コラム

 公開日: 2014-03-05  最終更新日: 2014-06-04

仏法と男女の区別について

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 仏教による救いに男女の別はない。

 お大師様は、実践者すべてが男女を問わず、貴賤を問わず、救われると説かれた。
「信じて修行すれば、男女を問わず救われる。
 貴賤を選ぶこともなく、人は皆、救われ得るのである」
 以下が、原文である。
「もし信修(シンシュ)することあらば、男女を論ぜずみなこれその人なり。
 貴賤を簡(エラ)ばずことごとくこれその器なり。」
 
 お大師様は、恩について父母の差別をしない。
「智慧の眼で観れば、生きとし生けるものは、すべて、過去世において自分の父母となってくれたものたちであり、大きな恩がある」
 以下が、原文である。
「恵眼(エゲン)をもってこれを観ずれば、一切衆生はみなこれ我が親なり。」 

 お大師様は、女性の徳を讃えておられる。
「女性は朝から女性らしいはたらきにいそしみ、晩になれば仏法僧への祈りを欠かさないすばらしい存在である」
 以下が、原文である。
「旦(アシタ)に四徳を瑩(ミガ)き、晩に三宝を崇む。」
 四徳とは、第一に、慈悲をもって子弟を導き、女性からは婦人の徳を磨き出すこと。
 身だしなみを整えること。
 慈悲のある穏やかな言葉で人に接すること。
 家庭を守り、子供を立派に育て上げること。

『大日経』は観音菩薩の出現を女性として描く。
「北方に、世の中を観ること自在される方がおられる。
 中年の女性の姿をし、黒髪が長く、微笑し、手には青い蓮華を持ち、まどやかな光をまとい、真っ白な衣をまとっておられる」
 以下が、原文である。
「北方に観世自在者あり。
 中年の女人の状にして黒髪長く、微笑して手に青蓮を持ち円光遍して白衣鮮やかなり。」
 また、『大日経』は繰り返し、「善男子善女人」と呼びかけ、万人が救われる道筋を示している。

 甲山神呪寺(カンノウジ)にある国宝如意輪観音は、なかなか悟りを得られずに悩む真井御前(マナイゴゼン)のために、お大師様が彫られた。
 得度し、如意尼(ニョイニ)となった御前は、お大師様が入定(ニュウジョウ)される前日、お大師様がおられる南方へ合掌しながら入滅された。
 守本尊に導かれ、誰でもが即身成仏(ソクシンジョウブツ)できる密教の易行道(イギョウドウ)はここから始まったという説もある。

 高野山などの女人禁制は、当時の政令により、明治5年の政令解除まで続いたが、それは、宗教的本質と社会の慣習や風習や道徳意識などとの間にズレがあったということである。

 お釈迦様は、繰り返し、「人は生まれではなく、いかに生きるかによって人生の価値が決まる」という趣旨の教えを説かれた。
 当然、救済される相手として、貴賤や貧富の区別をしないだけでなく、男女の区別もしなかった。
 また、救済され、アラカンの悟りを開いた者においても、そうした区別や差別はない。
 売春婦も寡婦も、知識のあった者もなかった者も、対機説法によって救われ、その先の絶対安寧まで導かれたのである。
 説かれた因果応報と輪廻転生の論理、そして救済される道としての「八正道」からしても、一切平等と観ておられた。

 現代ですらカースト制度と男尊女卑が厳然として存在しているインドにおいて、釈尊が現れ、それから約千年後に密教が現れたのは奇跡という感がぬぐえない。
 前述のとおり、密教経典においては、男女共に仏となり、救われると説かれ、曼荼羅には、男性的なみ仏も、女性的なみ仏もおられるのである。
 釈尊は当時、宗教界における革命児であり、密教は革命的宗教だったのだろう。
 もしかすると、インドで仏教がほとんど滅んだ理由の一つに、慣習の風に屹立する革命性もあったのだろうか。

 縁あってさる寺院を訪れた際、〈行者のいる空間〉からあまりにもかけ離れた様子に驚き、呆れた。
 数年後、また訪れたところ、尼寺になっていた。
 朝の勤行で、無視された以前とは異なり、内陣へ招かれ、尼僧の方々と共に祈った。
 修法の空間がいかに清浄で豊潤であったかは、到底、言葉にできない。
 曼荼羅の現象化を実感したのである。

 仏教において男女を分ける必要があるとすれば、基礎的修行の段階においてであろう。
 それは、お釈迦様の時代も、お大師様の時代も、今も変わらない。
 将来のことはわからない。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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