コラム

 公開日: 2014-04-16  最終更新日: 2014-06-04

平常心で転生するには ─「ダライ・ラマ『死の謎』を説く」を読む(20)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 平成6年、ジャーナリスト大谷幸三氏は、インドのダラムサラにおいて、ダライ・ラマ法王への質問を数日間かけて行い、回答をまとめた。
 それがテキスト「ダライ・ラマ『死の謎』を説く」である。

第三章 カルマの法則

2 平常心の心得

○来世への究極のゴールに進むために必要なこと

「物質的な成功と宗教的な伝統とを合一し、より高い境地へと至る方法があると私は信じる。
 では、いかにすればいいのか。」
 モノの獲得に追われず、かつ、歴史の風雪に磨かれた叡智に導かれれば、心は高い境地へと進むことができる。
 法王は、そう信じておられる。

「僧侶に頼るか、宗教の教えに耳を傾けるか、否である。」

 宗教者に頼り、教えを知っただけでは、なかなかそこまで到達できない。

「今日、現代医療の科学は、精神的なゆとりや平安が、肉体的な健康、長寿にとって根本的な要因となっている事実を受け容れている。
 心静かにすれば血液は正しく循環し、脈拍は正常を保ち、身体全体が正しく活動する。
 そして、それが長く健康な生命を約束してくれる。」

 ストレスの少ない心身の安寧が、心身の健康には欠かせない。
 このことは現代科学が証明している。 

「では、どうすれば心静かでいられるか。
 それが問題になってくる。
 まず、宗教的な実践が最初に目ざすものと言えば、生きとし生けるものとして、正常でよりよい生活を実現することである。
 それができてはじめて、より深い宗教的体験の世界に入ることができる。」

 ここで法王が「生きとし生けるものとして、正常でよりよい生活」と指摘しておられることは重要である。
 宗教的実践は、やおら、何かを繰り返し唱えたり、座禅を組んだり、滝に打たれたり山登りをしたりといったいわゆる〈修行〉から始まるのではない。
 生きるために身体をきちんと養いつつ、自他共に〈良かれ〉と心から願えるような生活。
 お釈迦様が説かれた「八正道(ハッショウドウ)」の一つ「正命(ショウミョウ…規則正しい生活で、まっとうにいのちを養うこと)」である。
 これが確保できなければ、現世の苦を根本から超越できるような高い宗教的次元へは入れない。
 それは、お釈迦様が悟られた経緯を見れば明らかである。

 食うや食わずの難行苦行を6年間行ったお釈迦様は、自らを痛めつける苦行だけでは悟りを開けないと気づき、身体を清めてやりなおそうとネーランジャラー川で沐浴をした。
 それを見た下女から「樹神がいる」と教えられたスジャータは、喜んで乳粥を供養した。
 滋養を補給し、心身をリラックスさせ、心にも身体にも力を漲らせたお釈迦様はよういやく、悟りを求める瞑想へ入った。
 お釈迦様に〈その時〉を得させてはならないと怖れた魔ものたちの大群が、恐怖心や色欲をかき立てて妨害しようと企てるが、一日の攻防を経て、お釈迦様はついに悟りを得られる。
 第一のポイントは、〈痛めつけられ、追いつめられた者〉としてではなく、〈いのちと心の力に覆いがかからず、持てる力を充分に発揮できる者〉としてこそ、悟りが得られたということである。
 第二のポイントは、すでに得ていたたぐいまれな法力により、降魔の印を結び結界を張ったからこそ、世界中の魔ものたちの誰もがお釈迦様の身体に触れられず、心を乱せなかったということである。
 降魔成道のシーンにおける第一のポイントが、行者においても、娑婆の方々においても「正常でよりよい生活」と言えるのではなかろうか。
 
「平常心の境地である。
 究極の自然現象のような境地である。
 これはすでに宗教的な実践の第二段階である。
 この段階は自動的にやってくる。
 意図して求める必要はない。
 なぜなら、その段階に入る人は、すでに幸福な生活のなんたるかを知り、それを追求する集中力を養い、瞑想か、あるいは、他の宗教的実践の中で平常心を会得しているからである。」

 何ものにも乱されない平常心。
 これは、降魔成道における第二のポイントに近い。
 お釈迦様のような法力は持てなくとも、ゆったりした心身は、魔ものを容易に寄せつけないほど大きな力を発揮できる。
 「究極の自然現象のような境地」になれば、心身は山となり、川となり、雲となり、鹿となり、ウグイスとなり、蝶となる。

「平常心を知り、心が果たす役割を熟知するなら、後は自然に人は目指すべきゴールへと進んで行くことができる。
 来世を生きるという究極のゴールへ。」

 平常心となり、心中の仏神に出会えれば、もう、怖いものはない。
 死は、死に神の到来ではなく、より良き転生のチャンスとなる。
 こうして「来世を生きる」時の到来を悠然と待つのである。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。。

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