コラム

 公開日: 2014-01-23  最終更新日: 2014-06-04

いかなるカルマが東日本大震災を引き起こしたのか ─被害とカルマ─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈あの日、西方浄土を向いていた共同墓の主尊大日如来が、津波の来た東方へと後ろ向きになった事実は、科学者をも驚かせました〉

 ダライ・ラマ法王著『傷ついた日本人へ』を読んでいます。

○なぜ大震災は起こってしまったのか

「今回、日本の方からこのような質問を頂きました。
『東日本大震災は、あまりに悲惨な大災害でした。
 地震だけではなく、津波にも襲われ、原子力事故も起きました。
 これもやはり因果なのでしょうか。
 私たちはそんなに悪いことをしたのでしょうか』
 たしかに、震災がこの世に生じた事象である限り、必ず因があります。
 直接的な地震発生のメカニズムは、すでにある程度解明できているでしょう。
 地球そのものの活動は、カルマと関係のない物質的な因果関係で起こるからです。
 しかし、『震災』という出来事全体、災害全体で考えた場合、物理のメカニズムだけではない複雑な因果がはたらいています。」

 人間の誕生に、両親の結合という物質世界における因果関係と、魂という精神世界における因果関係という二つの異なった因果関係が絡んでいるのと同じく、両面の因果関係が複雑に絡み合って発生した大災害の因果関係はなかなか解けません。
 物質的な因と縁と果のつながりが、ある程度の必然として理解できても、それがなぜ、〈個々の人にとってのできごと〉として起こったのかは、精神的視点も重ならなければ、つかめません。

「今回の震災でも、地震の衝撃が去った後に、巨大な津波が襲ってきて街全体がのみこまれたり、原発事故による放射能汚染が日本中に広がったりと、被害は二重三重に重なりました。
 多くの人が家族を亡くされたり、家を失ったり、住む場所を追われたりしました。
 被災の状況は人によって様々でしょうが、それぞれ色々なことで傷つき、不安になり、苦労をされたことでしょう。
 これほどの震災となると、その大きさと複雑さゆえ、因果関係を単純に読み解くことは大変難しいことです。
 カルマは長い時間をかけて積み重なって巨大化し、因や縁が非常に複雑に絡まりあいながら、様々な条件がついに揃ってしまった。
 それがあの3月11日だったのです。
 ある因は津波の被害となり、ある因は原発事故となり、そうやって様々な被害が次々引き起こされてしまいました。」

 わずか十メートルも離れていない隣家同士なのに、津波によって片方は壊滅的にやられ、高台に建つ片方はほとんど被害がないとか、道路一本隔てて、片側の家々は原発事故によって即時避難となり、片側の家々は避難を免れたなど、日常生活の中からそうした違いをもたらした因を探そうとしても探しきれるものではありません。

「だからといって、被災者の方が特別に悪いカルマを抱えていたかというと、決してそうではありません。
 このように強大でめったに発生しない出来事は、個人のカルマで引き起こされるレベルではなく、社会全体としてのカルマ、世界共通のカルマのレベルの出来事です。
 大勢の方が一度に同じ類の苦しみを味わったということがその現れでしょう。」

 一人一人が生きつつつくる業(ゴウ)は不共業(フグウゴウ)です。
 今日、一升瓶一本をたいらげてしまい、その結果、翌日、二日酔いで苦しむなどは、〈共に〉ではなく、〈自分自身〉の欲や判断に原因のほとんどが見つけ出せます。
 しかし、歓迎コンパで無理矢理に一気飲みをさせられた新入生たちが次々に吐いたり、救急車で運ばれたり、翌日当校できなかったりすれば、そのクラブに代々伝えられた悪しき慣習という共業(グウゴウ)にその主因が認められます。
 ダライ・ラマ法王は、今回の大災害はその規模からして、悲惨な結果の因を、個々人の業(ゴウ)すなわちカルマに見出すことはできないとされました。

「その因は、規模が大きいだけではなく、はるか昔何世代も前から積み重なっていたものでもあります。
 そう考えれば人類全体の因果応報といえます。
 たとえば、自然を破壊し、コントロールしようとしたことが影響しているのかもしれないし、物質的に豊かな生活を求めすぎたことが影響しているのかもしれない。
 ただ、どれだけ考えたところで、何が因であるかを私たちの頭で理解することは不可能です。」

 広い範囲に住むたくさんの人々のカルマが集まっただけでなく、時間的にも、幾世代にもわたってつくられた膨大なカルマが関係しているとしか考えられません。
 原発事故が天災であるだけでなく、文明や社会の問題として人災でもあったのではないかという真摯な探求が始まっています。
 まさに「人類全体の因果応報」であり、自分に起こったできごとについて決定的な特定因を見つけ出すことは「私たちの頭で理解することは不可能」というしかありません。
 では、私たちはどうにもできないのか?
 ダライ・ラマ法王は、次章「人間が起こしたことは人間が解決できる」において、対処法について述べられます。

 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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