コラム

 公開日: 2014-01-15  最終更新日: 2014-06-04

モノの因果と生きものの因果 ─心ある者のみが行為を行う─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈意志による行為で造られた仏塔〉

 ダライ・ラマ法王著『傷ついた日本人へ』を読んでいます。

○「行為」も因果を引きおこす

「因果があてはまるのは、形のあるものばかりではありません。
『行為』にも因果の法則が成り立ちます。
 たとえば誰かの行為によって何か新しいことが生じた場合、その行為が『因』、起こったことが『果』ということになります。」

 当山では、ご葬儀の後に必ずといっていいほど、六波羅蜜(ロッパラミツ…最も霊性を輝かす方法)の法話を行います。
 その中に、み仏や御霊へお水を捧げる布施(フセ)行があります。
 時に応じ、ことに応じて自在に姿を変える水のように我を張らず、誰かの何かのために、自分ができることをさせていただく布施行の一例として、東日本大震災に際し、全国の子供たちが貯めていたお小遣いを被災地へ贈ったことを挙げます。
 また、お灯明に象徴されるのは、我欲(ガヨク)に引きずられた自己中心の考えでなく、その時、その場に当たって、仏性(ブッショウ…み仏の子としての本性)を持った人間として〈そうしないではいられない〉み仏の智慧です。
 この智慧をはたらかせた例として、東日本大震災のおりに、住民へマイクで避難を呼びかけながら犠牲となった南三陸町の危機管理課職員遠藤未希さん(25歳)を挙げます。
 あの災害が起こるまでは別な例を用いていましたが、被災された方々が今現在、苦しんでおられることを忘れないでいただくためにも、こうした話を続けようと考えています。
 法話の変化には明らかに、因があり、果があります。

「しかし、行為を行うのは、あくまでも命を持つ生き物だけです。
 物質である場合、自ら行為をすることはありえないので、行為による因果も起こりません。
 そのため、物質関係はシンプルで明確なものが多い。
 たとえばある物質が化学変化を起こして別の物質に形を変えるといった自然現象がこれに当たります。
 はるか昔、地球にまだ生物がいなかった頃は、きっとこの因果関係だけで世界は動いていたのでしょう。
 一方で、命あるものには行為が伴います。
 しかもそこには、色々な意志や感情が入り交じり、様々な人やものに影響を与えてしまう。
 そのため、因果関係に行為がからむと、その関係性は急に複雑になります。」

 アクリフーズ群馬工場生産の冷凍食品に農薬のマラチオンが混入し、事件となっていますが、捜査はモノと人間両方の特性に基づいて行われています。
 マラチオンの痕跡をたどりきれば〈動かぬ証拠〉となるのは、「物質関係はシンプルで明確」だからです。
 一方、誰が?なぜ?何の目的で?という面が絞りきれないのは、人間の思考の糸が「複雑」で、成り行きの因果関係を容易に判断できないからです。

 ダライ・ラマ法王は、人間における「行為」には三つのパターンがあるとされます。

・第一のパターン:運動による行為
・第二のパターン:言葉で何か伝える行為
・第三のパターン:心をはたらかせる行為

 そして、三つのうち、心における行為を最重要とされました。

「なぜなら、この心のはたらきがその人の意志や動機となって、新たな行動を起こさせたり、他人に発する言葉を生んだりするからです。
 たとえば誰かを助けるという行為を行うのは、その前に『その人のためになりたい』という心のはたらきがあったからです。
 逆に相手に意地悪な言葉を投げたときには、前から心の中で『この人のことが嫌いだ』という思いが渦巻いていたのでしょう。
 このように、因果は『心』によってしくみがかなり異なってきます。
 特に人間は心のはたらきが強いので、因果に与える影響もかなり大きいと思います。」

 いじめを考えてみましょう。
 弱い者をいじめて優越感に浸るのは薄汚れた悪しき心です。
 相手の心身を不当に攻撃し、ストレスを与え、いのちの勢いを削ぐだけでなく、悪行(アクギョウ)によって自分自身が悪業(アクゴウ)を積み、悪業は必ず〈因〉となり、自分の人生へ〈果〉としての性悪な性格や罪過や災厄をもたらすからです。
 心が悪くはたらかないためには、善くはたらかせる心の習慣づけが必要です。
 それが教育であり、しつけであり、勉強であり、稽古であり、修行です。

 お釈迦様は何を最も戒めたか?
 それは〈放逸(ホウイツ)〉です。
 心を野放しにすると、必ず自己中心的で我がままになり、自他を苦しめつつ生きるようになります。
 だから、繰り返し、「心をつなぎ止めよ」と説かれました。
 何に?
 人の道に、です。
 アリを踏んで楽しむのは〈人の道〉ではなく、他のいのちを大切にするのが〈人の道〉です。
 なぜならば、お互いにお互いのいのちを大切にしてこそ、お互いが安心に笑顔で暮らせるからです。
 そして、相手が笑顔になれば、相手が幸せなだけでなく、自分も又、善い〈果〉をもたらす善い〈因〉をつくったことになるからです。
 だから「不殺生(フセッショウ)」という戒めを説き、あっけらかんと放逸に暮らさず、心に念じつつ生きよと指導されたのです。

「ちなみに、草木や花などの植物は『行為』を起こすことがあるのでしょうか。
 植物もただの物質とは違って生物ですし、感覚に近いものが備わっているという考え方もあるようです。
 しかし物事の良し悪しを区別したり、幸せや苦しみを感じたりというような『心』は持っていません。
 ですから、動物がするような『行為』はないと言っていいでしょう。
 植物が花を咲かせたり実をつけたりと、ある種の変化を遂げたとしても、それは感情や意志に基づいているものではありません。
 花が咲くのは、植物そのものに組み込まれたはたらきのためです。
 色や形の違いも物質的な差違に過ぎず、そこに意志があるわけではない。
 植物は、物質と似たような単純な因果で廻っていると言っていいでしょう。」

 かつて、アメリカで、動物と植物の交感に関するポリグラフの実験が行われました。
 小さなエビを熱湯へ投げ込もうとする瞬間、別の部屋にある鉢植えの植物に電気的な異変が起きたというものです。
 言葉を交わさない生きもの同士の通じ合いがあるとは驚愕であり、いのちの不思議さや、広大さもあらためて感じさせられます。
 しかし、こと「意志」については、やはり、ある程度高等な生きものにのみ具わったはたらきのようです。
 
 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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