コラム

 公開日: 2013-12-22  最終更新日: 2014-06-04

ビッグバン前の宇宙へ切り込む仏教

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈科学だけが江戸切子を作ったのか、祈りはどこにもないのか〉

 ダライ・ラマ法王著『傷ついた日本人へ』を読んでいます。

○ビッグバンの前の宇宙はどうなっていたか

「精神的な分野だけではなく、物理学の分野においても、仏教と科学は近いアプローチを行っています。
 物理学というと、数式と実験の世界に思われるでしょう。
 しかし、宇宙、時空などの分野は未知の領域がたくさんあり、理論や概念でも語られることの多い世界です。
 そのため、科学と仏教の導き出す仮説が重なりあうことが多い。
 科学は観測と計算から、仏教は論理学や哲学からと、それぞれ別の側面から真理に迫っているというのは、とても面白いことです。」

 人間は、真理を求めずにいられない存在です。
 特に宗教や科学を勉強するかどうかにかかわらず、自分はなぜここにいるんだろうとか、亡くなったお祖母ちゃんはどこへ行ってしまったんだろうとか、どこまでも続いているように見える星空の向こうはどうなっているんだろう、などと誰しもが考えた経験をお持ちなのではないでしょうか。
 また、人間は、具体的な願いを持たずにいられない存在です。
 かつて、「食う寝る遊ぶ」という言葉が流行りましたが、そうしたイヌやネコにも共通する願いだけでなく、早く風邪を治したいとか、サッカーの選手になりたいとか、他人から好かれる人になりたいとか、天候に左右されにくい米を育てたい、など、手を合わせるような気持になったことのない方はおられないことでしょう。
 私たちは、真理を求め、願いの達成に向かい、学び、考え、工夫します。
 こうした切実な気持によって「観測と計算」による科学が発達し、「論理学や哲学」による仏教が深められてきました。
 無数のご先祖様方の思いが、現在の科学の成果や仏教の救済につながっているのです。
 仏教が追い求める「自他共に霊性を輝かせる道」とは、人間が持つ全人格的力を解放することです。
 仏教や科学や芸術といった区分けを用いて選び取ったり捨てたりする必要性は、いかなる理由で、どこにありましょうか。

「たとえば『宇宙はどのようにして生まれたか』という問題。
 科学の世界では、約百三十七億年前に膨大なエネルギーの爆発が起こり、そこから現在の宇宙が始まったという『ビッグバン理論』が唱えられています。
 しかし、これもまだ仮説の領域を出ず、科学者によって見解はまちまちです。
 発生時期一つとっても、様々な説があるような状態です。
 そして最大の謎の一つは『ビッグバンが起こる前はどのような状態だったのか』というものです。」

 お釈迦様が「無記(ムキ)」という姿勢をとられたことから、仏教徒は科学的な疑問を持ったり、科学を学んだりしてはいけないという主張をされる方もおられますが、いかがなものでしょうか。
 お釈迦様が亡くなられてから500年ほど後になって「このように聴きました」という形で経典が編まれ始め、お釈迦様は「この世界は、どうなっているのか?」などと質問した男に対して「そのような質問に対しては答えない」と、回答を避けたと記されています。
 そして毒矢の喩えを示し、苦を抱えた人間がまず、なすべきことを説かれました。

「もしも、毒矢が刺さって苦しんでいる人がいれば、矢はどこから飛んできたか、放ったのは誰か、何の毒かと詮索するよりも先に、矢を抜かねばならない」

 これは、まず、矢を抜く必要があると答えられたのであって、矢について考えてはならないと禁止されたわけではありません。
 お釈迦様とて、毒矢を放つ悪行(アクギョウ)を絶やし、毒を解毒し、より安全に暮らせる方がよいと考えられたはずです。
 警察や裁判官のように社会の治安を守る人々や、治療に携わる人々はいつの時代も必要とされ、無用であると考える人はいないはずです。

 お大師様も説かれました。

「四大の乖(ソム)けるには薬を服して除き、鬼業(クゴウ)の祟(タタ)りには呪悔(ジュカイ)をもってよく銷(ケ)す」

 骨折したり、血液がうまく回らなくなったり、熱が出たり、呼吸に問題が起こったりした場合は、薬や医者の力によって治し、目に見えぬものの障りや祟りによる不調は宗教的方法によって解決しようということです。
 究極的真理を求めて海を渡ったお大師様は、人々と国を救うため、仏教だけでなく、多方面について学び、持ち帰った多方面の研究を続け、天皇や庶民の病気を治し、満濃池の氾濫を退治しました。

 その時、その人にとって、最も必要なものが何であるかはさまざまです。
 まず宗教的な救いが必要な場合もあり、まず医者にかからねばならない場合もあります。
 大切なのは、そうした判断を誤らないことに尽きます。

「『無』の状態にあったところから、突然爆発が起きて宇宙が生じたというのがこの理論の通説です。
 それではその『無』とはどういう状態なのでしょうか。
 なぜ『無』から宇宙が発生したのでしょうか。
 これについては最新の科学をもってしても明確な結論が出ていないのです。」

「われわれ仏教徒も、この問題に対する結論は出せていません。
 しかし、宇宙を考えることは、仏教の基本通年である『空(クウ)』や『無』を考えることにつながります。
 また、宇宙のありようを解き明かすことは、この世界の真理に近づき、自分自身の存在を見つめることにもつながります。」

 仏教徒が空の経典であるく般若心経を読誦し、写経するのは尊い行為だけれど、「『空』や『無』を考えること」は避けねばならないなどという理由はあり得ません。
 まずやってみる段階は別として、いつまでも何の納得もないままでは、何をやっても〈形だけ〉になり、〈上の空〉になってしまいます。
 もちろん、般若心経を手に取る方が皆さん、急に哲学者になる必要があるわけではなく、その方なりに、「ん?これは……」と考える姿勢があり、何かを感じたり、つかんだりすれば、それで結構ではないでしょうか。

「そこでこの『無』とは何かという問題を、仏教の見地で検証してみましょう。
 最新科学を参考にしながらも、一つ一つの現象を概念から見つめ直し、論理を積み重ねていく仏教的な方法で検証していきます。」

 以下、ダライ・ラマ法王は、普遍的疑問について、宗教と科学の両面から考えてくださいます。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

消えた因縁 ─心の檻(オリ)から脱した話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ