コラム

 公開日: 2014-04-17  最終更新日: 2014-06-04

問題意識を持ち続けるのは心の修行をしていることに他ならない ─「ダライ・ラマ『死の謎』を説く」

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 平成6年、ジャーナリスト大谷幸三氏は、インドのダラムサラにおいて、ダライ・ラマ法王への質問を数日間かけて行い、回答をまとめた。
 それがテキスト「ダライ・ラマ『死の謎』を説く」である。

第三章 カルマの法則

2 平常心の心得

○初期の段階は、師なしで自己を鍛えよ

「来世を生きるために自己を鍛えるには、かならずしも師が不可欠であるわけではない。
 むしろ、初期の段階においては、あえて師なしで取り組むことを勧めたい。」

「師に頼らず、一人で自己を鍛錬するについては、ふたつの有意義な点を指摘することができる。
 まず、一人で学び、修養を積めば、よりよき師を見分けるに充分な知識と経験を得ることができる。
 次に、知識と経験とが充分に備わっていれば、師の教えに簡単に満足してしまわずにすむ。」

「したがって、一人で励み、それがある程度の高さにまで至ったなら、はじめて師を求めればいい。
 修行の第二段階に入るための。」

 若い日、私は人生の目標を見失って彷徨った。
 あちこちの寺院や宗教団体を訪ね、他の大学の講座へもぐりこんだりした。
 自分で食うようになっても、心の根無し草状態は続いた。
 その時代は、ただ、霧の中にいたようだったが、もしかすると、「一人で自己を鍛錬」していたのかも知れない。
 人々の師であるたくさんの賢者に会ったが、自分にしっくりくる方との出会いはなかなか訪れなかった。
 この時期は、自分にとっての「よりよき師を見分ける」訓練になっていたのかも知れない。
 そして、人生の暗転と共に唯一の師として立ち現れた方から指導を受け始めた時、一日も欠かさず、疑問がわいてきた。
 師はたった一つの疑問も軽んじず、必ず教えをくださり、それはとりもなおさず修法の伝授となり、行者の血肉をつくった。
 このこともまた、行者へ対して手順通り行われる「師の教え」に「簡単に満足してしまわず」に済んだと言えるのかも知れない。

 ふり返ってみると、なかなか答の出ない問題意識を持ち、決してそこから離れずに苦しんでいたことが実質的には「初期の段階」だったのだろう。
 20年の迷いを経て師に出会った。
 そこで、自分ではようやく〈始められた〉と思ったが、実は、み仏が「修行の第二段階に入る」時をもたらしてくださったのだ。
 人生は実に、わからない。
 キーワードは問題意識ではなかろうか。

 最近、北海道から人生相談にご来山された方がある。
 Aさんは寺院の息子として仏事になじみつつ育ったが、どうしても嗣ぐ気になれず、寺院はとうとう住職である父親の意図しない形で運営されるようになったことが深い罪悪感として離れない。
 親戚縁者に顔向けができないとも言う。
 申しあげた。
「嗣がなかったのはAさんの良心がさせたことであり、立派な決断でした。
 住職のイスに座れば食えると考えず、出家が自分に向いているかどうかを見極めたことは、きっと、周囲から評価される日がくることでしょう。
 Aさんが宗教や寺院を軽んじていないからこそのできごとだからです。
 それに、寺院がどうなるかはさまざまな因と縁によるものであって、Aさんが嗣がないのは因縁の一つに過ぎません。
 辛さに耐えつつ、自分、父親、寺院、親戚、世の中などをよく観て、この世の〈ままならなさ〉に立ちすくむことは、真の宗教心が目覚めるきっかけの一つです。
 いつの日か、生まれ育った世界へ戻ろうとする気持になるかも知れませんよ」

 不条理や無常や宿命に立ちすくみ、人生に対する深い問題意識が湧いてきた時は、眠っていた霊性が震え始めているのだろう。
 震えを抱えつつ生きているのが「初期の段階」であり、そこを過ごせばいつか「修行の第二段階」がやってくるとは、何という救いだろうか。

 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。合掌

この記事を書いたプロ

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