前へ送迎車がまいります。乗車希望の方は前日午後5時までに必ずご連絡下さい。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

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