コラム

 公開日: 2013-12-23  最終更新日: 2014-06-04

思いやりの7段階 ─他人様もネコもアリも南天も─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 チベット密教には、真の慈悲心を起こすために7段階で行う瞑想法があります。
 それはおおよそ、以下のとおりです。

1 生きとし生けるものはすべて、かつて、母だったと気づく

 いのちは皆、つながっており、自分のいのちと、ネコのいのちと、アリのいのちと、南天のいのちが別ではないと、心から思えるところまで、生きものたちへ心で近づかねばなりません。
 私は、内ネコのクロや外ネコのミケ子の目を見る時、「今度は人間に生まれて来いよ」と心から願います。
 彼女らの意志がもっとよく伝わるように、私の意志がもっとよく伝わるように、と願わないではいられないからです。
 特に、どこか不調なのではないか、敵に怯えているのではないか、などと思える時、「来世は言葉を話せる人間に……」と願わないではいられません。
 自分の身体より大きな荷物を動かすアリに感嘆し、踏まれても次の朝にはまた首をもたげているタンポポに安心し、空を翔る白鳥に畏敬の念を持つ時、自分の何倍もの力を持って輝いているものたちに合掌します。
 托鉢を行っていた時代には、途中で出会ったカラスやネコやイヌやヘビなどへご加持を行い、目に見えない何かが通じ合うことを幾度となく感得しています。
 今は、ご祈祷やご加持やご供養やご葬儀などの修法を行うたびに、皆さんを異次元世界へお誘い申しあげている実感があります。
 また、稲の遺伝子数は人間よりも多く、ウニの遺伝子数は人間とほぼ同じであるだけでなく、約70パーセントは人間と共通しているなどと知る時、子供の頃に星空の向こうへ思いを馳せたのと同じく、無限に広がっているいのちの世界を想います。

2 親しい人たちもまた、かつて、母だったと気づく

 身近な方々と目線を合わせ、通じ合うと、そちら側へ置きっぱなしにするべき〈他人〉はいないと思えます。
 そして、そうした方々の輪廻転生(リンネテンショウ)を想うと、過去のどこかで自分を生んだ母だったに違いないと思えます。

3 好きでも嫌いでもない人たちもまた、かつて、母だったと気づく

 道を歩く人々や立ち話をしている人々へピントが合っているうちに、やはり、輪廻転生の結果、そこにそうしておられる皆さんの存在が〈いのち〉として迫ってきます。
 自分とは因縁が違うだけであり、広大ないのちの海に浮かんだ一粒の泡同士であることは疑いようがありません。 

4 母の恩に報いるのと同じく、生きとし生けるものの恩に報いようと思う

 今、ここで息をしていることは文字どおり〈有り難く〉、奇跡的な一瞬一瞬の重なりを与えていただいた母の恩は、大きさも深さもはかり知れません。
 ガンに犯され50歳で亡くなった精神科医西川喜作氏は、「人間の二大本能の性欲も食欲もなくなり」、「左目を失ってしまったいま、いつ残った右目を失うかもわからない」状況で、口述筆記の最後にこう言い遺されました。

「失明とは私にとって思っていたほどの悲惨な事態ではなかった。
 ガンに罹る以前は、両足切断や腕を失った人よりも失明した人の不孝の方が大きいと考えていた。
 もし自分が失明したらと考えると、想像しただけでも恐ろしかった。
 こうやって片目を失ったいま、私は失意のどん底にいるわけではない。
 よくよく考えてみると私には聴覚を失う方が恐ろしい。
 私の精神活動においては視覚の喪失よりも聴覚の喪失の方が障害が大きいと思えるからだ。
 私は、いま少しも死を恐れていない。
 死と対坐する自分の心にやすらぎさえ持ち始めている。
 死を見つめる己が心をいとおしいと思う。
 何故こうも死を恐れなくなったのだろうか。」

「今は、日々の残された時間の貴重さが以前にも増して理解できるようになっている。」

 ここには、この世の生の〈有り難さ〉が余すところなく語られています。
 私も又、日々、視覚を失った際の対応策を講じています。
 ご本尊様やお位牌やお塔婆やお墓などの開眼供養法、あるいは護摩法など、多くの修法の中に、心眼を開く法が含まれているからです。
 密教の行者である以上、この世の道具としてお与えいただいた身体の何もかも失う直前まで、残った機能をありがたく生かしながら祈っているはずです。
 こうした〈この世の生〉をお与えくださった母の恩は限りなく、生まれ変わり死に変わりしてきた過去世において幾度となく母となってくださったに違いない生きとし生けるものへ恩返しをしないではいられません。
 ネコもアリも南天も、何とありがたいことでしょうか。

5 生きとし生けるものが楽を得られるようにと願う

 自分が楽を得たいことと、他人様やネコやアリや南天が楽を求めていることに何の違いがありましょうか。

6 生きとし生けるものが苦を離れられるようにと願う

 自分が苦を離れたいことと、他人様やネコやアリや南天が苦を離れたいことに何の違いがありましょうか。

7 生きとし生けるものがみ仏の境地になり、救われるために役立てるよう、修行に入る決心をする

 生きとし生けるものが楽を得、苦から離れるための方法、そして、生きとし生けるものへの恩返しとして苦を抜き、楽を与えられる存在になるための方法として、今の私にできることは、この道で精進する以外、ありません。

 皆さんも、偉大な行者の方々が残してくださったこうした修行法を実践してみられれば、きっと何かが変わることでしょう。
 どう変わるかは皆さんそれぞれでしょうが、宿命に負けず宿命を生かし、運勢に明るさが増し、運命がより輝きを帯びつつ創られることはまちがいないと確信しています。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ