コラム

 公開日: 2014-05-09  最終更新日: 2014-06-04

原発にとって最大のリスクは「人間が人間であること」ではなかろうか?

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 5月7日、細川護熙、小泉純一郎両元首相は、再生可能エネルギーの普及・促進に取り組む一般社団法「自然エネルギー推進会議」の設立総会を開催した。

 細川護熙氏の発言である。 
「政府は先に原発を再稼働する方針を打ち出したが、事故に対する反省も教訓もなく、とんでもないことだ。
 不条理と戦わなければならないと決意し東京都知事選挙を戦ったが、今後も『正すべきは正す』という姿勢を貫いていく」(NHKニュース)

 小泉純一郎氏の発言である。
「東京都知事選挙では『原発が安全でコストが安いというのは大うそだ』と訴えてきた。
 選挙の敗北にもくじけないところが細川氏と私のいいところだ。自然エネルギーを発展させようという動きを加速させるとともに、原発のない国づくりのために頑張っていく」(NHKニュース)

 当山は、原発事故の後、被災者から人生相談を受けたり、被災者や支援組織の方々や事故処理に当たっている方々から実態を教えていただいたり、専門家の発言に耳目をそばだてたりしながら、3年以上が過ぎた。
 そして、日々、報道される人間の所行を眺めつつ思う。
「原発にとって最大のリスクは人間が人間であることだ」

 宮城県には女川原発があり、これまでに、数え切れないほどのトラブルの報告があった。
 点検漏れやネジの締め忘れといった軽微なものから、東日本大震災における想定外の被害まで、直接的と間接的とを問わず、すべては人間の営みがからんだ危険の発生だった。
 ちなみに大震災のおり、女川第一原発で発生した火災は消し止められるまで約6時間を要している。
 3月11日には5系統ある電源のうち、4系統が破壊され、4月7日も1系統しかはたらかず、しかも、それぞれの系統は別だった。
 全電源が使えなくなる、つまり、福島原発と同じ事故に至るまであと一歩という危機的状況にあった。
 この事実に対して「結果的に守れたのだから科学技術力は信頼できる」と判断するのも、「原発の危険性が明らかになった以上、もうやめよう」と判断するのも人間である。
 科学者の判断、詩人の判断、政治家の判断、企業家の判断は皆、異なり、正しいと客観的に証明される「解」はどこにもあり得ない。
 そもそも、人間の脳は、論理的にはたらく左脳と直感的にはたらく右脳とあがり、そのはたらき具合によっても、見聞きする外界はまったく異なるものとして私たちへたち顕れている。

 ドイツにある人口2500人ほどの小さな村シェーナウの人々は、チェルノブイリ原発事故を受けて自分たちの未来を考え、自然エネルギーによるシェーナウ電力会社(EWS)をつくり、今や、13万戸の電力をまかなっている。
 EWSは「原子力に反対する100個の十分な理由」という冊子を発行しており、日本語版も出版されている。
 そこには、私たちがほとんど知らされず、あるいは気づいていない事実が列記されており、慄然とさせられる。
 新聞やテレビで論議されている〈リスク〉とかけ離れた膨大な〈リスク〉が原子力にまつわっているからだ。

○世界のウラン産出の3分の2は、4つの巨大多国籍企業グループの会社が握っている。
 日本で問題となっている「原子力ムラ」などの比ではない世界的規模の問題がある。
 一部の企業が儲けるために世界の経済や政治が動かされ、結果として世界中の人々が危険にさらされている。
 
○世界のウラン資源の7割は、人間が生活しているエリアにあり、一旦、開発が始まれば、膨大な人々が生活圏を奪われ、人の住めない地域になる。
 福島第一原発事故の発生後、生活を奪われたオーストラリアの先住民などによって行われた謝罪は忘れられない。
「私たちがウラン採掘を止められなかったために、福島で不幸な事故が起きた」

○ウラン採掘は死の大地を生み出し、採掘、生産、輸送、使用済み核燃料の処理などによって膨大な二酸化炭素が排出されている。
 1972年、アメリカのニクソン大統領(当時)は、環境汚染が長期間続くウラン鉱山の跡地一帯を「国家の犠牲地域」に認定した。
 自然を破壊し、土地を荒廃させ、「環境に優しい」と宣伝されながら人間と環境を犠牲にしつつ、原子力が用いられている。

○平成18年には世界全体のウラン産出量が需要の3分の2に満たず、現在稼働中の原発へウランを安定供給するためには生産量を50パーセント以上、上げねばならず、ウラン含有量の少ない鉱石も大量に用いることになれば、それだけ人間と環境に悪影響を与え、発電コストも上がってしまう。
 この状況下、世界中でまだまだ原発を造ろうとしている。
 いったい誰のために?
 
○世界中にある原発約440基の需要を満たすだけで、地球にあるウラン資源はあと45年から80年しかもたない。
 あとはどうするのか?
 企業と組んだ政治家や国が月や火星などで資源の争奪合戦をするのだろうか。

 ここまでで、100ある「理由」のうちたった5つである。
 残りの95すべてを読んでみると、客観的に考えてみて、「それでも原発を造り、維持し続けねばならない〈人類にとっての必要性〉」はどうしても考えつかない。

 世界中で繰り返されているテロや暴動や殺人事件、あるいは身近に起こる暴力事件や詐欺事件などを見ると、人間が人間であることは、お釈迦様がおられた時代からあまり変わっていないのではないかと思われる。
 自分中心に考え、勝手な行動をし、怒り、怨み、粗暴にふるまい、疲れ、気が抜け、病魔に襲われる。
 こういう〈人間〉や、人間の集まった企業や国家が扱うにしては、原子力は荷が重すぎるとしか思えない。
 どれほど科学的にリスクを減らそうが、結局、人間が菩薩にならずこれまでと変わらぬ人間である以上、究極的なリスクはなくせない。
 ちなみに、日本にもたらされるカザフスタン産のウランは、かつて、イギリスやフランスで加工されスエズ運河経由で輸送されていたが、海賊やテロの危険性があるので、今はロシアで加工され、日本海側から搬入されている。
 人間による脅威は、あまりに明らかな現実である。

 これほどリスクが明らかになってなお、私たちには原子力を手放せぬいかなる理由があるのだろうか?

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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