コラム

 公開日: 2013-12-17  最終更新日: 2014-06-04

寺子屋の教え『実語教・童子教』を考える(その67)─雷神と蛇、金の釜と清泉

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 江戸時代まで寺子屋などの教材となっていた『実語教・童子教』を読んでいます。

○第一話 雷の話

「酉夢(ユウム)其(ソ)の父を打てば
 天雷(テンライ)其(ソ)の身を裂く」
 
 宋の時代に書かれた『吉凶影響録』にある話です。
 唐代の人酉夢(ユウム)は、夜中に帰宅して父親に殴られました。
 逆上した酉夢が杖で父親の顔面を叩いたところ、一天かき曇って地震と雷が起こり、酉夢は家へ落ちた雷神につかまれて夜空に消えました。
 翌朝になり、引き裂かれた酉夢の死骸が庭先へ落ちました。
 集まった人々は、その背中にはっきりと銘が刻まれているのを見ました。
「酉夢打父天報裂身(ユウムダフテンポウレッシン)」
(酉夢父を打つ、天、報いとして身を裂く)

○第二話 大蛇の話

「班婦(ハンプ)其(ソ)の母を罵(ノノシ)れば
 霊蛇(レイジャ)其(ソ)の命を吸う」

 宋の時代に書かれた『括異記』にある話です。
 鐘山の住人班婦(ハンプ)は、常に母親を誹り、叱りつけていました。
 ある時、山から巴蛇(ハダ)という聖なる蛇が降りてきて、班婦(ハンプ)は喰われてしまいました。
 巴蛇は、体長1800メートルもある黒い大蛇です。
 津波を起こして漁民を苦しめていましたが、最後は退治されました。
 その3年後、口から吐き出された象の骨は、腹痛を癒す漢方薬として珍重されたということです。



○第三話 金の釜の話

「郭巨(カクキョ)は母を養わん為に
 穴を掘りて金(コガネ)の釜を得たり」

 古代中国の『孝志伝』に書かれた話です。
 後漢の郭巨(カクキョ)は、貧しい生活をしながら老いた母親を養っていました。
 生まれた子供が3才になった頃、母親が孫へ食べものを分け与えていることを知りました。
 思い余って妻へ語りかけます。
「このままでは、貧しくて母親を養ってゆけない。
 いっそのこと、子供を埋めてしまい、母親を養ってゆこうではないか。
 子供はまた、授かるかも知れないが、母親は再び得られない」
 ついに妻は同意し、二人で穴を掘ったところ、2尺ほどのところで、金の釜が見つかりました。
 そこには黒金の銘がありました。
「天賜孝子郭巨官不得奪人不得取」
(天、孝子の郭巨に賜る、官も奪うことを得ず、人も取ることを得ず)
 それは6斗4升もの容量があったそうです。

○第四話 清泉の話

「姜詩(キョウシ)は自婦(ジフ)を去りて
 水を汲めば庭に泉を得たり」

『後漢書』にある話です。
 廣漢の住人姜詩(キョウシ)は、夫婦で親孝行をしていました。
 母親がナマズと江漢の川水を好むので、嫁は6~7里もの道を往復して川から水を汲んできました。
 ある大風が吹いた日、妻が帰らず、母親へ水を与えられなかった姜詩は、不孝を怒り、妻を離縁しました。
 妻は富貴の家へ嫁ぎもせず、近所へ住んで昼夜、紵(オ…カラムシともいう繊維になる植物)を織って過ごし、おいしいものがあれば、名も告げず、かつての姑へ送り続けました。
 訝しく思った姑が隣家の老母に子細を尋ねて事実が明らかになり、嫁は呼び戻され、夫婦、親子は今までよりも仲良く暮らすようになりました。
 やがて、子供が水を汲むようになりましたが、ある日、深みにはまって亡くなりました。
 その後、庭でこんこんと湧くようになった清水から毎日、2匹づつ鯉が踊り出し、一家は膾(ナマス)を食べて元気に過ごしました。

 上記の四話はいずれも荒唐無稽であり、現代の倫理からは遠い世界と感じられるかも知れませんが、こうした物語に触れ、ともすれば〈当たり前〉と忘れてしまいがちな親の恩を考えてみることは、子供にとって大切であろうと思います。
 最も身近にある恩に気づけば、やがては親族やご近所様の恩、そして学校や職場や国家社会の恩も感じとれる力が身に付くのではないでしょうか。
 押しつけたり、当てはめたりではなく、子供が「えっ!」と驚き、感性が反応すれば、しめしめといったところではないでしょうか。
 さらに、「何で親のために子供を殺そうとするの?それが正しいの?」などと疑問が生まれ、議論が始まればもう、上出来ではないでしょうか。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ