コラム

 公開日: 2014-01-08  最終更新日: 2014-06-04

死後の行く先は? ─生命全体のサイクルにあって行き来する意識─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈ジョルジュ・ルオーの『ヘシアン』です〉



〈長谷川潾次郎の『猫』です〉

 ダライ・ラマ法王著『傷ついた日本人へ』を読んでいます。

○この世で起こることには必ず理由がある

 ダライ・ラマ法王は、真実の追究という一点で、仏教と科学は「非常に近い」と説かれます。
 目的達成のために用いるのは知性であり、論理です。

「もし仏教が一神教であれば、科学とこのように融合することはできないでしょう。
 唯一絶対の神がこの世界を作ったという教義があり、それを疑うことは許されないからです。
 それは論理を超越した観念なのです。」

 お釈迦様は、「自分が説くことを鵜呑みにするな」と注意されました。
 理解し、納得できたことだけがその人にとっての真理であり、それにそった生き方をしてこそ、揺るぎない真実世界が開けるからです。

「私はこれを否定するつもりは全くありません。
 宇宙がどうやって生まれたのか、立ちかな答えはどこにもないからです。
 ただし、『宗教は科学と対立する』というイメージは、仏教にはそぐわない。
『この世界の真理に迫りたい。そして少しでも良い方向へ導きたい』、仏教徒はこう考えて、あらゆる物事を観察し、そのありようを論理的に検証してきたからです。」

○全ての事象にはタネがある

 ダライ・ラマ法王は、仏教の法則は「論理と検証の結果」導き出されたと説かれます。

「原因があるから結果が生じる。
 結果には必ず原因がある」

 花が咲くには種という「因」があります。
 人が生まれるための直接的な「因」は、両親の卵子と精子です。
 両親が生まれた「因」をたどれば人類の祖先にたどり着き、「進化の歴史を逆流して」動物の起源から生命の源まで還元し、ビッグバンまで到達します。
 そして、ビッグバンもまた、「因」を持たないはずはありません。

「つまり、自分自身の存在を含め、この世界のあらゆる事象が、はるか昔から続く連続性の中にあり、因果の法則によって関係しあっているのです。」

 因果の法則は、否定しようがありません。
 だから、真理です。

「ただし、生物は意識と肉体の両方によって成り立っています。
 そのため、肉体の因が卵子と精子であるように、意識にも因があると仏教では考えています。
 意識だけが突然この世に生じるというのは論理的ではなく、因果の法則にも反しています。
 ただし、肉体や意識がそのままの状態で受け継がれていくわけではありません。
 あくまで因は果の発生を引き起こすもの、促すものです。
 たとえば両親の手が子供の手になるわけではなく、両親の卵子と精子が種となり、肉体という結果を生み出しているということです。
 意識もそのまま意識が転移するのではなく、生物が意識を持っていたありよう、その本質的な念がエネルギーのようなものが、他の生物に転移すると考えられます。」

 仏教は肉体や現象界というモノの世界に因果を見出しただけではありません。
 むしろ意識をこそ探求し、そこにも当然、因果を見出しました。
 それが輪廻転生(リンネテンショウ)です。

「もちろん一般的には、意識は生まれたときに誕生し、死ぬときには消滅してしまうように思われています。
 でもそれは、私たちが認識できているごく表層的な意識に過ぎません。
 それは生物に意識が宿るということの本質ではないのです。
 肉体が死んで別の物質に分解されるように、意識の本質は生命全体のサイクルのなかへ戻る。
 そして別の生命の意識を生み出す素となっているのです。
 これが『輪廻』です。
 輪廻とは、意識における因果のシステムなのです。
 始まりも終わりもない、本質的な連続性がそこにはあります。」

 ここで大切なのは、「生命全体のサイクル」というとらえ方です。
 決して、人間という種のみに限定された世界の中での生き死にを考えているわけではありません。
 およそ意識を持つものはネコであれ、鳥であれ、皆等しく〈有情(ウジョウ)〉です。
 それは「情識あるもの」と定義されています。
 感情や意識のあるものはすべて有情であり、衆生(シュジョウ)とも呼ばれます。
 日々、ネコのクロやミケ子と意識の交感を行い、感情も伝え合っていると、「有情」という言葉のすばらしさに何度も何度も感謝してしまいます。
 人間は有情の中の一部であり、「考えるもの」という意味で「マヌシャ」と呼ばれます。
 それが英語では「マン」となりました。
 有情の世界を六つに分類したのが、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天の六道(ロクドウ)です。
 根本的無知である無明(ムミョウ)を脱し、自己中心的にはたらく煩悩(ボンノウ)を克服しない限り、有情は六道をぐるぐると経巡るしかありません。

 もう、5、6年も前になりましょうか。
 他の生きものへの転生を信じているかどうか、質問されました。
 その時は、「まだ、わからない」と答えました。
 今は、もしも自分がクロやミケ子に生まれてきていたとしても何の不思議もないし、もしもクロやミケ子が人間界へ転生すれば、心から祝福してやりたいと思っています。
 なぜ祝福するのかと言えば、人間の言葉を用いることによって有情たちとのコミュニケーションが異次元へと飛躍し、しかも、仏法に接すれば輪廻からの解脱の可能性も生まれるからです。
 
 輪廻はまぎれもなく「意識における因果のシステム」です。
 古歌はそれを見事に表現しました。

「阿字の子が 阿字のふるさと立ち出でて また立ちかえる阿字のふるさと」

 だから、お位牌の一番上に梵字の「阿」と書きます。
 また、密教は、余分なものを削ぎ落とすために本源(大日如来の世界です)へ還る瞑想を行います。
 それが阿字観(アジカン)です。
 もしかすると、小生のようにネコやイヌなどと語り合う方々は、いつの間にか、「生命全体」を感じとっておられるかも知れません。
 仏教が説く輪廻転生は、決して荒唐無稽な夢物語や観念の暴走がもたらした錯覚などではないことをご理解いただきたいと願っています。
 輪廻転生の正しい理解は、モノとお金とギラギラした欲望へ心の比重がかかり過ぎている文明を転換させ、人間中心主義的な世界観を省みて人間の業(ゴプ)がもたらす環境破壊へ歯止めをかける力ともなり得ることでしょう。
 
 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM


 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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