コラム

 公開日: 2014-05-21  最終更新日: 2014-06-04

原発事故の現場から勝手に離脱していた9割の人々 ─東北関東大震災・被災の記(第150回)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈朝日新聞様からお借りして加工しました〉

 5月20日付の朝日新聞は、「原発撤退は所長命令違反」を掲載した。
 平成23年3月15日、福島第一原発にいた所員の9割(約650人)が所長命令に背き、第二原発へと逃げていた。
 しかも、この事実は、政府事故調査・検証委員会で明らかになっていたにもかかわらず、これまで伏せられたままだった。
 いざという時に指導的立場を果たさねばならないグループマネジャー(通称GM)すらもが内規に反して現場を離脱していた。
 以下、記事を追ってみる。

「~15日午前6時15分ごろ、吉田氏が識をとる免震重要棟2階の緊急時対策室に重大な報告が届いた。
 2号機方向から衝撃音がし、原子炉圧力抑制室の圧力がゼロになったというものだ。
 2号機の格納容器が破壊され、第一原発の所員約720人が大量被曝するかもしれないという危機感に現場は包まれた。
 
 とはいえ、緊急時対策室内の放射線量はほとんど上昇していなかった。
 この時点で格納容器は破損していないと吉田氏は判断した。

 午前6時42分、吉田氏は前夜に想定した『第二原発への撤退』ではなく、『高線量の場所からは一時撤退し、すぐに現場に戻れる第一原発構内での待機』を社内のテレビ会議で命令した。
『構内の線量の低いエリアで待機すること。
 その後異常でないことを確認できたら戻ってきてもらう』

 待機場所は『南側でも北側でも線量の落ち着いているところ』と調書には記録されている。
 安全を確認次第、現場に戻って事故対応を続けると決断したのだ。

 東電が12年に開示したテレビ会議の録画には、緊急時対策室で吉田氏の命令を聞く所員が映り、幹部社員の姿もあった。
 しかし東電はこの場面を『録音していなかった』としており、吉田氏の命令内容はこれまで知ることができなかった。」

 前日の14日、3号機で起こった水素爆発により、現場は地獄のようになったにもかかわらず、氏も部下たちも踏みとどまっていた。
 その頃を回想した吉田氏の言葉である。
「原子炉の冷却作業をする人間は撤退できない」
「基本的に私が考えていたのは発電所をどうやって安定化させるかということ。
 現場で原子炉を冷却する作業をする人間はもう撤退できないと思っていた。
 本店にも撤退ということは一言も言ってない」
「(指揮を執っていた)免震重要棟の人間は死んだっておかしくない状態だった」
「これからもう破滅的に何かが起こっていくんじゃないか」
「現場に飛び込んで行ってくれた」
「私が昔から読んでいる法華経の中に登場する、地面から湧いて出る菩薩のイメージを、すさまじい地獄みたいな状態の中で感じた」

 14日の夜には2号機の冷却が困難に陥り、吉田氏は細野豪志首相補佐官に電話をかけている。
「炉心が溶けてチャイナシンドロームになる」
「水が入るか入らないか賭けるしかないですけれども、やります。
 ただ、関係ない人は退避させる必要があると私は考えています。」
「1号、3号と水がなくなる。
 同じようなプラントが三つでき、すさまじい惨事ですよ」
 吉田氏は東電へも伝えた。
「2号機はこのままメルト(炉心溶融)する」
「放射能が第二原発に流れ、作業できなくなる」

 吉田氏は事故対応とかかわりが薄い人々を撤退させようと準備していた。

「下請け作業員を帰らせ、第二原発に移動するバスを手配した」

 そして、運転手や燃料にまで心を配った。
 だから、GMを含む社員たちの大量退散という事実を知った吉田氏は「しようがないな」と思ったという。
 そして命じた。

「まずGMから帰ってきてくれ」

「第一原発にとどまったのは吉田氏ら69人。
 第二原発から所員が戻り始めたのは、同日昼頃だ。
 この間、第一原発では2号機で白い湯気状のものが噴出し、4号機で火災が発生。
 大量離脱の後、放射線量は急上昇し、正門付近で最高値を記録した。」

 この事実をどう考えるか。
 人間が人間である以上、「しようがない」のだろう。
 だから、〈目減り〉を想定しない危機管理は本当の危機管理にならない。
 しかし、こと原発に関しては、逆に〈水増し〉としか思えないような計画が堂々とまかり通ろうとしている。
 たとえば、こんな案を読むとあきれてしまう。
「原発事故が起こった際は、一度に逃げ出せば道路が渋滞するので弱者や地域性などを勘案し、逃げる順番を決めて、非難しようとする人々の動きを管理しよう。
 そうすれば~時間以内に地域住民は全員が安全に脱出できる。
 だから、事故が起こっても大丈夫」
 作成者も机上の空論であることはわかっていよう。
 しかし建前上、こうした案でも提示しなければ大量の被曝者が出る危険性を否定できず、原発は再稼働できない。
 だから安全性の水増しを行う。

 せめて原発に関する欺瞞はもう、やめようではないか。
 原発事故における避難は、バーゲンセールのデパートや電車を待つホームで列を崩さずに並ぶようなわけにはゆかない。
 東日本大震災のおりに、人々はいかに行動したか。
 献身的な動きを見せた菩薩(ボサツ…生き仏)たちがおられた一方で、誰もが口をつぐむようなおぞましいできごとも山ほどあったのは周知の事実である。
 本当にいざとなった時、いかに几帳面さで世界に冠たる日本人であろうと、公共性を重んじ冷静沈着に行動しようとする心のはたらきは確実に〈目減り〉する。
 そのことは誰のせいにもできない。
 しかし、そうした事実を知っていながら〈ないこと〉にし、辻褄(ツジツマ)合わせによって都合のよい主張をすることの責任は、一身や一社や、あるいは一内閣などで負いきれないほど重いと言えるのではなかろうか。


 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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