コラム

 公開日: 2013-12-19  最終更新日: 2014-06-04

【現代の偉人伝】第183話 ─「透明な歳月の光」570回を数える曾野綾子氏─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈ロイター/Khaled Abdullahよりお借りして加工した「書記官を治療する病院前」〉

 産経新聞をとるようになって以来、なるべく読み落とさないようにしているのが「透明な歳月の光」である。
 連載している曾野綾子氏は、広角レンズと望遠レンズを兼ねたかのような視点から現実を眺めておられ、目を瞠(ミハ)らせられる場面が多い。
 生涯、知り得ず、もちろん体験できようもない〈現実〉がたった今、地球上にあること、そして、それは、決して自分の小さな世界と無関係ではないことを突きつけられ、ぐうの音(ネ)も出ないままに読み終え、しばしあれこれ考えてから次の紙面へ移るのが常である。
 読むたびに、無言で「あなたはどうですか?」と問われるのである。

 12月18日は、イエメンの日本大使館に勤める2等書記官が刃物で切りつけられ、あわやという目に遭ったできごとをきっかけに、世界における貧富の差と、治安状況の差を示された。
 以下、「日本人の想像を絶した格差」である。

 私たちは普通、国家の首都の中心部は、その国で最も警備が行き届き、大使館員の安全などは何としても国家が確保してくれるだろうと思っている。
 しかし、今回は、高級ホテルからわずか数百メートルを通勤する最中で強盗に襲われた。
「大使館の警備をしているプロでも、こうして襲われたら、防ぐすべがなかったのである。」

 曾野綾子氏は、1990年代に、南アフリカ共和国の首都ヨハネスブルグで、「ホテルから数百メートルのところにある知人のオフィスへ日本から持ってきたお土産を届けようと」して連絡を入れた。
 知人は「すぐ近くに見えているオフィスビル」から迎えの車を出すので「決して歩いてくるな」と忠告した。
 当時は比較的治安が安定していた南アフリカでさえ、普段、「車は安全のために窓を開けない」で走るのである。
 白昼、ちょっとそこまでだから、などというのは甘く、無知で、自分から危険を呼び込んでしまう。

 コートジボワール共和国では、ホールドアップとなったなら、「秘密のボタンを押して」車を明け渡してしまう。
 盗られた車は「国境までの間にガソリンが切れるような仕掛けがしてある」という。
 もしも、すぐに走れなくする仕掛けをすれば射殺されてしまう国情に合わせた、せめてもの知恵である。

 マンデラ大統領の死去で国情が報道された南アフリカ共和国では、最近、「人間観の経済的な格差も差別感も、むしろ大きくなっている」と英字新聞に書いてあったらしく、曾野綾子氏は「人の心はそう簡単には解決しない」と観ている。

 ブラジルの富豪は、「ベンツでもBMWでも」ない「オンボロトラックやミニバンを数多く」持ち、「安全のために毎日車を替え、違う時間に家を出て、決して同じ道を通らない」ようにしており、「それが第三世界の日常生活の常識なのだ」と説く。

 氏の結論である。
「こうした土地を知らずに、日本は貧富の差がひどい、弱者を犠牲にする悪い国だ、という人がいる。
 せめて現場を一度見てから発言してほしい。」

 さて、どう考えるか?
 日本国に生を享(ウ)け、ありがたいと、あらためて感謝する方もおられよう。
 第三世界の人々を憐れむ方もおられよう。
 その国その国で事情が違うから、あまり関心がないという方もおられよう。
 誰もが氏と同じく世界を股にかけて活躍できるわけではないのに、高飛車ではないかと反発する方もおられよう。
 結果的に現状を認めさせようとするのは権力者側の姿勢で、弱者を軽視していると怒る方もおられよう。
 
 いずれにせよ、批判を承知で生の体験を私たちへぶつけ、現状を考える材料としてくださることはありがたい。
 少なくとも、井の中の蛙のままで死ぬ危険をいくばくかは回避するきっかけを与えてくださるのである。
 まずは感謝し、すべては〈それから〉としたい。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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