コラム

 公開日: 2014-04-01  最終更新日: 2014-06-04

【現代の偉人伝】第187話 ─いじめで我が子をなくしながら、いじめっ子を思いやる小森美登里氏─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 3月27日、いじめに立ち向かう講演会が千回を数えたNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事小森美登里氏(57才)は、「加害者にどれだけ寄り添えるか」が大事であると言う。

 平成10年、いじめに遭い、15才で自死を選んだ娘は言葉を残していた。

「お母さん、優しい心が一番大切だよ。
 その心を持っていない、あの子たちがかわいそうなんだよ」
 氏は惑乱した。

「数日間、のどが渇かず、おなかも減らず、眠くもならなかった。
 すべての感情がなくなり、自分だけが別の空間にいるような感覚でした。」

 やがて、いじめられる側よりも、いじめる側の心にこそ主たる原因があり、〈いじめる心〉に寄り添い、それを解消することがいじめの問題を解決するための根本的方法であると考えるに至り、各地での講演活動を開始した。

 相手の害意に対して、報復的な害意でなく、思いやりで対応しようとする娘さんの言葉は、『法句経(ホックキョウ)』に書かれたお釈迦様の言葉そのものである。

「まことに、怨みに怨みをもって報いるならば、この世においては、怨みのしずまることがない。
 しかし、怨まないことによって、怨みはしずまる。
 これは、いにしえより続く真理である。」

 昭和26年9月6日、敗戦国日本の独立を求めるサンフランシスコ講和会議において、セイロン(現スリランカ)の大蔵大臣ジャヤワルダナ氏は賛成の演説を行い、上記と同じ教えを引用しながら日本に対する戦時損害賠償放棄を表明した。
 太平洋戦争直後、アジアの国々が日本をどう観ていたかがよくわかる貴重な資料である。

「何故アジアの諸国民は、日本は自由であるべきだと切望するのでしょうか。
 それは我々の日本との永年に亘るかかわり合いの故であり、又アジア諸国民が日本に対して持っていた高い尊敬の故であり、日本がアジア緒国民の中でただ一人強く自由であった時、我々は日本を保護者として又友人として仰いでいた時に、日本に対して抱いていた高い尊敬の為でもあります。

 私は、この前の戦争の最中に起きたことですが、アジアの為の共存共栄のスローーガンが今問題となっている諸国民にアピールし、ビルマ、インド、インドネシアの指導者の或人達がそうすることによって自分達が愛している国が開放されるという希望から日本の仲間入りをした、という出来事が思い出されます。

 セイロンに於ける我々は、幸い侵略を受けませんでしたが、空襲により引き起された損害、東南アジア司令部に属する大軍の駐屯による損害、並びに我国が連合国こ供出する自然ゴムの唯一の生産国であった時に於ける、我国の主要産物のひとつであるゴムの枯渇的樹液採取によって生じた損害は、損害賠償を要求する資格を我国に与えるものであります。
 我国はそうしようとは思いません。
 何故なら我々は大師(お釈迦様)の言葉を信じていますから。
 大師のメッセージ、
『憎しみは憎しみによっては止まず、ただ愛によってのみ止む』
はアジアの数え切れないほどの人々の生涯(生活)を高尚にしました。
 仏陀、大師、仏教の元祖のメッセージこそが、人道の波を南アジア、ビルマ、ラオス、カンボジア、シャム、インドネシアそれからセイロンに伝え、そして又北方へはヒマラヤを通ってチベットへ、支那へそして最後には日本へ伝えました。
 これが我々を数百年もの間、共通の文化と伝統でお互いに結びつけたのであります。

 この共通文化は未だに在続しています。
 それを私は先週、この会議に出席する途中日本を訪問した際に見付けました。
 又日本の指導者達から、大臣の方々からも、市井の人々からも、寺院の僧侶からも、日本の普通の人々は今も尚、平和の大師の影の影響のもとにあり、それに従って行こうと願っているのを見いだしました。

 我々は日本人に機会を与えて上げねばなりません。」

 『サンフランシスコ・ニュース』は、演説が終了したとたん、会場が称賛の嵐となり、窓ガラスが割れんばかりであったと報じた。
 そして、平成8年、死を迎えた氏は献眼と角膜提供を申し出、「右目はスリランカ人に、左目は日本人に」と遺言した。
 左目は氏の望み通り長野在住の女性へ贈られた。

 小森美登里氏へ戻る。

 氏は言う。

「吹奏楽部の顧問だった担任の先生に相談し、青少年相談センターやメンタルクリニックにも一緒に行きましたが、香澄は全然よくなりませんでした。
 今考えてみ れば、それは当たり前です。
 香澄を傷つけている人がいじめ行為をやめてくれなければ、救い出すことはできなかったのです。」

「いじめが起きる原因はいじめられる側ではなく、いじめをしてしまう人の心にあると思っています。
 みなさんの中に『やられたらや り返せ』と教わった人はいませんか。
 思いっきりやり返すと、それ以上自分はやられませんが、やられたほうの心に争いの種を残します。
 それが新たないじめを生みます。」

「自分と色も形も違う、遠く離れた 部分の一ピースでも、ひとつの絵を完成させるためには必要なんです。
 大げさかもしれませんが、地球は大きなジグソーパズルではないでしょうか。
 皆さんは自由の翼を持っています。
 自分の翼も、友達の翼も、むしったりせず、自由に羽ばたけるようにしてください。
 それが互いの人権を守るということなのです。」

 いじめの現場では、被害者が哀れである。
 加害者は、性格が捻れ、破綻し、あるいは許しがたいほど非人間的な様相を呈しているかも知れない。
 被害者をかばい、加害者を非難するのは当然と思われる。
 その時、加害者的行動をとってしまわないではいられない人間の身になり、悪行をもたらしている悪因縁を共に取り除こうとするのは容易でない。
 しかも、我が子や家族や友人が被害者でありながら、それを守ると同時に、加害者をも救いたいと心底、願うことは極めて困難である。
 あなたを救ってあげましょうなどという生半可な気持では、平気で他人を害する人の心へ通じるわけはない。

 河北新報編集委員の寺島英弥氏は、東日本大震災の現場を綴った『海よ里よ、いつの日に還る』の「はじめに」において故柳原和子氏の言葉を紹介している。
 被害者でない人が、自分の家へ帰れる人が、本当に被害者に寄り添えるのか?

「わたしは彼らではない。
 傷ついた人々は、戻るところのある観察者を、心根のところで拒んでいる。
 しかも、観察は観察でしかない。
 当事者を超えられない。
 それどころか、当事者を裏切ることさえある。」

 いじめる人の心はすでに傷ついている。
 傷ついた心が、同じく傷つく心を求め、いじめへと向かわせる。
 誰かを傷つけたからといって自分の傷が癒されるわけではないが、そうしないではいられない。
 その傷は、癒さないではいられない人によってしか、癒されない。
 そうしないではいられない人間同士として、同じ土俵で取り組むしか方法はない。

 故柳原和子氏は卵巣ガンに罹り、患者と専門家を訪ねて取材し、自らの闘病生活を記録した。

「帰る場所のない当事者にやっとなれたのである。
 他人を現場にすることはない。
 さもしく悲しみの現場を漁ることはない。
 自らを現場にせよ。」

 ジャヤワルダナ氏も、柳原和子氏も、小森美登里氏も、相手の尊厳を認め、傷ついた相手の心へ本当に寄り添えた。
 小森美登里氏の日々は、文字どおり〈現場〉の連続だろうと思われる。
 そこは菩薩が降臨している場ではなかろうか。 

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

消えた因縁 ─心の檻(オリ)から脱した話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

「みやぎシルバーネット」20周年おめでとうございます ─無私の編集長につながる方々─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ