コラム

 公開日: 2014-01-16  最終更新日: 2014-06-04

原発は経済の問題や政治の問題であるよりも、文明の問題ではないでしょうか

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈朝日新聞さんからお借りして加工したドナルド・キーン氏〉

 1月15日、細川護煕、小泉純一郎、両元総理大臣が前例のない記者会見を行った。
 細川氏が東京都知事選挙へ立候補するという。
 
 当山は宗教に携わる者であり、一党一派に偏した政治活動を行うのは適切でないが、原発に関しては発言する資格があると考えている。
 それは、原発は、経済や政治の問題であるよりも、本質的には文明の問題であると捉えているからである。
 もちろん、経済も政治も、文明を構成する要件ではあるが、文明は、より包括的あるいは根元的概念である。
 言い換えれば、日常生活的感覚から遠く離れた思考領域ではあるが、何もかもがそのうねりの中にしかない。

 小泉氏は「原発ゼロでも日本は発展できるというグループと、原発なくして日本は発展できないというグループとの争いだ」(同日付の産経新聞)と言った。
 この主張はワンフレーズポリティクス、劇場型政治をめざすもので問題があり、都政に関する重要案件は他にもあるので、総合的判断を要するという批判はもっともであると思う。

 しかし、当山は、明確な脱原発を第一目標とする主張に促され、原発問題を考える視点が少し、変わって欲しいと願っている。
 福島の人々は、事故によって否応なく変わった。
 原発を誘致すれば補助金や協力金が入り、雇用が生まれ、経済的に豊かになる、といった日常生活的感覚から肯定的に捉えていた原発が、地震と津波をきっかけにして、天変地異にも匹敵し、あるいはそれ以上の影響を与える存在であるという文明的次元の姿を顕わにしたからである。
 当山は昨年12月14日に行った寺子屋において、原発事故により全町避難となった福島県富岡町福祉協議会『おだがいさまセンター』関連の方々から、お話をお聴かせいただいた。
 表向きは別として原発の再稼働とその近隣での生活を望む町民は一人もいないでしょうという言葉は、日常生活的次元では隠されている爪や牙や毒から逃れられないことを体験し、〈文明的次元の姿〉を観てしまわれた方々の偽らざる本音であろう。

 事故を体験しない方々や、事故によって経済的にマイナスの影響を受けた方々の中には、科学的問題なのだから早く科学的に解決し、マイナス要件を除去すればよい、と、日常生活的感覚での判断を下す向きも多いことだろう。
 それはそれとして、ぜひ、被災者の実態を知り、被災者の言葉を聴き、あるいは両元総理の言葉に耳をかたむけて、〈文明的次元の姿〉を想像していただきたいと願わずにいられない。

 もちろん、それでもなお、科学の力を信じてぶつかろうというなら、それも一つの判断である。
 あるいは、いつでも〈爪や牙や毒〉を用いるわけではないのだから、当面使いこなそう、というのも一つの判断である。
 しかし、そこに危うさが潜んではいないか?
 平成24年11月30日、滋賀県知事を務める「日本未来の党」の嘉田由紀子代表(当時)が記者会見で発言した。
「小沢さんを使いこなせずに、官僚を使いこなすことはできません」
 テレビでこの場面を観た瞬間、〈ことは終わった〉と思った。
 記者の追究的質問に誘発されたとはいえ、「使う」という言葉には、小沢一郎氏及びその同志たちへの軽視と過剰な自負心とがあり、それは破綻を招かざるを得ないと感じた。
 嘉田由紀子氏は、選挙をどうするかという日常生活的次元でしか小沢一郎氏をとらえていなかったのではないか。

 同日付の朝日新聞はドナルド・キーン氏の『高揚する東京 東北もう忘れたか』を掲載した。
 氏は言う。

「本来のオリンピック精神からかけ離れ、極端に多額のお金を使って人々をびっくりさせるイベントになっています。
 どうして日本でやりたいなら、東北でやればいい。
 東北なら意味があるでしょう」
「被災地ではまだ仮設住宅で生活している人がいます。
 仕事場のない人が大勢います。
 東北の人口がどんどん減っている。
 その一方で東京の町は明るい。
 みなさん、東北を忘れているのではないでしょうか」

 当山も、平成25年12月2日、河北新報へ「死者とつながる心 大事」と題する同様の投稿を行った。
 


 1月15日は、元日の大正月に対して、小正月である。
『日本を知る辞典』によれば、小正月の意義は小さくない。
「大正月の行事はどちらかといえば公的な、おもてだったものが多く、小正月には生産と関係ある農耕儀礼的なものが多い。」
 昔は、小正月の満月が遍く照らす夜に「なまはげ」などの厄除けを行い、豊饒を祈り、「どんと祭」の火で子供たちが餅やダンゴをあぶって食べた。
 満月のもたらす月光は智慧の明かりであり、古来、『月輪観(ガチリンカン)』や『阿字観(アジカン)』などで行者たちを導いてきた。
 この時期に、私たちの文明が抱えてしまった原発という道具について、よくよく考える意義は小さくない。
 日常生活的にどうこうという〈今現在〉におけるプラスとマイナスの計算も大事だが、数十年や数百年という〈文明の行方における〉プラスとマイナスに今、責任を持とうという姿勢も欠かせないと思う。
 原発をぜひ、文明の問題と捉えてみたい。
 
 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ