コラム

 公開日: 2014-02-20  最終更新日: 2014-06-04

平成26年3月の運勢 ─魂へ飛びこんでくる言葉─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 平成26年3月は、印象的な言葉が深く胸の底まで入り込み、言霊の力に動かされやすくなります。
 たとえば、後白河法皇が編んだ『梁塵秘抄(リョウジンヒショウ)』にある一節です。

「仏は常に在(イマ)せども
 現(ウツツ)ならぬぞあはれなる
 人の音せぬ暁に
 ほのかに夢に見えたまう」

(み仏は、いつも見守っておられると信じてはいるが、それと、はっきり目に見えないのは、何とも、もどかしい。
 しかし、人々がまだ、生活の音を立て始めない早朝の夢の中で、ほんのりとお姿を顕してくださることもある)

 観仏(カンブツ)という修行を欠かさず、み仏を観想することにかけている密教行者としては、法皇が吐露(トロ)された、待つ思いや、まみえる喜びが、一入(ヒトシオ)胸に響いてきます。
「現ならぬぞあはれなる」は、およそ仏神を信じる者にとっては共通の切なさだろうとも思えます。
 こうした言葉や文章は、〈切なさの共有〉という信仰者同士に通じ合うと思われる観念を抱かせ、それは、必ず異教徒に対する寛容の精神を育みます。

 ジェームス・H・ハラス著『沖縄 シュガーローフの戦い』には、米軍のムーア一等兵から聴き取った最前線の模様が記されています。

「精神の緊張状態は多くの兵士にとって耐えられないものだった。」

 弾薬運搬係としてやってきたニューヨーク出身で十七歳の少年は機関銃陣地にたどりつくと泣き出し、ムーア氏は自分の蛸壺に入れてやりました。

「彼はロザリオを聖書に巻きつけて、祈りの言葉をとなえながら蛸壺と聖書にキスを繰り返していた。
 そのつど、砲弾が飛んできて近くに着弾していた。
 となえていた祈りの言葉にはムーアの名前も入っていた。ムーアも覚えている範囲で讃美歌を歌ったが、つぎの着弾までの間はこれで少し気分がやわらいだ。」

 そして次の着弾による爆風で二人とも蛸壺の外へ吹き飛ばされましたが、気がつくとムーア氏は少年を抱きかかえており、二人とも五体満足でした。少年は翌日、転属となりました。

 同著には文庫本のあとがき」があり、翻訳した猿渡清児氏は、沖縄に慰霊碑が建てられた経緯を記しました。
 突如、最前線から内地への転勤命令を受けた気象少尉矢崎好夫氏は、部下たちの願いを胸に沖縄を飛び立ちます。

「分隊士、われわれが死んだら線香を一本立ててください。これは皆のお願いです。」

 それから40年以上もの後、米軍や自衛隊や戦友会などの協力を得て、昭和62年6月14日、沖縄海軍陸戦隊全滅の日に、慰霊碑の日米合同除幕式が行われ、矢崎氏はついに約束を果たされました。

 戦場の恐怖、生き別れ死に別れる者同士の約束と履行などを伝える言葉や文章は、時代を超え、国を超え、人間へ深い問いを投げかけます。

 私たちは情報の洪水に襲われ、溺れかけてはいないでしょうか?
 発信者の善意と悪意が判断できなくなってはいないでしょうか?
 言葉が胸へ飛びこんで来やすくなる今月は、「おん ぼだろしゃに そわか」という仏眼(ブツゲン)の真言により心眼を開きつつ生きたいものです。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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