コラム

 公開日: 2014-02-27  最終更新日: 2014-06-04

選べる来世 ─「ダライ・ラマ『死の謎』を説く」を読む(8)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈沖縄で出会った花〉

 平成6年、ジャーナリスト大谷幸三氏は、インドのダラムサラにおいて、ダライ・ラマ法王への質問を数日間かけて行い、回答をまとめた。
 それがテキスト「ダライ・ラマ『死の謎』を説く」である。

第二章 輪廻転生の法則

1 生命の輪(その2)

○自ら来世を選び取ることも可能である

「私が考えるに、輪廻転生という特定の用語自体は、自分自身の来世での行き先、すなわち生まれ変わる時と場所とを選び取ることができるような人々、あるいは生きとし生ける存在に対して、そもそも与えられたものだろう。」

 お釈迦様は、繰り返し説かれた。
「自ら、よきいのちを選び取れ」
 たとえば『法句経』の一句である。
「愚か者は、苦界へ行くと思わずに好き勝手なことを行う。
 災厄にまみれる世界へ堕ちてようやく、不善行の結果が顕れたことを知る」
 この教えは、娘の不審な焼死を嘆き、お釈迦様を訪ねた王様へ、娘が前世において他人を焼死させた因果であることを指摘した後に、説かれた。

 因果応報の時間軸を伸ばせば、当然、輪廻転生になる。
 そのことを知っていれば、暴力を揮ったり、騙し取ったり、裏切ったりはできない。
 今、腕力を誇っても、より多く手に入れても、自分だけがうまくやっても、誰かを苦しめた行為は、必ずいつか、それらを原因とする結果を自分の身で確認せねばならない時が来るからである。
 因果応報を理解した者は、自分が悪行の報いを受けぬままにこの世を去ることは、心底、恐ろしい。
 必ず、苦にまみれる来世がやってくるからだ。
 そこでは、自分だけが苦しむのではなく、同輩すべてが同じような苦しみに喘ぎ、呻いている。
 自分の悪行が悪しき共業(グウゴウ…共につくる業)となり、自他へそうした来世をもたらしてしまう。
 だから、懺悔せずにいられない。
 誰かのために祈り、誰かへ笑顔や優しい言葉をかけ、誰かへモノを施し、悪行に倍する善行を実践せずにいられない。
 因果応報を理解し、輪廻転生を信ずる者は、今、ここで、できることを行って自らを清めずにはいられない。
 一瞬後にいのちを失い、〈来世〉がやってきたとしても、何の不思議もないからだ。

「これは少しばかりむずかしい話になる。
 仏教的な観点から考えると、輪廻転生とは個々の到達した内面、もしくは実践の高さによっては、次の生命を自ら選び取ることが可能だということを意味している。」

 善行によって善果が訪れ、悪行によって悪果が訪れることは理解できても、「次の生命を自ら選び取る」ところまではなかなか確信が持てないのではないか。
 私は、いかにささやかな善行を重ねているつもりでも、これまでに自分が重ね来た悪行を知っている以上、行く先はご本尊様へお任せする以外にないと思っている。
 しかし、お大師様の師である恵果阿闍梨(ケイカアジャリ)ともなれば、次元の違う話になる。
 阿闍梨は、お大師様へ密教のすべてを伝授し終えてまもなく、この世を去られた。
 そして、修法中のお大師様へこう告げられたという。
「お前が我が師である不空(フクウ)の生まれ変わりであるように、今度は自分がお前の弟子として生まれ変わり、密教を広める」
 故三島由紀夫の最終作『豊饒の海』全四巻は、第一巻において死に行く主人公が友人へ言い遺した言葉に導かれる。
「今、夢を見ていた。
 又、会うぜ。
 きっと会う。
 滝の下で」

「それぞれが到達した精神的、あるいは実践的高みから、生あるものは来世を選び取れ、しかも、それは必ずしも一つの生命ではなく、複数の、ときに多くの生命を同時に選び取れるということである。」

「だが、これはあくまでも、その個々が到達した高さの水準のいかんにかかわっていることだ。」

 このあたりになると難しいが、ある科学者の言葉を思い出す。
「私たちの身体には、ソクラテスやマリリンモンローなどの身体を構成していた分子があるかも知れません」 
 ならば、〈精神の分散〉もあるのではなかろうか。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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