コラム

 公開日: 2014-06-13  最終更新日: 2014-06-25

『シルバー川柳』の傑作「助けてと 叫んでみても 皆あの世」

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈仙台市青葉区にある『春昼堂』さんで見つけた昔の風俗が偲ばれる絵はがき〉



「みやぎシルバーネット」さんがまとめた『シルバー川柳』の第4弾特別編が出ました。
 毒蝮三太夫氏のコメント付きの豪華版「ババア川柳」です。

 毎月発行されるタウン紙「みやぎシルバーネット」に掲載された膨大な川柳から発行人である千葉雅俊氏が選び、すべてに毒蝮三太夫氏のコメントと似顔絵がついた112句は、どれもが泣き笑いしつつ生きる生の輝きを発しています。
 特に、この一句は、読む手を止める力がありました。

「助けてと 叫んでみても 皆あの世」 (矢内アイ子 90才)

 親はもちろん、友人知人にも、伴侶にも先立たれ、子供などとも別居していれば、たとえ安心な我が家にいても、いったん、ことが起こった時は自分の身を自分で何とかするしかありません。
 私たちは、不意の危険に際して思わず「助けて!と叫びたくなりますが、もう、この世でその声を聞いてくれる人がいないという現実を折に触れて感じながら生きる老後というものを、すなおに、みごとに活写した一句です。

 6月12日付の河北新報は、第一面で「人知れず 悲しき最期」を報じました。
 仮設住宅での相継ぐ孤独死は、もはや、全国的に報じられもしなくなりましたが、地域紙は、いまだ、丹念に実態を追い続けています。
 震災後しばらくは、なんやかやと当山へ足を運ばれた方々も、仮設暮らしのまま、ほとんど顔を見せなくなり、こうした記事を読むと、そうした方々や連れてきていたペットの顔を思い出します。

「受け取る人もいないまま、郵便物や検針票がポストにたまっている。
 3戸が長屋のように連なる建物の端。
 玄関やサッシ窓は閉ざされたままだ。
 福島県南相馬市原町区の仮設住宅の1室でことし4月、1人暮らしをしていた女性(71)が遺体で見つかった。
 死後10日ほどが過ぎていた。
 病気が原因だったとみられる。
 仮設住宅には、東京電力福島第1原発事故から逃れた同市小高区などの約300世帯以上が暮らす。
 県の支援員が察知するまで、異変に気付いた住民はいなかった。
『あいさつ程度の付き合いしかなかった』と近隣住民。
 300メートルほど離れた場所には知人女性(73)が住んでいたが、死亡女性の訪問を受けることはあっても、出向いたことはなかったという。
 仮設入居時、部屋割りにかつての地縁は考慮されなかった。
 四つある自治会は棟の配置で機械的に区割りされた。
 近隣の結び付きを深めるにはどうしても時間がかかる。
 死亡女性が所属していた自治会の会長は『避難前の集落なら遠慮無しに家に上がり込んでいたが、ここは違う。そこまでの付き合いになるのは難しい』とため息を漏らす。」

「東日本大震災、原発事故に伴う避難生活は4年目に入った。
 仮住まいの長期化に伴い、人間関係を構築できないまま、人知れず息を引き取るケースが各地で出ている。
 宮城県石巻市のある仮設で昨年冬、60代男性が孤独死した。
 市によると、死亡時期は判然としない。
 周辺住民は2週間ほど姿を見ていなかった。
 市社会福祉協議会の支援員が巡回していたが、ペースは月1回程度。
 隣人が排気口からの異臭に気付いたのが、発見の端緒になった。
 市生活再建支援課は『強制的に部屋に入るわけにはいかない』と説明する。
 孤立した被災者に手を差し伸べようにも、プライバシーの壁を乗り越えるのは難しい。」

「仙台市太白区のあすと長町仮設住宅でことし2月、車いすの60代男性が救急搬送された。
 度々トラブルを起こし、住民の目には『近寄りがたい存在』と映っていた。
 119番通報したのは自治会長の飯塚正広さん(52)だった。
 男性は自治会に入っておらず、このときまで病状はもちろん、名前さえ把握できていなかった。
 後に、男性は亡くなったと聞いた。
 飯塚会長は『最低限の個人情報もふたをされてしまっている。必要な情報を共有できていなければ、今後、緊急時に適切な対応ができない恐れがある』と訴える。」

「東日本大震災で打撃を受けた岩手、宮城、福島3県では、今も20万人近くが仮設住宅などで生活を続ける。
 避難に伴って地域住民のつながりが寸断され、孤立感を深めている被災者も少なくない。
 今後、災害公営住宅などへの転居が進めば、コミュニティー維持はさらに難しさを増す。
 曲がり角を迎えつつある仮設の暮らしを追った。」

 最近、ご縁のAさんが亡くなられました。
 奥さんが入院中で独り暮らしをしているうちに倒れ、毎日、見回りを欠かさない隣人Bさんが第一発見者となり、通報したのです。
 暮らす団地は高齢化が進み、一方ではアパートやマンションが建ち始め、老いた方々を含めた地域住民のコミュニケーションが急速に薄れています。
 自主的にゴミの集積所や道路の清掃をする人はいなくなり、若者たちは清掃をするBさんを無視したまま、無造作にゴミを置いて立ち去ります。
 そんな中で、大病を抱えた夫と暮らすBさんは、いつも隣人に目配りをしてきました。
 こうしたケースの常とはいえ、警察がからみ、ご葬儀を終えるまでは大変だったようです。

 ひび、他人様の生死と向き合っている老いた者には、冒頭の一句に込められた思いと真実は、あまりに重いものでした。
 ちなみに、毒蝮三太夫氏のコメントはこうです。

「生きている奴に助けてもらえー」

 確かにそうです。
 私たち〈生きている者〉は、〈自分も死ぬ者〉であることを忘れずにいたいものです。
 Bさんはそのことを深く自覚しておられたがゆえに、Aさんご夫婦を見守り、手を差し伸べられました。
 私たちは一人残らず〈自分も死ぬ者〉です。
 そう腑に落ちていれば、Bさんのように、あるいは丹念に川柳を読み、活動を続ける千葉雅俊氏のように生きられるはずなのですが……。

 最後にあと2句を。

「還暦が 若い血となる 町内会」 芳賀麻薫(65才)
 毒蝮三太夫氏のコメント:「わかるわかる。60才の知人が『僕は老人会の青年部です』って言ってたよ。」

「この先に 答ないから 生きられる」 南雅子(70才)
 毒蝮三太夫氏のコメント:「先々を心配せずに、ボーッとして生きるのが一番だよ。答がないから質問もいらない。ケセラセラだ。」
 
 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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