コラム

 公開日: 2014-03-16  最終更新日: 2014-06-04

観音様の同悲同苦 ─中国のPM2・5問題へ手を差し伸べる日本─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈岩出山の『森栖』さん〉

 3月15日付の朝日新聞は、「中国大気汚染 日本が協力」を掲載しました。

 3月11日、日本側からの招きに応じ、中国・天津市から鋳造メーカーの関係者11人が東京を訪れ、嘆願しました。

「排出削減、大気汚染の分野で日本の先進的な知見を採り入れたい」
「環境保護の意識を学ばせてほしい」
「PM2・5の濃度をオンラインでモニターできる最新機器が欲しい」

 環境汚染そのものについて学びたい、自分たちで自分たちの環境を守る意識はいかにして育てられるか、PM2・5と戦う道具が欲しい、いずれも切羽詰まった願いでしょう。

 社長や工場長たちを束ねる天津市鋳造業協会事務局長王継英事務局長は語りました。

「日中両国には(歴史認識や尖閣諸島など)複雑な問題があるが、いま中国で国民の関心が高いのは大気汚染だ。
 ぜひ協力をお願いしたい」
「生産量を優先する発想を改め、環境を意識した経営を迫られている」

 大気汚染は、生きものである人間から自然な呼吸を奪う残酷な事態です。
 その影響は子供や老人などの弱者を直撃するのはもちろん、青年や壮年の肺へも深刻な病気の種を植え付けます。
 しかも、それは、人間の手によってもたらされる自業自得の苦しみです。
 一刻も早く、原因を除去せねばなりません。

 日中経済協会(会長・張富士夫トヨタ自動車名誉会長)は、日中関係の現状を憂慮し、環境関係の技術に関する関係強化に乗り出しました。

「協会は昨年3月、JXや日立製作所など数百社が加わる『中国大気汚染改善協力ネットワーク』を結成。
 中国が直面している環境問題に貢献できる470件の技術をまとめて大気汚染が深刻な北京市や近郊の天津市、山東省など5省市に協力を申し出た。
 中国政府の感触も良く、日本側の招待で来日を希望する中国企業が増えているという。
 中国政府や企業にとって、国民の不満が強い大気汚染問題の改善は、待ったなしの課題だからだ。」

 日本側の関係者は北京などで最悪の空気を吸い、自分の肉体が空気に襲われるという逃れようのない恐怖感をお持ちでしょうか?
 ぜひ、そこから出発し、隣人の苦しみを見捨ててはおけない気持をこそ、行動の根においていただきたいと願わないではいられません。
 経済の世界には損得勘定も恩の貸し借りもありましょう。
 しかし、ぜひ、観音様の〈同悲・同苦〉を頭の隅にでもおいて、共に難局へ挑んでいただきたいと願っています。

 観音様は、行くべきところへ行く道筋を知る阿弥陀如来様の悟りがその本体となった存在です。
 しかし、絶対の安楽へと溶け込んでしまわず、私たちと悲しみを同じくし、苦しみを同じくし、共にそこから脱しようとされます。
 観音様にとって、生きとし生けるものの悲しみも苦しみも、決して〈他人ごと〉ではありません。
 私たち人間も、真の同悲・同苦のある交流を行いたいものです。
 そこからこそ揺るぎない信頼が生まれ、決して相手を〈殺せない〉心も生まれることでしょう。
 み仏の説かれた「不殺生(フセッショウ)」の実現こそ、戦争から遠ざかるための最も確実な方法です。

 3月6日、当山はブログ「今こそ塩を送ろう」を書きました。
「今、日本は中国と緊張関係にあるが、大気汚染という中国国民の現実的な苦しみへ手を差し伸べ、原発の拡大という文明への危険因子を取り除く手伝いをして、隣人、隣国としての真の友好を目ざすべきであろうと思う。
 武によって守りを固め、文によって相通じようとする文武両道は、日本古来のならいでもある。」
 中国におけるPM2・5の猛威から逃れる発電方法としては、原発がすぐに考えられることでしょう。
 しかし、ブログ「東日本大震災 ─東北関東大震災・被災の記(第148回)中国の原発事故に勝る国防上の脅威はない─」に書いたとおり、中国の東海岸方面に続々と造られている原発は、日本の国防上、まぎれもなく、最も危険で抗しようのない脅威です。
 もしも、中国で原発事故が起こったなら、偏西風に乗った放射能は日本列島に降りそそぎ、日本に住む人びとは〈全島避難〉となることでしょう。

 日本では原発事故が起こり、中国ではPM2・5に苦しめられています。
 日本と中国に起こっている問題は、現代文明そのものの問題であり、国家像だけでなく、人類が目ざすべき世界像を再考する機会を与えてくれているのではないでしょうか。
 自然と共存するのではなく自然と戦いつつどこまでも欲の拡大をはかろうとする方向性そのものに〈否〉が突きつけられていると感じ、畏れているのは私だけでしょうか。
 中国では、観音菩薩様の聖地であるチベットが抹殺されつつあります。
 しかし、日本ではまだ、観音信仰が生きています。
 同悲・同苦をもって、共に、新しい文明を目ざしたいものです。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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