コラム

 公開日: 2014-03-25 

奪えば奪われる ─争いと戦争から遠ざかる道─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



 お釈迦様は、勃興する国家同士が領土争いする中で、地域性が破壊され、人々のつながりが破壊され、そして、いのちが奪われるさまを深く憂いました。

「人は自己に利ある間は、他を掠(カス)めとる。
 他が掠めとるときに、彼は掠められて掠めとる。」

 自分の方が相手より強い武器を持っていたり、相手が油断していたりして、自分がうまく相手から奪えそうなチャンスを逃さず、手に入れられるものを掠め取ってしまい、〈勝者〉となります。
 しかし、長い目で見れば、神のごとき強さや賢さを持っている者などどこにもおらず、いつかは、より強く、賢い者に掠めとられますが、それでもまた性懲りもなく、掠めとろうとします。
 2500年も前から、人間のやることはあまり変わり映えしないのでしょうか?
 さかんにグローバルが叫ばれている今は、〈見境なく〉掠めとり合戦が行われています。
 経済的にも、軍事的にも、政治的にも。
 しかも、堂々と……。
 こうした行動パターンは、はたして霊性を高め得るでしょうか?
 うまく掠めとった者だけが霊性を高め得ないままに一時の栄華を誇っても、私たち一人一人の人間が安心と生きがいを持って生きられる平和で幸福に満ちた社会は訪れないのではないでしょうか。 

「愚者は悪のみのらざる間は、当然のことと思えども、
 悪のみのるとき、苦悩を受く。」

 奪う者は悪者です。
 自分だけがモノを得て〈強いから当然〉、あるいは〈賢いから当然〉とうそぶいても、自分の悪の報いと奪われた者の怨嗟による因果応報からは逃れられません。
 悪しき因に、それを増長する縁が加わり、あたかも熟した柿の実が落ちるように、必ず結果としての災厄を受ける時が来ます。 

「他を殺せば、己を殺す者を得。
 他に勝てば、己に勝つ者を得。」

 殺す者はいつか必ず殺されます。
 いかなる世界においても、永遠の勝者はあり得まず、必ず、超えられる時が来ます。
 たとえば、セクハラによって相手の心を殺して平然としている者は、その無慈悲さが自分自身の人生をも蝕みます。
 たとえば、権力的に部下をこき使う者は、いつか必ず、自分も部下と同じような扱いを受ける時が来ます。
 人は、善業(ゼンゴウ)も悪業(アクゴウ)も積みつつ老い、死に変わり、生まれ変わり、輪廻転生の輪から抜け出られません。
 被害者は、まっとうに生きていれば、一時は心を殺されかけ、生活を潰されかけても、まっとうさの報いを受ける時がきます。
 セクハラに悩み、生きる意味を見出せずにいた月島華凜さんは仲間の支えでついに脱出し、書きました。

「生きていてくれてありがとう。
 私と出会ってくれてありがとう。
 どうかどうか、これからも生き続けてください。
 私も精いっぱい生きていくから。歩き続けてゆくから。
 あの場所から一歩踏み出して、強い風に負けないように。」

 お釈迦様が「徳、孤ならず」、まっとうな人は孤独にならないと説かれたとおりです。

「他を謗(ソシ)る者は、己を謗る者を得。
 他を悩ます者は、己を悩ます者を。」

 テレビではどうしてこれほど、〈まくし立てる者〉が重宝されるのでしょうか?
 対話ではなく、怒鳴り合いが電波に日々、堂々と流れている文化は、どうかしているのでないでしょうか?
 子供のゲームで流行っているバトルが大人の世界をも席巻しているとしたら、何をかいわんやです。
 謗る者は必ず謗られ、忿怒と高慢心が互いを増長させる悪循環に陥ります。
 こうしたタイプの人々は、決して人々の心を豊かにできはません。
 もしも、まくし立てる人々のいる場面を目にしたなら、目立たずじっと聴き入っている人に注目してみましょう。
 誰が賢人で誰が愚者か、見分けがつくはずです。

「かくて業(ゴウ…道の車)転がって、かれは掠めて掠めとらる。」

 狡(コス)っ辛(カラ)く立ち回る人々や、自己中心でまくし立てる人々を反面教師とし、流されず、慌てず、地に足の着いた日々を生きたいものです。
 それが、ひいては、争いと戦争から遠ざかる暮らし方ではないでしょうか。
 最後に、国際放射線防護委員会(ICRP)副委員長ジャック・ロシャール氏の言葉を朝日新聞の『福島とチェルノブイリ』から引用しておきます。

「福島行きの列車にコートを忘れたことがあったのですが、箱にきれいにたたまれて宿泊先の東京のホテルに戻ってきました。
 残念ながら私のコートではなかったのですが、感動で胸がいっぱいになりました。
 福島県のレストランに財布を忘れたときも、必死の形相で従業員が追いかけてきました。
 清潔で居心地がよく安心感がある。」

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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