コラム

 公開日: 2014-05-22  最終更新日: 2014-06-04

孝行息子が織姫に救われた話 ―寺子屋の教え『実語教・童子教』を考える(その71)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 江戸時代まで寺子屋などの教材となっていた『実語教・童子教』を読んでいます。
 今回は、きちんとお葬式をした孝行息子と織姫のお話です。

○董永(トウエイ)の故事

 これは、中国の『孝子伝(コウシデン)』にあるお話です。
 
 董永(トウエイ)という貧しい小作人(コサクニン…田畑を地主から借りて農業を営む農家)は、毎日、父親を荷車へ乗せて歩きながら農業にいそしんでいました。
 父親が亡くなり、我が身を主人へ売って借りた銭十貫で礼法に従ったお葬式を行いました。
 弔いのすべてを終えた帰り道、とても美しいご婦人と出会います。
 その人は妻になりたいと願うので、二人で主人のもとを訪ねました。(この時代の小作人は、何でも地主へ相談せねばならなかったのです)
 主人は、絹300匹(ヒキ…1匹は2反分の量)を織り上げたならば、董永の借金は棒引きにし、女性の願いも聞き入れようと答えます。
 妻は、たった1か月で織ってしまい、驚いた主人は、約束通り二人の願いを許可しました。
 やがて妻は自分が天の織女(オリヒメ)であり、天帝の命により、その孝行へ銭をもって報いたのだと告げ、天へ帰りました。
 なお、『列仙伝』に、董永の子供である董仲(トウチュウ)は織女(オリヒメ)が生んだ子供であるとの記述があるそうです。

「董永(トウエイ)一身(イッシン)を売りて
 孝養の御器(ギョキ)に備(ソナ)う」

 仕事柄、ご葬儀については、さまざまな人間模様を観てきました。
 たとえば、仙台市のAさんは、生活保護を受ける身でありながら、自分と老いた親のために毎月、共同墓の契約金を分割で納め、ご葬儀代も貯金しておき、きちんと役割を果たされました。
 100才近い親を送り、身内の方々へささやかな食事もふるまうAさんは、人生の一大事を成し遂げた晴れやかで神々しい相貌(ソウボウ…顔つき)を見せました。
 我が子の堂々とした姿に、親御さんもきっとあの世で喜び、これ以上ない安心を得られたことでしょう。
 おかげさまでしたと頭を下げるAさんは生き仏と思え、こちらの頭はAさんよりも低くなりました。
 人の道をまっとうする意志の力、成し遂げた人の美しさには心底から敬服させられます。

 貧しい董永が我が身を売ってでも親のご葬儀を行ったことは理解できます。
 それが天帝の目にとまり、望外のできごとが起こったのも因果応報と感じられます。
 私たちは決して目先の損得に流されるだけの存在ではなく、仏性(ブッショウ)を存在の核としているという確信が深まります。
 当山では、お大師様の教えと伝法に則り、このように瞑想します。
「自分の心とは何でしょう?
 この満月のように澄みきっているのが自分の本当の心です。
 月は、欠けたり、雲に隠れてしまうことがあっても、月そのものは、変わることなく煌煌と輝いています。
 同じように、自分の心も本来、清らかなものなのです。」
 遙かな昔、董永は人の道をまっとうしました。
 そして、世知辛い今の世で、Aさんも人の道をまっとうしました。
 満月のような心に従ったのです。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

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