コラム

 公開日: 2014-01-02  最終更新日: 2014-06-04

只の年またくるそれでよかりけり ─年を越えるとは─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈善男善女へ大きな福徳がもたらされますよう〉


〈ミケ子も少々、あらたまった様子〉


〈ただただ「おかげさま」、そして、「共に」〉

「只の年またくるそれでよかりけり」 星野麥丘人(ホシノバクキュウジン)

 90歳を迎える方からいただいた年賀状にあった言葉です。

「『お陰様です。有難う。ありがと、ありがとよー』が毎日の口癖です。」

 私も最近は一日に10回以上、妻へありがとうを言うようになりました。
 あたふたと食い付く昼飯も、用意してもらえるからこそ、着替えてすぐに箸を取れるのであり、そうでなければ、たとえお茶漬けを作るにしても3分や5分は飛んでしまいます。
 何を食べようかと考える時間、片付ける時間も考えれば、一食をいただくのは大変なことです。
 かつては「あんたと一緒になったばっかりに!」と怨まれ、こちらも「お前にいつもブレーキをかけられているばかりに……」と嘆き、互いに相手のせいでこうなったと文句が出たものですが、だんだんに不満と感謝が逆転し、できないことが増えてきたのに、不満はどんどん背景へ退いて行きます。
 きっとそのうち、相手が生きていてくれることそのものだけが「ありがとよー」となり、やがては、生きていてくれたことが「ありがとよー」となるのでしょう。
 もっとも、後者が体験できる確率は2分の1しかありませんが。

 いずれにせよ、作者は、自他や社会への感謝も文句も、何もかもひっくるめて春夏秋冬が廻る一年を「只の年」と掴んでいるのでしょう。
 ただし、人生をなめたり、投げたりしていないのは「それでよかりけり」に表れています。
 また、「そんなものさ」ではなく、「うん、これでよい」という肯定的で温かな意志も感じられます。
 何しろ、こんな句も残しているのです。

「さかづきを置きぬ冷夏かも知れず」

 暑くなった時期にふと感じる冷気にもろもろの不安が兆し、文字どおりゾッとしてしまい、思わず、手にしていた杯を置いてしまうとは、何と繊細で思いやりのある方でしょうか。

 思い出すのは、特攻隊を指揮した海軍中将大西瀧治郎が敗戦後、割腹自殺を遂げる前に書き残した一句です。

「これでよし百万年の仮寝かな」

 特攻を命じた部下たちへの「おれもゆく、わかとんばら(若殿輩)のあと追いて」という約束を実行した中将は、「仮寝」と言い切りました。
 そもそも、戦争に負けると判断していながらも役割を果たしきった中将には信念があったからです。
「ここで青年が起たなければ、日本は滅びますよ。
 しかし、青年たちが国難に殉じていかに戦ったかという歴史を記憶する限り、日本と日本人は滅びないのですよ」

 実に、平和時には「文」として霊性がはたらき、非常時には「武」として霊性がはたらくものです。
 二つの句が発する輝きは霊性の仕事です。

 さて、柿本多映(カキモトタエ)氏は詠みました。

「暗きより火種をはこぶ去年今年」

 新年は物理的に訪れただけではありません。
 目にも綾な晴れ姿や、門松や、凧揚げが正月を感じさせる一方で、前年の業(ゴウ)も確実に引き継ぎながら新しい年へと時間の橋を渡ってきたのです。
 皆々様の善なる業は、甲午(キノエウマ)年の運気に乗って大いによき因縁へとつながって行きますよう、悪なる業は、早く気づかれて清められ、悪しき因縁をつくらぬよう、今日も祈ります。

 今日の守本尊不動明王様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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