コラム

 公開日: 2014-01-31  最終更新日: 2014-06-04

感じ、文章が生まれる時 ─2月の聖語─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 お大師様の言葉です。

「文の起り必ず由(ヨシ)あり。
 天朗かなるときはすなわち象を垂れ、人感ずるときはすなわち筆を含む。」 (空海BOTより)

(文章が書かれる時には、必ず理由がある。
 空が晴れていれば天文の現象がいろいろと現れるのと同じく、人がものごとに感応する時には、自ずとそれが文章になる)

 お大師様は天賦の才があるので、苦もなくスラスラと文章が出てくるというお話ではありません。
 文章を構成する〈文字〉は、イメージと思考に連なっています。
 だから、私たちが何かに深く感動した時は、魂の震えに、「何という……」とか、「最高!」とか、「──そうか」など、内心の言葉が自然と、伴ってくるものです。
 そしてペンを取れば文章となり、筆を取れば書となり、絵筆を取れば絵となり、五線紙に書き込めば音楽となります。
 私たちの五官六根、そして魂が錆び付いていない限り、天地のはたらきと感応を生じ、世界の彩りを心へ写し取り、堪能できます。

 大切なのは「人感ずるとき」です。
 魂が何かと共鳴する時に言葉を持っていれば「文の起り」となります。
 その時のために、文章は読まれている必要があります。

 ただし、かつて、五十嵐力はこう記しました。

「人間には、通じて昔を尊び強者に屈従するといふ性質があって、古人の言った事だ、先進国の大家の書振だといふと、それが事実に合って居ると否とを問はず、又自分が本当にさう思って居るかも論ぜずして、つい其の古人や先輩の真似をなし、ややもすれば虚偽と思はずして知らず識らず虚偽を云ふといふ事になります。」

 偉い人の言ったことだからといって、ただ、ありがたがっていると、自分が本当にそう思っているかどうかもわからないままに、書いたり、口にしたりするようになる場合があります。
 これは宗教における経典についても同じことが言えます。
 たとえば「書いてあるのだから信じなさい」ほど恐ろしいパターンはありません。
 人間が文字を道具として用いるのではなく、文字という道具に支配されるのは、般若心経の説く顚倒(テンドウ…ひっくり返り)でしかありません。
 だから、お釈迦様もダライ・ラマ法王も、いかなる教えであれ、自分の頭で考えて取捨選択せよ、と繰り返し注意しておられます。

 故辺見じゅんの『天涯の紺』最後の2首です。

「人間(ジンカン)はなやましきこと多けれど天涯(テンガイ)に桔梗(キチコウ)の紺の風吹く」
「遠きひと近き人など呼びてをりかぐはしきなかあちらの時間」

 そして、「追い書き」の締め括りです。

「あちらの時間は、私の原郷である。
 できれば、こちらの時間にも静謐(セイヒツ)な風が吹いて欲しいと願っている。」

 お大師様の説かれた「文の起こり」、「人感ずるとき」、「筆を含む」とはこういうことではないでしょうか。
 これから、福寿草が咲き、梅がほころんできます。
 感じたいものです。
 たとえ一言でも、自分の言葉が生まれたら、感じとったものが深まり、一段と嬉しいのではないでしょうか。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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