コラム

 公開日: 2014-04-23  最終更新日: 2014-06-04

クローズアップ現代「富裕層が自治体を設立 分断進むアメリカ」を観て

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






「クローズアップ現代 〝独立〟する富裕層 ~アメリカ 深まる社会の分断~」に自由競争原理の終末を観た。

 4月22日のNHKテレビ「クローズアップ現代」は、アメリカにおいて、富裕層が自分たちでCITY=「市」をつくり、予算も税金も、自分たちの手で使いたいように使う動きが相継いでいると報じた。
 地域ごとの独立性が強いアメリカでは、日本人の感覚からすればおおよそ、州が国であり、その行政区分である郡が県にあたる。
 地域住民のために使われる税金は当然、州や郡の采配によるが、たくさん税金を払っている富裕層は、税金が自分たちのためにあまり使われていないと感じている。
 その結果、富裕層だけで独立する動きが始まっている。

「自分たちで『市』の境界線を決め、州議会を動かし、住民投票を実施。法にのっとり独立を成し遂げている。」

 A氏(富裕層)は言う、
「政府による所得の再配分は、個人のお金を盗む泥棒のようなものだ」
 あまり税金を払わない人々のために手篤く税金が使われるのは、不公平であると感じている。
 たとえば、貧困層が住む治安の悪い地域へ多くの警察官が配備されているために、麻薬取引などを行う者たちが富裕層の住む地域へ入り込むようになり、治安が悪くなってきたことを槍玉に挙げる。

 また、政府は人をたくさん使って仕事をしているが、コンピューター管理を進めればもっと安上がりになるとして、9年前に富裕層によって独立したサンディ・スプリングス市では、ほとんどの行政サービスを効率化した結果、職員の数を激減させた。
 職員には鳴っている電話を10秒以内でとることを義務づけ、90秒以内で警察や消防が出動し、早ければ、電話を受けてからたった2分ほどで現場へ到着する。
 こうしたサンディ・スプリングス市へはどんどん富裕層が移住し、30あまりの地域がその〈成功例〉を見習って独立を目ざしている。
 B氏(富裕層)は言う。
「税金に見合うサービスを行わなければ、市民は税金を払わなくなるのです」

 富裕層が出て行った地域はどうなるか?
 年間40億円の税収減となったフルトン市では、公共サービスが次々と打ち切られている。
 たとえば、貧困層が住む地域にはゴミ収集車が来なくなり腐臭が漂っている。
 たとえば、市が運営する図書館の開館時間が住民へ知らされないままに2時間短縮され、市立の小学校の帰りに図書館のパソコンを使うなどして勉強している貧困層の子供たちは、勉強の場を失った。
 テレビは、一生懸命勉強していたのにタイムアップとなり突然、パソコンの画面がストップした小さな子供の戸惑い、落胆する様子を報じた。
 アブラハム・ワトソン氏の子供である。
 有色人種の親子が見せた表情は、激しい怒りを露わにしていないだけに、あまりにも哀れである。
 この親子が悲しんでいる時、白人を主とした富裕層の住む市では、きっと優秀な家庭教師と高性能なパソコンによって高レベルの勉強が行われているのだろうと想像すると、震え上がる思いになった。
 公営の高齢者センターでは食事代が値上げされ、公立病院の年間予算は26億円の削減となった。
 アブラハム・ワトソン氏は不安である。
「子供は耳に障害を持っており、治療できる専門医の数が削られてしまえばどうなるのか」
 激しい税収減に直面している有色人種の市長は、苦渋の表情で訴えた。
「もう、予算の削減以外のやりくりはできず、そうでないと市の財政は破綻してしまうのです」

 テキサス大学公共社会学部マイカン・コナー准教授は指摘する。

「アメリカ社会では分断が深まっており経済面、教育面でも機会の平等は失われている」

 ジャーナリスト堤未果氏は指摘する。

「アメリカでは1パーセントの持てる者が、99パーセントの持たざる者を支配しています。
 サービスを税金で買う契約社会になりました。
 富裕層が住みサービスの充実した地域では地価が上がり、周辺地域では地価が下落し、どんどん荒廃します。
 目に見えないフェンスで囲われた特権地区はピカピカの天国ですが、周辺地域では治安が悪くなり犯罪率が上がります。
 刑務所が維持管理できずに囚人を解放する一方で、警察官の数が減り、治安の悪化に拍車がかかります。
 特権地区では民間ビジネスに教育を委託したため、公教育が消滅しました。
 そして、フェンスの中にいる人たちからは、荒廃している地区に住む人びとが見えません。

 アメリカでは、税金・公共・国といったものが大きく変質し始めました。
 あらゆるものをお金で買う契約社会になりました。
 中流層は消滅しました。
 アメリカにはもはや、二つの方法しか残されていないようです。
 1パーセントの人々をもっと豊かにするか?
 99パーセントの人々へ手を貸すか?」

 自由競争の原理をとことん追求することによってもたらされる社会像が明らかになった。
 まず、徹底的な不平等社会が生まれる。
 そして、その〈社会〉はきっと、持てる人々の非情と、持たざる人々の憎悪とによって崩壊するだろうということである。
 崩壊するのは、非情と憎悪は不安と対立をもたらすのみで、決して真の安心と幸福をもたらさず、人々は膨らむ不安と対立に耐えきれず暴発する時を迎えざるを得ないからである。

 私は10年以上前、アメリカの富裕層が自分たちの居住地区をガードマンによって囲い、出入りする者をチェックするという記事に強い違和感を感じたことがある。
 その数年後、今度は、夜間に悪遊びするスラム街の非行少年たちを更正させられず、夜間バスケットボール大会を催しているという記事に強い不安を感じた。
 さらに数年前、ハリケーンに襲われても逃げようがなく、人的にも物的にも甚大な被害を蒙り、かつ、激しい破戒行為が行われた貧困地区の映像に絶望感を抱いた。
 富む者が手を結んで自分たちの富を守り、富まざる者は見捨てられる国家的不正義と人為的不条理が明らかになったと感じたからである。
 日本の守護神的立場にあるアメリカは崩壊へ向かっているのではないか、との危惧が念頭を離れなくなった。

 アメリカにおいては、国民が国民全体を〈自分たち〉と感じられなくなっているのだろう。
 自由競争を押し進めた結果として生じた不平等は、得た者の我欲によって〈自由に〉固定化の度を深め、得た者にとってはもはや、富裕層しか〈自分たち〉の範疇に入らないのだろう。
 だから、自分たちのために使われるべき税金が、自分たちではない人々によって使われているという不公平感と不満が生じる。
 富裕層と貧困層は、互いを〈異界の人種〉と感じているのではないか。

 日本にはまだ、富む者も富まざる者も、同胞に対して〈自分たち〉と感じる心が残っている。
 しかし、地方分権やグローバル時代に名を借りた弱肉強食の推進、格差の拡大と固定化、などなど、あまりにアメリカに似た道をたどってはいないか。
 アメリカとの文化的・経済的・軍事的・社会構造的一体化をこのまま進めるのは、日本が「大和の国」でなくなる道ではなかろうか……。

 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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