コラム

 公開日: 2014-04-14  最終更新日: 2014-06-04

嫌悪は四国霊場にふさわしくない ―四国遍路を大切にする日本人と韓国人―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈河北新報様よりお借りして加工しました〉



「それでも日本人愛している」
 4月12日付の河北新報は、センセーショナルな見出で韓国人先達(センダツ)の崔象喜さんを紹介した。

 ソウル在住の韓国人崔象喜さんは四国遍路の巡拝を4回達成し、平成25年12月、初の外国人先達となった。
 平成18年、事故死した父親の供養のため四国遍路を行い、困った時にあちこちで受けた親切が忘れられず、自分もお接待の心を守りたいと思ったことがきっかけである。。
 当時は、こう語っていた。
「お遍路で日本人の優しい心を知ってほしい。
 日韓両国の人の良さを知っている私が大好きな人たちのことを伝えていくことで、両国民がより仲良くなることにつながれば」

 先達とは、お遍路さん方へお参りのしかたなどを指導する公認の案内人である。
 崔象喜さんは、案内を行う一方で、外人が道に迷わず歩けるよう工夫したステッカーをあちこちに貼っている。
 そこへ外国人を排除しようとする張り紙が貼られた。
「『大切な遍路道』を朝鮮人の手から守りましょう」

 崔象喜さんは言う。

「そもそもステッカーは余計なことだったのだろうか。
 たくさんの人に心配、迷惑をかけてしまい本当に申し訳ない」
「日本人を愛しているんです。
 日本で受けた接待の感動を忘れることはできません」

 四国の霊場は、お大師様がこの世にマンダラ世界を具現させようと開かれ修行道場である。
 マンダラは、み仏の目から観た仏性に輝く世界であり、そこには仏神から夜叉(ヤシャ)までも描かれている。
 私たちは、時として仏神のようになれもするが、時として夜叉のようにもなる。
 東日本大震災のおりに、我が身を捨てて人々を救った方々は皆、仏神そのものだった。
 夜叉が何であるかは、昭和60年公開の映画『夜叉』(監督:降旗康男、主演:高倉健)に余すところなく描かれている。
 こうしたマンダラ霊場から外人を排除することはあり得ない。

 むろん、排除の張り紙を作った人も、四国の霊場を守りたい一心から行ったのだろう。
 しかし、人種差別を孕むステッカー騒動は韓国にも飛び火している。
 日本人の中に韓国人を嫌悪する人々がいるのと同じく、韓国人の中にも日本人を嫌悪するする人々がいる。
 韓国ではすでに、〈嫌日感〉を煽る道具としてこの問題が利用され始めているという。
 何ごとであれ、相手への嫌悪感をかき立てることが人間同士、あるいは国家同士の親和と共存に役立つはずはない。
 反目は諍いへと進み、やがては戦いも起こりかねない。
 このルートは万人を不幸にする。
 戦争には一方的被害者も、一方的加害者もいない。
 被害者はやがて報復する加害者となり、加害者は必ず加害の報いを受けて被害者となり、転々して絶えることがない悲しくも哀れな循環が歴史となる。
 太平洋戦争では、東京や神戸などが大空襲によって莫大な被害を蒙り、広島と長崎は原爆で瞬時に壊滅させられたが、その数年前、日本軍は中国の重慶で218回にのぼる凄まじい絨毯爆撃を行っていた。

 さて、崔象喜さんのステッカーそのものは、シンプルで外人にもわかりやすいと思われるが、霊場を案内する道具として眺めた場合、デザインに若干、工夫が必要かも知れない。
 今回のできごとを招来への糧とするために、〈歩む外国人〉として、同じく〈歩む外国人〉のためにと考えた崔象喜さんの善意を生かし、関係者が外国人のためになる道案内の方法をこれまで以上によく考え、試行錯誤を行うべきではなかろうか。
 もちろん、そのメンバーには、崔象喜さんなどの外国人にも入ってもらい、情報を受ける側の意見をよく聴くことは欠かせない。
 国政を問わぬ公募も一法ではなかろうか。
 もう、とっくに、こうした試みは始まっているのだろうが、ぜひ、スピードアップをしていただきたい。
 無用の嫌悪感が膨らみ、お大師様が決して望まれるはずのない方向へと霊場が変質を始めないうちに。

 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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