コラム

 公開日: 2014-06-04 

女児殺人事件を解決した栃木県警阿部刑事部長の苦衷 ―本当の懺悔について―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



〈第一例祭を終えました〉

 6月4日のトップニュースは、栃木・旧今市で9年前に起こった女児殺害事件の容疑者逮捕だった。
 小学1年生だった吉田有希ちゃん(当時7歳)を殺したと目されているのは栃木県鹿沼市の無職、勝又拓哉容疑者(32)である。
 
 栃木県警の記者会見は異例の謝罪を含んでいた。
「慎重かつ粘り強い捜査を継続し、自信を持って逮捕するに至った」
「被害者、御遺族の無念を晴らし、地域社会の不安を取り除く使命を痛感し、最重要課題と位置づけてきた」
「8年6カ月の長期間を要し、御遺族にご心労、県民の皆さまにご心配をお掛けしたことにおわび申し上げる」
 みごとに責務を果たしたが、長期間を有したことを詫びたのである。

 一方、勝又拓哉容疑者の供述にも謝罪はあったという。
「私が有希ちゃんを殺害したことは間違いありません」
「今、言えることはごめんなさいということです」

 私たちが「詫びる」とはどういうことか?
 まず、自分の行為に悪意や愚かさが含まれていると認識しなければならない。
 そして、悪意や愚かさによって人格やいのちや生活やモノなどが損なわれた相手を思いやらねばならない。
 そして、悪意や愚かさに対する耐え難い後悔の念が起こらなければならない。
 そして、後悔の念は、起こしてしまったできごとを覆せないという現実に叩き潰されねばならない。
 そこに、どうにもならない時の〈呻き〉が生じる。
 私たちは快事に際して快哉を叫ぶが、その対極にあるのが呻きである。
 この呻きこそが懺悔の力となり、必然的に詫びないではいられない思いが起こり、それは有形無形の言葉となる。

 たとえば、若き日に思いを寄せた女性を妊娠させたが水子にしてしまい、やがて二人の接点がなくなった。
 闇雲にはたらく日々から解放され、老いて死を意識するようになり、ようやく、いのちの何たるかに気づき、思わず呻く。
 女性はどこでどのように暮らしているかわからず、どうすれば水子霊の供養ができるのかもわからず、詫びる言葉は空中を彷徨うしかない。

 たとえば、事業に失敗して損害を与えた恩人と音信不通になり、数十年が過ぎた。
 やがて、恩人が経済的に追いつめられていることを風の便りで知ったが、自分も又、苦境にあって何もできず、呻く。
 我が身が情けなく、詫びる言葉は空中を彷徨うしかない。

 つまり、溶けぬ苦しみを伴ってこそ、詫びる言葉は真実のものとなる。

 私たちの文化では、ここ半世紀あまりの間に、公衆の面前で大人が大人へ「反省していますか?」と問うようになり、誰もがいち早く「反省しています」と頭を下げるようになった。
 他人様を厳しく糾弾する資格などあるかどうか疑わしい人々が、大衆に成り代わって正義の権化よろしく厳しい攻撃を行い、懺悔を求め、反省を形で露わにさせようとする。
 だから、白髪頭も禿頭も、容易に、ペコペコと下がる。
 要求する側も、される側も、見苦しい。
 なぜか?
 そこには〈大人〉が感じられないからである。
 大人とは、呻きを知っている人である。
 他人様の呻きに魂が揺れる人である。
 大人の反省はただ一つ、責任をとることにしか結びつかない。
 もちろん、前述の二例共に責任のとりようはないが、それもなお、とれない責任を感じ続ける。
 これが大人である。
 だから大人は他人様へ反省を求めたりはしない。
 無論、そうした場面も無用ではなく、それは、大人が子供に対する時のみである。

 栃木県警阿部刑事部長の苦衷はいかばかりだったろうか。
 解決というよき結果を出したにもかかわらず、詫びずにはいられない。
 その心中は察するに余りある。
 ――大人を観た。

 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。合掌

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