コラム

 公開日: 2014-04-06  最終更新日: 2014-06-04

寺子屋の教え『実語教・童子教』を考える(その69)─徳のある農民が帝王になった話─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈東照宮の舜帝〉

 江戸時代まで寺子屋などの教材となっていた『実語教・童子教』を読んでいます。
 今回は、日光東照宮にその姿が刻まれている舜帝(シュンテイ)のお話です。

○帝王舜の話

「舜子(シュンシ)盲父(モウフ)を養いて
 涕泣(テイキュウ)すれば両眼(リョウガン)を開く」

『孝子伝』にあるお話です。
 その昔、舜(シュン)という青年がいました。
 姓は姚(ヨウ)、字(アザナ)は重華(チョウカ)です。
 母親と別れ、父の瞽叟(コソウ)は後妻を迎え、象(ショウ)という男の子をもうけました。
 舜は親孝行でしたが、新しい母親は象ばかりをかわいがり、瞽叟へ讒言(ザンゲン…おとしいれようとして嘘の情報を吹きこむこと)して舜を殺そうと企みました。
 舜は倉庫の屋根葺きを命じられた時に企みを察知し、笠を二つ手にして屋根へ登りました。
 案の定、下から火の手が上がりましたが、舜は二つの笠を利用して飛び降り、無事でした。
 今度は、父親に井戸掘りを命じられました。
 夫婦の悪心に気づいた隣人は逃げなさいと勧めます。
 舜は平然として答えます。
「私はただ、父母の言うとおりにし、死んで孝行をするまでです。
 逃げて親不孝をするつもりはありません」
 隣人は深く感銘を受け、舜へ銀銭五百文を与えました。
 翌朝、井戸を掘った舜は土から銀銭を掘り出したように見せかけます。
 思わぬ僥倖(ギョウコウ…天から降ったような慶事)に両親が喜んでいる隙を見て、隣家の井戸へ坑を掘りつなぎ、歴山(レキザン)の麓まで逃げのび、百姓を始め、とうとう、毎年三百石もの成果をあげるように富農となりました。

 悪行の報いにより、やがて父親は視力を失い、母親は聴覚を失い、罪のない弟までが会話を失い、しかも、雷によって家は焼失しました。
 ある時、舜は、母親が細々と薪を売りながら極貧に耐えていると知って食物を与え、薪を高く買い上げ、その銭を米袋へ入れてやりました。
 それが度重なるうちに、父親は、もしかして舜がそうしてくれているのではないかと気づき、妻に手を引かれながら町へでかけ、名乗り上げました。
 そこで父子は泣きながら抱き合い、家族の姿を見た舜の悲しみは天地を満たすほどでした。
 町の人々も皆、悲嘆の涙にくれました。
 そして、舜が父親の眼に手を当て、天を仰いで悲しんだ時、不思議にも両眼が開きました。
 また、母親の耳は聞こえるようになり、弟も言葉を話せるようになりました。
 この孝行ぶりは国中へ聞こえ渡り、堯帝はその聡明さにかけて天子の位を譲りました。
 舜帝の徳による治世は82年の長きにわたりました。

 日光東照宮の唐門(カラモン)にたくさん彫られた人物の一人が舜帝です。
「舜帝(シュンテイ)朝見(チョウケン)の儀」と名づけられたのは、舜帝が元旦に役人たちから挨拶を受けている光景です。
 徳川家康は、中国の歴史上最高の治世とされた堯帝と舜帝の時代にちなみ、自分自身を舜帝に比していたとされています。
 なお、平成という元号は、舜帝の言葉「地平天成」及び「帝内平外」によります。
 懸命に政治を行った舜帝は、道徳も産業も福祉も進み、〈地〉は安〈定〉し、〈天〉の徳は〈成〉ったと喜びました。
 また、〈帝〉の力が安定し、国〈内〉でしっかり政治が行われれば、その威光により、〈外〉の国々は侵略しようとせず〈平〉和がもたらされると信じたのです。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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